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第597話 勇者ロードVS大魔王アップ

 色合界・ガークスボッテン。


 ロードはアップの尾羽の髪で結われたハンモックで眠っていた。


「これで、いい暮らしができるといいですね」


 アップの側にラジルバフアがいた。


「うん」


 その時だった。ロードの胸元から光が溢れ出した。そして、


「……う、うん」


 ロードは重いまぶたを上げて目を覚ます。そして目にした物は黄金に輝く秘宝玉。


 それを目にしたラジルバフアは下がり、大魔王アップは目を輝かせた。


「これが……オレの秘宝玉……」


 ロードは感動しすぐに触れる。角張のない真の円の形をしていた。


「……やったね。兄さん」


 アップが嬉しそうな顔を浮かべる。


 ロードはハッと我に返り、秘宝玉を手にハンモックから飛び出す。


「……大魔王アップ」


「もう少しゆっくりしてたら? 体力も限界でしょう?」


 ハンモックをそのままに近づいてくる。


「近づくな! まだ勝負は終わってない」


「戦争ごっこはいくらやっても私には勝てないよ」


「それは――――どうかな!」


 ロードの身体から鋭いオーラが放出されていた。


「ひぃぃぃぃーーーーアレは大魔王クラスの闘気だ!」


 ラジルバフアがその目にロードを焼き付けていた。


「ふ~~~~ん、さっきとは少し違うんだね。わかった勝負の続きをしよう」


「行くぞ――――っ!?」



 ロードが飛び出す瞬間アップは手で静止させた。


「待って、ただ戦うだけじゃつまらない。勝ったら負けた方の言うことを何でも聞くっていうのはどう?」


 アップが提案した。


「じゃあ、オレが勝ったら潔くあの世に行ってくれ」


 ロードが青い剣と赤い剣を構えながら言う。


「私が勝ったら一緒にお祭りに行こう?」


 アップはその場の空気に合わない提案をして来た。


「お祭り?」


「そう、丁度夏の異世界があったの。お祭りも今日開催されるだからそこに一緒に行こう?」


「わかった。オレが負けたら行ってやる」


「ホント!? だったら私本気を出すね」


 アップの笑顔は人間のように見えた。


(可愛らしい笑顔だ)

(だけど相手は最強の大魔王)

(絶対に負けるわけにはいかない)


 両者は見つめ合う。そしてラジルバフアのくしゃみと共に同時に動く。


 ロードは青い剣の飛ぶ力と地面を蹴った時の飛び出しで高速の速度で突きに行く。


 しかし、アップは見切っていた。すぐさま右手の尾羽の剣を突き出された赤い剣に絡ませていく。


「アカ!」


 赤い剣にお願いすると炎が剣から噴き出して尾羽の剣を燃やしていく。


「――――!?」


 近距離のアップは驚いた。そしてそのまま突きを放つロード。青い剣は避けられてしまった。やはり動きは大魔王の方が早い。


 そこでロードは突撃態勢のまま、腰を落としたアップの顔面にとび膝蹴りを放った。


 バコンと顔面の骨に直撃した鈍い音がした。そのままロードは青い剣を下にさげて、床に向けて仰向けに倒れそうになるアップを突き刺した。


「がはっ!!」


 その動きはまだ一秒たりとも経っていない。


「ミチル!」


 ロードはアップに跨ってそのまま胸元に突き刺した。ミチルの斬撃で胸から上と下を両断する。


「う、うあああああああああああああ!!」


 アップは初めて悲鳴を上げた。


 この時、

(どういうことだ? 不死のアップ様が叫び声をあげたぞ?)

 ラジルバフアが不審に思った。


(お前はいつも攻撃を食らう前に炎を身に纏って灰化させていた)

(この速度の攻撃見切れると思って油断したな)

(痛みは炎を纏っていないとき以外受けるそれがお前の不死の盲点だ)


 ロードは燃え上がるアップを無視して青い剣でさらに斬撃を複数放つ。


 その剣を振る余波で一撃一撃が灰を吹き散らしていく。


(灰化したらすぐに人の形を取ろうとする)

(だったら人の形になる前に剣を振った時に作り出す突風で払い続けるだけだ)


 ロードは何度も灰を散らせてアップを再生できないようにしていた。


 しかし、


「なるほど……考えたね。兄さん」


 ロードの耳元に口があった。その口からはアップの声がした。再生したのだと知った。


 そして再生したのは口だけではない。尾羽の剣も再生し、ロードの身体を縛り上げていく。


「極体!」


 ロードはオーラを発現させた。そのオーラの出現の余波で絡みついた尾羽の剣は飛び散る。


「なるほど……身体能力のさらなる向上。これならその辺の魔王は瞬殺だね」


 アップはロードの極体発現の瞬間を狙ったかのように再生していく。最後に再生したのは口元だった。


 ロードは青い剣ですぐに飛び上がり、アップにアカの炎弾を赤い剣から射出させていく。


 アップは徐々に距離を取ていく。炎弾は髪の尾羽の剣で弾いていく。


 アップは100メートルまでロードとの間合いを取った。そして長い髪の尾羽の剣を構えて突撃して行く。


 ロードは未だに炎弾を撃っていた。しかし、どこが焼けようが焦げようがアップは炎の衣で弾き返す。


 この時、

(兄さん。何をやっても無駄。この勝負私の勝ち)

 アップはそう思っていた。


 しかし、


(50メートルか――)

(――これで決める!)


 ロードのは秘策があった。炎弾の発射をやめて、青い剣と同じように赤い剣を天に掲げる。


「――――何をしても――」


 ロードの双剣は輝きだした。その輝きは明るく眩しく神々しい。両手の剣から溢れ出し、その長さを100メートルにまで伸ばしていく。そして、


「最初の一撃!!」


 ロードの全身全霊の一撃を大魔王アップは狙われた。アップは斬られても構いやしないという直進だったが、


 炎の衣ごと斬られた。


「う、うああああああああああああああああああああああああああ!!」


 肩から切断されたアップは炎の衣をまとっているのに悲鳴を上げていた。


「どうだ……これがオレの全りょ……く……」


 ロードは青い剣を手放した。そして落ちて行く。床に着地できずに激突した。


「ぐうう――なにこれ――再生しても痛い」


 アップも床に激突した。あまりの痛さに飛ぶことを忘れたらしい。


「ハハハ、生命力の炎を内部に残しておいた。痛いに決まってる」


 アップはすぐさま炎の衣を纏い灰化して、灰が集まり人の姿へと戻っていく。


「……ふぅーーーーーー驚いたよ兄さん。まさか痛みを味合わされるなんて初めての経験だった」


 アップはロードの元へ飛んで来る。ゆっくり警戒しながら、


(不死の秘宝玉か)

(ガリョウ先生が負けるくらいだ)

(やっぱりこうなるよな)


 ロードはそれでもやり切ったという顔をした。


 アップはロードの首元に三つ網の尾羽の剣を12本突きつけた。


「私の勝ちでいいよね」


「ああ、お前の勝ちだ」


 ロードはもう抵抗する力が無かった。


 アップの方もホッと息をついた。


 勇者ロードと大魔王アップの勝負は決着がついた。

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