第56話 お友達
ストンヒュー王国・近隣。
出発した日の15時過ぎ。
アカという名の竜に乗った僕ら、ルロウ、ネズミたち、シャルンス王子、カリフ王は、とうとう王国までやって来た。
王国を、空を飛ぶ竜から眺めるといつもとは違う街並みの景色に圧倒された。
(帰ってこられた)
少しの間色々なことがあった、無事でいること、戻ってこられたことを実感した。
(まるで、今までのことが夢だったかのようにいつもの王国だ)
(……夢じゃないけど)
乗っている竜がそこにいるのを再確認させられる。
「着いたか」
カリフ王が言った。
「そういえば、竜にのったまま国に入ったら事情を知らない民たちが大騒ぎするのか」
ロードはそう思った。
「アカには国外で待ってもらい、後ほど父上に紹介しよう」
「着いたチュウ」「アカ! 降りるチー」「も、もう飛ぶのはこりごりチャア~~」
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アカには国の外の岩陰に隠れていてもらうことになった。
「じゃあアカ、、、お前が中に入れるように王様に話をしてくるから、それまで待っててくれ」
「わかった。では少し眠らせてもらおう」
アカは首を下げて眠りの体勢についていった。
そうして皆でストンヒュー王国に入っていく。
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ストンヒュー宮殿・正面広場。
大通りと正門を通過して、真っ直ぐ宮殿まで続く道を通っていく。
「チュウ~~」「やっと帰ってきたチー」「やっぱ宮殿が一番チャア~~」
ネズミたちが疲れを声に表して言っていた。
(あれ、宮殿ってこんなに小さかったっけ?)
(旅に言ってたせいかな。。。そう見える)
そのとき、宮殿の玄関前の広場のベンチ辺りで、話をしている人たちを見つけた。
「ダラネーさん、昨日は何時にご就寝に?」
「えっと~~すいません寝てませんでした~~」
ビッシィさんとダラネーさんだ。
「ね、寝てない!? そんなことだからお昼寝してしまうんです。いいですか? 使用人というのは人の生活を支えることが仕事なんです、ですから自分の生活も疎かにしてしまうようでは、やはりその影響が業務中にも表れてしまいます。そうすると、ご主人さまやせっかく仲良くなったお友達の皆さんの迷惑にもなるんです」
「……はい、深く反省しております」
「まぁ、体調がすぐれないのなら今日はもうお休みになられても――」
「あっ! ロード先輩だぁ! おひさぁ!!」
凄い元気な声をかけられた。
「ああ、久しぶり、か?」
「帰って来たんだ~~。な~~にしに行ってたんだっけ? まぁいいや! ねんえ~~聞いて聞いて! 私ね~~先輩の言う通り代表のやったじゃ~~ん?」
「ああ、任せてたな……ちゃんと出来た?」
「バッチリだったよ~~街の人たちに~~元気が出たぁとか~~あなた面白~~いって言われて~~楽しかった~~ん!」
「そうなんだ……まぁ代わりが務まったのならいいんだ。ありがとう」
「やったん! 感謝された~~! でもね~~皆にもいろいろ助けてもらったんだ~~、私はただロード先輩に言われた通りに~~あははって笑ってただけなんだけどぉ、笑ってたら皆話しかけてくれるようになったの……」
「そっか、友達出来たんだ……言った通りだったろ?」
「うん! 今日もお昼に一緒にご飯食べたの~~」
(友達が出来たことが、よっぽど嬉しいみたいだな)
「やっぱり寂しくてオレのところに来てたな……?」
「うん……ま、まぁね。でも先輩のおかげで友達作るコツは掴んだよん!!」
「……じゃあ、これでオレもお役御免だな」
少し寂しさが混ざった言い方になった。
「……ロードせ――」
「えっっっ!? シャ、シャルンス王子! いつお戻りに! それに、そちらはカリフ王!?」
ビッシィさんがこちらに近寄ってきて驚いていた。
「うん、戻ったのはいまだよビッシィさん……」
「挨拶は後で良いかろう……」
「そうでしたね」
「あっ! いたんだ王子……全然気づかなかった。こっちのライオンおじさんは誰なの?」
「ダ、ダラネーさん! 失礼でしょう! こちらはレオリカンの国王様ですよ」
「ふーーん」「あ、頭を下げなさい!」
「がっははははは! 珍しい反応のお嬢さんだ……」
「も、申し訳ございませんカリフ王」「も? 申し訳ご、ございません……」
先に上司が、それに続いて、じ、自分もしなくては……と部下が、深々と頭を下げていた。
「よい、今日のところは世間知らずで許そう」
「ビッシィさん、王様に大事な話があるんだ面会できるかな?」
「急ぎの用ですか? では、そのように伝えておきますので、玉座の間にてお待ちください。ダラネーさんは、宮殿の休憩室で睡眠を十分に取ってくださいね」
「は~~い」
一足先に使用人長が素早い歩きで宮殿に戻る。
僕らも後に続くように宮殿の扉に向かう。
「じゃあね、ダラネーさん」
「うん…………あっ、ロードせんぱーーーーいい!!」
扉の前まで来ると別れた後だというのに呼びかけられ、こう言われる。
「――明後日は一緒にご飯食べましょ~~ねぇ~~!」
「――!?」
「この私は~~おっ友達にぃ~~寂しい思いはさせませんよ~~~~だ!」
大きく手を振っている。
「ああ! わかった。また待ってるよ!」
こちらも大きく手を振り返してあげると大喜びしてくれた。
「やっぱロードも寂しいんだチュウ」「あの子といると楽しいチー」「いい友達持ったチャア」
(ああ、当たりだよ……)




