第546話 骨の根城は変わり果てて大魔王となる
地響きが鳴り響く。ボランデスカールの骨の根城が動いているからだ。
骨の根城は地面に埋まっていた右手、左手を出して来る。
ボランデスカールの秘宝冠が輝いていた。
「最後だ! 命乞いでもしてくれないか?」
大魔王は余裕を見せた。
「最後? だったら最魔の元凶を知っているか?」
ロードはスワンの情報でしか聞いたことないことを訊く。
「最魔の元凶? フハハハハハハハハハハ! ただの噂話だろう!?」
大魔王ボランデスカールは浮いた。胴体を現した骨の根城に向かって行く。
「それより圧巻であろう? この骨の数、我に従わなかった人間共の骨で作ったのだ。故に骨の根城」
そこには何百万何千万本の骨で作られた骨の根城があった。今右足と左足が登場する。
(何だこの大きさは? 魔物なのか……?)
ロードの想像を超える60メートル級の巨人がそこに立っていた。
ボランデスカールが、その人の形をして事細かに改造していく。例えば頭蓋骨が出来たり、肩パッドが出来たり、鎧が出来たり、兜が出来たりしていた。
「同調完了……」
ボランデスカールが骨の根城の頭蓋骨の額部分へ移動した。そして中に組み込まれて骨の巨人の一部になる。
「右手を剣に、左手をハンマーに……」
ボランデスカールの小さな呟きがロードには大きく身体に響いてきた。
「(はっ!? 何を茫然と立ち尽くしている戦えオレ!)――――ミチル!」
骨の根城と一体化したボランデスカールは先ほどまでひびだらけだったが、この一体化はそのひび割れも関係ない幾千万の骨で形成された一つの魔物、いや大魔王となっていた。これがボランデスカールの切り札だった。
ミチルの飛ぶ斬撃はその巨大な図体に食らわせた。しかし当たったところで爆煙が起きるだけで、
(無傷だと)
(いや分かっていたことじゃないか)
(そもそもミチルの攻撃は当たっても大魔王に傷一つ付けられなかった)
(ならば、その身体にひびを入れた極体しか攻撃は通らないが、しかしこの大きさ)
(とてもじゃないが致命傷を与えられるとは思えない)
(かと言ってかりに傷をつけることに成功しても、スカルソルジャーを使い再生していくだろう)
(ならば奴の姿が見えるこの巨人の額に向かえばいい)
ロードは青き剣で空を飛び、極体拳で額に埋め込まれようとしていたボランデスカールに攻撃しようとしたが、
「そうはいくか!!」
巨大な骨の剣が邪魔をしてロードを叩き落とした。
「――――ぐはっ!!」
地面にたたきつけられたロードは口から息と血反吐を吐きだした。
「永遠に眠れ!」
骨の巨人の足がロードを踏みつけようとする。それを知ったロードはごろごろと横回転をし10メートル級の足の踏みつけを回避する。
「はぁ……はぁ……(危なかった!)」
この瞬間、勝手に近づいてきた骨の巨人大魔王のボランデスカールは、ロード必殺の極体拳を食らった。
微々たるものだったが骨の巨人にひびが入った。
(よし、行け――――!?)
ロードが驚いたのはその攻撃の範囲の狭さではない、攻撃を食らった後の超速再生、それも無傷に見える様な修復の仕方だった。
「フハハハハハハハハハハハハハハ!! 規模が違うその程度の攻撃では我は崩せぬ!!」
骨の巨人と化したボランデスカールが左手のハンマーを構えて、地面に打ち付ける。
ロードは後ろへ下がって回避したが、幾十万のスカルソルジャー達の一部はこの攻撃に巻き込まれた。
(こいつ自分の部下まで気にしないで攻撃して来る)
ロードは再び青い剣で空を飛ぶ。そしてボランデスカールは剣やハンマーを振って攻撃して来る。その総攻撃をかいくぐって、ロードは頭蓋骨の額に辿り着いた。
「極体拳!」
ロード必殺の極体での攻撃が組み込まれかけたボランデスカ―ルの頭蓋を砕いた。それで終わったと思ったが、
「フハハハハハハハハハ!! 今さら攻撃を当てても遅いわ! 我は完全にこの骨の根城と一体化した。もはやその程度の攻撃で倒れるなどとは思っていまいな?」
(くっ――――極体がダメなら!)
その時ロードは賭けに出た。青い剣に生命力を集中させて攻撃の起点とする30メートルを誇る長剣を出現させる。最初の一撃ロードの必殺中の必殺攻撃だった。しかし骨の剣によってガードされ受けきられたしまった。
(――――!! 骨が硬い!)
「骨の剣の硬度約50ぐらいお前の切り札らしい攻撃でも効くはずがない」
大きく響くボランデスカールの声が今のロードに絶望感を与える。
ロードは全力を失って落ちた。スカルソルジャーの軍の中に落ちた。
「終いか……せめて骨だけは残したまま潰そう」
巨人ボランデスカールが巨大なハンマーで攻撃してきた。
(終わってたまるか――――!)
心の中そう叫んだロードはミチルの剣に引っ張られて脱出する。ハンマーがスカルソルジャーごと地面の地盤を叩き砕いた。
その時、ロードは飛んでいたが、微かな声を聞いた。
タスケテ……どこからともなく。周囲一帯から声が聞こえて来た。
(誰の声だ?)
全力を出し切ったロードはもう戦えるような状態ではなかった。
しかし、その声に確かに、
(誰の声か知らないが助けなければ……)
ロードの目はまだ死んではいなかった。




