第545話 勇者ロードVS大魔王ボランデスカール
ロード以外の大魔王襲撃隊は全滅した。
そして心臓を刺されたはずのロードは何故か、生きていた。それは心臓を再生したからである。傷口が塞がっていた。
「勇者ロード。最近噂の勇者が我が前に姿を現そうとはな」
ボランデスカールが骨の剣とハンマーを構える。
「よくもみんなの命を奪ってくれたな……お前だけは絶対に許さない!」
極体のオーラを纏うロード。地面を蹴り走り出した。
その速さに驚いた大魔王ボランデスカールはスカルソルジャーと空間転移した。
スカルソルジャーを殴りつけて頭蓋骨をバラバラにし倒した。
「居場所は分かっている!」
ロードはすぐさまボランデスカールの転移した先に向かって走る。
「――――!?(何故我が居場所が辺りを見もしないでわかる?)」
ボランデスカールはとりあえずスカルソルジャーと転移した。
ロードから遠く離れた場所から、骨の剣を構え数十の切っ先でスカルソルジャー諸共突き刺していく。
「軌道読み!」
ロードはグニャグニャの変則的な骨の切っ先の動きを捉え全て躱し、大魔王の元に辿り着いた。
そして一発殴りつける。極体の拳なので威力は相当ある。ボランデスカールの頬にひびが入る。
「ぐぅ~~何故だ!? 心臓を貫いたはず何故お前は生きている!? 傷口が塞がっている!?」
「お前に教える道理はない!」
極体のパンチ攻撃を連続で浴びせ、ボランデスカールの全身にひびを与えていく。
「ぐぅ~~~~空間転移!」
ボランデスカールはスカルソルジャーと転移して避難した。
「行ける。倒せる」
ロードはそう呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇
先ほどまでロードはおのれの無力さと葛藤していた。
心臓を貫かれたことで人生を諦めて掛けていた。
しかし死に目に会っておのれの心を知る。
(オレはここで死ぬのか、最強に成れずに死ぬのか?)
(死んでいった皆の仇も打てずに死んでいくのか?)
(イヤだ! オレはまだ死ぬわけにはいかない)
(この大魔王を倒すんだ。そして世界を救う救世主になるんだ)
(その為にお前の力が必要だ。秘宝玉オレの心臓を再生してくれ)
(心臓がどういう構造かはわかっている)
(あとは力が欲しいだけだ。回復できるくらいの技が欲しいだけだ)
(だからここで約束する再生したらオレは必ず大魔王を倒す)
(約束だ。絶対に倒す)
(そう言う道を進んで行く)
そうしてロードは新しい技を習得した。
◆ ◆ ◆ ◆
骨の根城・玄関広場。
スカルソルジャーがひしめく中にボランデスカールはいた。
この時。
(何故奴が再生したか分からんが秘宝玉の力であることに間違いはない。次なる眷属使魔の糧としてくれるわ)
大魔王はそう思っていた。
「ミチル!」
ロードは空へ飛んで行く。そして軌道読みでボランデスカールの居場所を即座に見つけた。
「――ミチル!」
ロードは空からボランデスカ―ルに攻撃した。
「――――!!!?」
ボランデスカールはハンマーを盾に飛ぶ斬撃を防いだ。
(やはり極体の攻撃じゃないとあの骨には傷一つ付けられないか)
(だが、ガードしたということは本体にひびは効いている。もしかしたらミチルの飛ぶ斬撃で倒せるかもしれない)
「骨突撃!」
骨の剣の数十の切っ先がロードを狙う。
(射程距離およそ20メートルここまで離れれば攻撃は食らわない)
空を飛ぶロードが後ろへ下がる。しかし敵を侮ってはいけないと再度自覚させられる。
骨の切っ先が射出される。ミサイルのようにロードを追撃していく。
(くっ――――あのワイバーン戦を思い出す)
ロードは飛びながら向かってくる骨の切っ先を回避していく。その時、ボランデスカールが空中にスカルソルジャーを投げた。
ロードは前に現れたスカルソルジャーに対し迎撃態勢を取るが、その魔物はボランデスカールと転移して骨のハンマーで打ち付けられた。
「――――――!!!? がはっ!?」
スカルソルジャーの大群の中に身を落とすロード、地面に激突する。そして骨の切っ先も狙い来るが急いで両手に剣を構え弾いていた。そして目の前にボランデスカールが転移してきた。
ハンマーを振り被るが、
「遅い! 極体拳!」
ロードの拳がボランデスカールのあばら骨を破壊していった。
「ぐおおおおおお!!」
たまらずボランデスカールは転移して退避した。
「はぁーーーー」
呼吸を整えるロード。
「さ、流石に勇者と名乗るだけのことはある。このハンマーの威力ですぐ態勢を立て直すのならこちらも本気で挑もう」
その時、骨の根城が動き出した。
「――――城が!?」
「我が切り札を見せてやる光栄に思え!」
大魔王ボランデスカールは最後の手に出た。




