第520話 猛攻のスカル系眷属使魔
何もない丘。
空は紫色の曇天。重苦しい景色だった。
そこでは現在、ロード隊とスカルソルジャー軍の戦が繰り広げられていた。
「ミチル!」
ロードが飛ぶ斬撃を放ってスカルソルジャー達を切り裂いていく。
「はぁーーーー!」
燃えている剣で斬り裂き核を破壊するハズレ。
「水霊の三つ又の槍」
スワンはフラスコの中の水を取り出してスカルソルジャーに攻撃していた。
皆それぞれ、スカルソルジャーの弱点は分かっていたし、防具も準備していたので、あまり被害は出ていなかった。
「ぐああああああああああああああ!!」
だが例外はいた。鉄人であるメタールがスカルトリケラトプスの角に貫かれて絶命した。
「メタール!!」
ロードは叫んだ。しかしあまりにも多いスカルソルジャーたちに道を阻まれていた。
「どけ! どいてくれ! 助けさせろ魔物共!」
ロードは一体一体スカルソルジャーを処理していく。
スカルトリケラトプスは突撃をやめない。どんどんロード隊の中へ突撃し、その戦力を削いでいく。
「うあああああ!!」「ぬああああああ!!」「ふおおおおおおお!!」
どんどんと犠牲者が続出した。
そんな時、スカルトリケラトプスは大きな落とし穴にズシーンとはまった。
「これで、突撃は出来ないだろう。今だ皆ーー!! 盛大にぶちかましてやれ!!」
地底人のモンカミが掘った大きな落とし穴だった。
そして、サイボーグのターカウスはガトリングで、電気人間のカミージは電撃で、スポーツマンのクンドウはテニスのスマッシュで、半魚人のフィルスは腕の鱗で、他の隊員たちもそれぞれ攻撃していた。
しかしその頑丈な顔の骨には全く攻撃が利かず、皆驚いていた。
そして、スカルトリケラトプスは大きな穴を登り地上に這い出てくる。
角による突進攻撃がやって来ると、半魚人のフィルスは盾を構えて防御を取る。
その時、グラスがフィルスを突き飛ばす。そしてスカルトリケラトプスは当てもなく過ぎ去った。
「バカやろーー相手は鉄の身体を持つ奴を貫いたほどのヤツだぞ、そんな盾で受け切れるか!?」
グラスが叫ぶ。
「そうか、助かった……礼を言う」
フィルスは立ち上がる。
「来るぞ二人共!!」
モンカミが教える。
「これならどうだ――一本釣り!」
グラスが短剣を地面に刺して引き上げると、地盤がひっくり返りスカルトリケラトプスに当たる。
しかし、スカルトリケラトプスにとって何の障害にもならず突撃してきた。バッコーーン!! と地盤を割って突撃して来る。
この時、
(――――ちっ――やられ――)
刹那――グラスは思いかけたが、
「あぶねーー!!」
今度はフィルスがグラスを突き飛ばして、スカルトリケラトプスの角の餌食となった。
「――――――!!」
グラスは絶句した。
一方、もう片方の眷属使魔スカルメイジはロード隊を圧倒していた。
不思議な爆発を起こしたり、不思議な吹雪を浴びせたり、不思議な炎を食らわしたり、不思議な電撃を放ったりしていた。
「一刀両断!!」
ムサロウが必殺の一撃を放つが、目前にいたスカルメイジは幻だったのか、姿を消した。
そして空を飛んで弓矢を撃っていた天使のパトラの背後に現れた。
そして光弾がパトラを襲った。
「うあああああああああああああ!!」
パトラは背中の羽根を焦がし重傷を負った。
「間違いない。アレは魔法。あの眷属使魔は魔法使い」
ドノミが聞こえる者にだけ言う。
「魔法使い? 何だそれは?」
ムサロウが訊いていた。
「内に秘めた魔力を使いありえない法則で色んな事象を引き起こす技のことです」
ドノミが説明する。
「何だか知らねーがこいつを食らえ!」
ロケットランチャーを構えた傭兵のガララが弾を撃ち放った。
ドカーンと空中で大爆発した。
「よし!」
「油断してはいけません! 相手は魔法使いこの程度の攻撃なら防ぎ切って来ます」
「お嬢ちゃん。見かけによらず失礼なことを言うね~~オレの必殺の一撃が効かないわけ……」
爆煙が晴れ、中にいたスカルメイジは無傷で君臨していた。
この時、
(微かに見えるのはバリア?)
ドノミは予測した。
「よ、よくもやって、くれたな。この魔物ごときが……」
パトラはようやく立ち上がった。
「従順なる魔の者たちよ。今しがただけ力を貸したまえ――聖法――第43条革命のとき――第33項――魔物たちの反乱」
パトラの聖法で20体のスカルソルジャーが味方に付いた。そして自分の骨を折ってスカルメイジに向ける。
「やれ!」
パトラの指示で一斉にスカルソルジャーたちは骨を放った。だがスカルメイジはそれを魔法によって全て弾き返しパトラを串刺しにしていく。
「ぐっ――――ゴホッ!!」
パトラは20の骨を突き刺され絶命した。
「――パトラさん!」
ドノミが駆け寄るが、パトラは既に息絶え、目を閉じていた。
「許しません! 眷属使魔!」
ドノミが鉄棒を構える。そして魔法使いのスカルメイジはガタガタガタガタと歯を鳴らし笑っていた。




