第515話 救世主の墓石
最後の砦の入り口。
時刻は昼過ぎ頃。
「じゃあシスター・クレアちゃん行ってくるから」
手を振り結界の外へ行くシルベだった。
「ライズ隊! 行くぞおお!!」
ライズが叫んでいた。
「「「うおおおおおおおおおおおおお!!」」」
サイズとブケンを始めた秘宝玉所有者が吠えた。
そしてライズに付いて行ってしまった。結界の外へ戦いに行ったのである。
「さぁ、ロードさん行きましょう……」
シスター・クレアが手を伸ばす。
「はい」
ロードはシスター・クレアと同じく戦士たちを見送りに来ていた。
最後の砦の門をくぐる。
「この街にはもう慣れましたか? 色々入り組んでて迷いやすいと思いますが……」
「はい、友人に教えられて、この街の地図を買いました。これです。どこをどう通ればいいのか書いてあります」
ロードが懐から地図を出した。
「そうですか……どこかへ行ってきましたか?」
「えっと、風呂屋さんと武器屋さんそれから食べ物屋さんに大きなアーチの橋」
「あらあら、とんだ冒険者さんですね」
「冒険者じゃない勇者だ」
「勇者?」
「そう、いかなる道も勇ましく……進む者……のことだ」
ロードは自分で言っていて元気をなくした。
「ロードさん……まだ、心に穴が開いたような気がしてますか?」
「はい」
「私はもう長いことあの大魔王ボランデスカールに死体の山を見せられて耐えられますが、あなたはまだなんですね」
「どうすれば慣れますか?」
「そのようなことを聞くものではありませんよ?」
「ご、ごめんなさい」
「まぁ、答えるなら大切な人を失った時とか……そうすれば慣れますよ」
シスター・クレアの答えに、ロードはハズレ、スワン、グラス、ドノミ、ブケンのことを考えた。
「――ダメだ! 死んじゃいけない!」
ロードはそく反応した。
「そう、死なせてはいけません。そして悲しみになれる必要もありません。ただただ事実を受け止める心を持てばいいのです」
「そうやって手にしたんですか?」
「ええ、私はそうやって考えていたら、気が付いたときには事実の秘宝玉を持っていました」
寂しそうに笑うシスター・クレアだった。
最後の砦の入り組んだ街を進みながら話をする二人。
ある場所に辿り着いた。
「ここは?」
「墓場です」
「――――!?」
「行きましょう」
シスター・クレアに勧められてロードは門の内側に入って行く。
▼ ▼ ▼
ホーウッド最後の砦・墓場。
そこは少し薄暗く、空気のよどんだ場所だった。
「ここが墓場?」
周りには早速いくつもの墓が出迎えた。
「この墓場は全て、ボランデスカールとその配下に殺された者たちのものです」
「一体いくつの墓があるんだ?」
ロードが見たところ数千以上の墓が立っていた。
「これらは全てボランデスカールに逆らった者たちの墓、いわば骨を取られなかった者たちの最後の抵抗としての墓」
「どういう意味です?」
「ボランデスカールの力に関係します。ボランデスカールに心から屈して死んだとき、その者の骨を操れると聞いてます」
「骨を操る?」
「恐らく骨の秘宝玉を持っているのでしょう」
シスターは語りながら、ロードをある場所へと案内する。
それは大きな墓石だった。ロードの5倍の墓石だった。
「見てください。ここに名前が彫られているでしょう? よく見てください」
シスターに言われ墓石をよく見た。そこには、
「セイジ、ネバーロング、デモン、シーリアン、トニー、それから……」
ロードの知っているモノの名前しか書かれていなかった。
「どういうことです?」
「この墓石はあなた達の為に用意しました。死んだとしてもここで眠りボランデスカールに支配されないように……」
「オレの知ってる名前しか書かれてないが……」
「今回の戦で死んでいく者たちを私たちは救世主として未来永劫語り続けていくつもりです」
「救世主」
「ロードさん、あなたもこの墓石に彫られた救世主の様に戦いこの異世界をボランデスカールの手から救ってください」
「……はい、わかりました」
ロードは小さくうなずいて、墓石に誓うように顔を上げた。




