第511話 大暴れのスカルシャーク
自身の辺りに水晶を浮遊させたメイビスが現れた。
クリスタルロックという技でスカルシャークの動きを止めている。その技は水晶の破片を辺りに散らばせ、大きさを変えその地に来た魔物を確保するものである。
実際スカルシャークは藻掻こうにも全身が水晶に刺されて動けなかった。
「未来予知で来ることも分かってたし、終わった終わった」
身体を伸ばすメイビス。
「「「あ、ありがとう」」」
そこへお礼を言いに来る。スワン、シーリアン、ユキメ、セイジだった。
「あ~~~~いいのいいの、それにまだ倒せてないし、さて未来はどうなってるかな~~?」
水晶占いでスカルシャークを見る。すると暴れ出す姿が映っていた。
「――――――!? 逃げ――――」
その時、捕らわれていたはずのスカルシャークが、無理やり地面に刺さっていたクリスタルを引き抜いて、クリスタルの刺さった身体のまま行動を開始した。
「ウォーターカッター!」
シーリアンが腕から水の刃を放つが、シャークのひれ部分を切り取ったくらいで、その牙によって身体が引き裂かれる。すなわち食われてしまった。
「――――聖法――化身の――」
セイジが聖法を唱えている時、
「セイジさんダメーーそいつはバリアごと食い破る!?」
スワンが叫んだが、ユキメが制する。
「そんなことは彼も百も承知でしょう。何か考えがあるのかも」
ユキメが言う。
「――化身の拳」
どこからともなく巨大な腕が現れスカルシャークを叩きのめした。
「ガタガタガタガタ」
わななくスカルシャーク穴の開いた身体をよく見ると青い炎が内側にあると知った。
この時、
(何あれ?)
スワンが見ていた。
そしてそこに駆け付けたハズレがこう言った。
「アレがたぶんスカル系魔物の核だな……」
「核?」
「アレを壊せればスカル系の魔物たちは倒せるはずだ。セイジ君もう一度腕でその青い炎を攻撃してくれ」
ハズレが指示を出す。
「うん分かった。聖法――――」
その時、スカルシャークは傷の修復の為か、辺りにいたスカルソルジャーの骨で再生しようとしていた。そして、聖法を発動させようとしていたセイジは骨が集まっていくとき、背後からまるで狙っていたかのように骨が刺さった。その骨は心臓部に達しておりセイジは即死した。
「「「――――!?」」」
スカルシャークが再生していく。
「セイジさん」
ユキメが放心状態となった。
「ユキメさん、膝を崩さないで立って!」
スワンが喝を入れるが効果がない。
「メイビスさん。あんたの占いは!?」
ハズレが訊く。
「えっと、ハズレくん、キミの姿が映ってない。殺されるかもしれないからここから離脱した方がいいよ!」
メイビスが助言する。
「そいつはどうも、じゃあスワン頑張って倒してくれ」
「うん……」
スカルシャークはクリスタルの刺さったまま再生した。
走り出したハズレは通信用の召喚の力で話をした。
「各隊員に通達、スカル系の魔物には青く光る炎の核がある模様、戦いに勝つためにはそいつを効率的に破壊した方がいい、以上ハズレからの通達でした」
ハズレのこの言葉でスカルソルジャーと戦っていた者たちの士気が上がり、核を探して躍起になっていた。
「女々しい吹雪」
ユキメが息を吐いてスカルシャークを凍らせていく。
少しづつだが、刺さっているクリスタルと凍り漬けの効果で動きが鈍くなってきていた。
「クリスタルアロー」
メイビスがクリスタルを壊し破片にして大きさを変え刺していく。
「ガタガタガタガタ」
スカルシャークはスワンの間近まで来ていた。
「ちょっと避けなさいよ!」「食べられてしまいますよ!」
メイビスとユキメが離れながらスワンに言う。
「二人、シーリアンさんとセイジさんの死は無駄にはしない」
スワンがスカルシャークの口元めがけて走り出す。そして内部に侵入した。
すると奥の方に青い炎の塊が見えて、スワンはそれを水によって消した。
メイビスとユキメに襲い掛かるスカルシャークは動きを止めて絶命した。
口の中からスワンが出てくる。
「倒したみたい。でも霧散化しないの?」
スワンが不思議がる。
「速く退いてそいつを粉々にする!」
メイビスは可能な限り大きな水晶直径5メートルを出現させ、スカルシャークの身体にたたきつけた。そうすることでスカルシャークは破壊され完全に倒された。
「何とか倒せましたね」
ユキメが言う。
「あなたやるじゃない」
メイビスが言う。
「皆が動きを封じてくれたから侵入しやすかった。ありがとう」
とにかく犠牲は出たもののスカルシャークという眷属使魔を仕留めた。




