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第509話 骨の眷属使魔が参加する戦場

 ボランデスカールの配下の魔物スカルソルジャーに善戦するロード隊。


 しかし彼らはまだ分かっていなかった。戦場がどういうところかを。


「敵! 8時の方角より、増援だ! 皆気を抜くな!」


 ロードが力の限り叫ぶ。


 まだ、他の者たちはスカルソルジャーと戦っていた。聞こえなかった者もいるだろう。


「ロード、もう一度言ってくれ……」


 秘宝玉がはめ込まれた杖を振り、小型の召喚門をロードの前に出すシルベ。


「全員聞いてくれ! 8時の方角より増援だ!」


 召喚門から部隊の人々全員にロードの声が届いた。


「冗談ではないぞ! まだまだここに居る軍勢も片付けていないというのに」


 マントで空を飛んで遠方を確認するアーティモリ。


「気を付けろ! 何やらワイバーンやサメやクモの魔物たちが先頭に立って向かってくるぞ!」


 ネバーロングが警告する。


「シルベさん、撤退の準備はできる? 皆疲弊してるし、このまま戦うとなると……」


 スワンが訊いてくる。


「ロードが隊長だ。ロードの一言で私は皆を砦に帰還させられる」


 シルベが真剣な表情で言う。


「ロード撤退しよう」


「オレは迎え撃つ! 全員よく聞いてくれ大魔王の直属配下眷属使魔だーー! 魔物たちを殲滅するぞーー!」


 ロードが宣言する。


「「「おおおおおおおおおおおおおお!!」」」


 ロード隊が雄叫びを上げる。そして向かってくる三体のボランデスカールの眷属使魔を相手にしようとしていた。


 まず空を飛び、こちらの様子を伺いながらやって来る全長6メートルの魔物スカルワイバーン。


 そして宙を泳ぎ、こちらへ素早くやって来る全長8メートルのサメ型の魔物スカルジョーンズ。


 さらに何本もの足を使い這いずり周って来る全長11メートルの蜘蛛型の魔物スカルスパイダー。


 そして約1000体ものスカルソルジャーの増援が来ようとしていた。


 先手を仕掛けたのはターカウスだった。手のひらからレーザービームを出し横なぎに振るう。


 ワイバーンとジョーンズは避けて、スパイダーは口から骨を吐いて盾を組み立てた。ターカウスの一撃目は難なく無に帰した。


 キュポンとフラスコの栓を開けるスワンそこから水が出てくる。


「水霊の槍!」


 空中を動き回るスカルシャークへのスワンの攻撃だった。しかし、もの凄く早く動くシャークを前には当たらなかった。


「ミチル!」


 防御の陣を組んでいたスカルスパイダーの骨の盾を飛ぶ斬撃で切り裂いた。しかし本体まで届かなかった。


 その時スカルスパイダーが糸の様に細長い骨をいくつも口から放出させた。その先端は尖っていた。


「――――来る! 皆避けろ!」


 ロードが指示する。


「任せろ!」


 全長12メートルの巨人族のオオヅチが骨の糸を掴み、スカルスパイダーを一本背負いした。


 地面に叩きつけられるスカルスパイダー。その隙に蹴りを放とうとしたオオヅチは、後ろからの勢いは炎並みの骨の剣が何本も刺さった。スカルソルジャーが投げ放ったものだ。


「うう――――!!」


 オオヅチは呻き、巨人化を解いて倒れ伏す。すぐさまロードが駆け寄り、応急処置に入る。


「待ってろ! 包帯で出血を止めてやるからな!」


 ロードの応急処置は無駄が無かったがここは戦場、敵の足が待ってくれない。スカルジョーンズが襲い掛かる。


「水霊の抱擁!」


 スワンの水がスカルシャークを捕えた。


「ありがとうスワン!」


 手早く処置を済ませるロード。オオヅチは動けなくなったが一命は取り留めた。


「シルベ! オオヅチを結界の中へ――――」


 その時、ひっくり返っていたスカルスパイダーが飛び起きた。そして狙うはオオヅチとロード。細長い骨の針の糸を繰り出して来る。


「――――!?」


 ロードはすぐさま双剣を手にして細長い骨を斬りつけていく。ガキキキキキキキン! と甲高い音を上げながら攻防は続く。


「ユキメさん居ない!?」


 スワンが叫んだ。その声は彼女に届いた。


「何か御用ですか!?」


 切迫した状況でも冷静さを失わない雪女のユキメだった。


「あの水を魔物ごと凍らせてほしいんだけど――!」


「わかりました。妖術……女々しい吹雪」


 徐々に氷漬けにされていく水霊の抱擁で捕獲したスカルシャーク。しかしじたばたと藻掻くことで氷を割り水の抱擁も蹴散らして跳ねまわるのだった。そしてその牙が二人に襲い掛かる。


「聖法――化身のお守り」


 二人の前に出てバリアを張ったのは聖職者のセイジだった。バリアに噛み付くスカルシャーク。


「無駄だ。このバリアはお前たち悪しき魔物を成敗する聖法の――――」


 その時、バリアを噛んでいたシャークの口からミシシッという音が聞こえて来た。


「――――まずい! 逃げろーー!」


 ロードがスカルスパイダーと交戦中でも他の魔物に気を配り指示を出したが時すでに遅し。


 スカルシャークの牙がセイジの身体に歯形を付けるところだった。


「空間転移」


 シルベがスワン、ユキメ、セイジを安全地帯に移動させた。スカルシャークは空を噛み砕いた。


 そして、スカルスパイダーの方は飛び上がって、元のスカルソルジャーたちの前に陣取る。


(これが戦場。そして大魔王の眷属使魔か……そうやすやすと勝たせてはくれないか……)


 ロード隊と眷属使魔率いるスカルソルジャーとの戦いは始まったばかりである。



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