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第480話 ブケンの生い立ち

 ブケンは一点を取った。そして立ち上がったロードに話しかける。


「この武闘大会に出ようと思った訳?」


 ロードが訊く。


「そうだ。お前には世話になったし聞いてほしい」


「(罠ではないよな……話を聞いてるうちに衝撃波で受けたダメージを回復しておこう)なんだ言って見てくれ……」


 ロードは言いながら腹部に手を当て回復する。


「オレはとある武闘家の家系に生まれた」

「有名な看板を掲げた道場だ」

「父と母はこのハオストラ武闘大会の優勝者と準優勝者だった」

「その時の出会いが縁で付き合いはじめ結婚に至った」

「そして父と母は優勝賞金で道場を建て、願いごとで流派を授かった」

「それが衝撃流だ」

「以来、その流派を看板に持った道場にはたくさんの弟子たちが通うようになった」

「数にして500人、それもある程度の実力者たちを対象にしていた」

「それは中途半端で大会優勝の実績でオレでも武闘大会で優勝できるかもという者たちをふるいにかけるためだ」

「道場入門の志願者を厳選した」

「その結果が500人の弟子たちだ」

「そして数年後オレがこの世に生まれて来た」

「生まれたときから父と母はオレに厳しかった」

「生まれて間もなく鳴くなと言われ、黙るようになり」

「はいはいするようになってからは抱えられることもなくなった」

「立ち上がって、ある程度喋れるようになってからは武道着を着て」

「物心ついたときには既に大人たちと一緒に稽古をしていた」


 ブケンは自分の生い立ちを言う。


「厳しいな……」


 ダメージの治療が終わったロードが言う。


「そうだ」

「とても厳しかった」

「練習試合で負ければ食事を抜かれ、練習稽古で失敗すれば掃除当番をさせられた」

「毎朝……朝早くに起きて誰よりも早く道場に向かわなければならなかった」

「それがオレの親の教育方針だった」

「だが、オレはそんな父と母を尊敬していた」

「道場に入門してきた強者たちを幾人も投げていた」

「憧れだった」

「そしてオレもそんな父と母の期待に応えたいと一生懸命に鍛錬に勤しんだ」

「そんなある日道場やぶりがやって来た」

「父と母は道場の代表として10才のオレに勝負をさせた」

「そしてオレはその道場やぶりに手も足も出ず敗れてしまった」

「もちろんその道場やぶりは父によって破られた」

「だが、オレは父と母の期待に応えられなかったんだろう」

「そこがきっかけだったんだろう」

「父と母にある試練を申しつけられた」

「それは――――最強になるまで帰ってくるなという言いつけだった」


 ブケンは答える。


「最強……」


 ロードは呟く。


「ロードお前も自分の力を試したいと言っていたな。それはオレの様に最強を目指すということだろう」


 ブケンが確信する。


「ああ、オレも最強を目指してる」


「そこからだ聞いてくれ」

「オレは10才の少年ながら独り立ちをしなくてはならなかった」

「食事は現地調達、盗みや畑泥棒をよくしていた」

「そして、山を拠点に暮らしていた」

「雨の日や雪の日は洞窟でしのぎ」

「山道に迷えば川を探し」

「木を見れば鍛錬の相手としてへし折り」

「獣をと出会えば食うか食われるかのサバイバル」

「そういう生活が4年と続いた」

「そして数々の山を登っては下り」

「戦っては勝ち続け」

「ようやく父と母が挑んだというハオストラ武闘大会に挑んだ」

「優勝でいると確信していた」

「この4年の月日がオレに自信という努力の証を与えてくれた」

「オレは喜んで武闘大会に参加した」

「そして――」


 ブケンが言葉を濁す。


「そして負けた」


 ロードが言う。


「そうだ」

「相手はお前も知ってるだろう。今大会に出場したフンカーというご老人に、圧倒的なまでの力の差を見せつけられて打ちひしがれた」

「そしてオレはその人が優勝したのを知った時」

「次は勝つという目標が出来た」

「そして目標は5年と定め山籠もりをし鍛錬に勤しんだ」

「いつか家に帰れることを信じて何度も何度も鍛錬した」

「そしてある日自分にはどんな技があるかを考えた」

「その時、ピキーンと来た」

「閃いたんだ」

「自分の持っている技にそして自分の本当の力に」

「父と母から受け取った衝撃流」

「見よう見まねで鍛錬していたとき」

「その宝石はオレの前に現れた」


 ブケンはボロボロの胴着の懐から宝石を取り出した。


「――秘宝玉! (しかもオレと違って形を成している)」


「衝撃の秘宝玉がオレの力だとピキーンと来た」

「そしてオレはこの力を試した」

「何千回も蹴らなければ折れなかった木が一撃で折れ」

「どんな獣が相手だろうと近づかずに気絶させることが出来た」

「オレは強さの神髄を身につけた」

「オレは最強を自覚した」


 ブケンは秘宝玉をしまい構える。


「ロード、オレは最強を目指すためこの武闘大会に出ている。そしてお前に勝つ!」


 ブケンが足を踏み込むと地響きが鳴る。衝撃波だ。


「ブケン、オレの目的も話しておこう」


 今度はロードが剣を納めて語り出す。


「剣なしで戦う気か?」


「ああ」


「がっかりだ……お前も秘宝玉を持ているからといって、オレも舐められたものだ」


「違う……今から見せる技はお前のその技を模して編み出したものだ」


「………………そうか、なら、お前の目的を話してみろ」


「お前と同じように最強になって、最魔の元凶を滅ぼしあらゆる異世界を平和にする」


「そうか……お前も最強を目指してるのか」


「だから、この技は決してお前を舐めるために使うんじゃない。オレがお前より強くなるための武闘だ!」


「見せてみろ、その技を……」


「極体!」


 ロードが全身の生命力を力に変換するため身体向上のオーラを湧きあがらせた。


「ロード、それがお前の本気というのなら、嬉しいぞ!」


「ああ、とっておきだ! 行くぞブケン!」


 ロードとブケンは拳を構え本当の武闘を行おうとしていた。

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