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第476話 ロードVS特殊シール貼りのヴァーエン

 ロードは東門の前にいた。

 

(ブケンが勝ったか……)


 歓声を聞いてそう確信していた。


 そして東門が開く。すると担架で運ばれていくご老人がいた。


「さぁ! 続きまして準々決勝第四試合の開始でーーす!」


(よし行こう)


 ロードは前へと前進する。


「東門から入場するのは今大会初出場、数多の猛者たちを剣と拳で倒し来たロード選手です! そして西門から入場して来るのは皆さんの知っての通りの優勝候補のヴァーエン選手です!」


 ロードはヴァーエンの姿を目にした。逆立つ茶髪の髪に動きやすい服装に半袖のジャケットを着て、手には黒色の皮手袋がはめられていた、その手袋には色々なシールが貼られていた。


 両者はあと数歩のところまで近づき並んでいく。


「礼!」


 審判が言う。


 ロードとヴァーエンはお辞儀をする。


「まさかロードが前に出てくるとは、予選の時は思わなかった」


「ヴァーエンそれは本当か?」


「…………いや、そうだな。共闘したときからオレはお前に勝ち進んで欲しいと思ってた」


「オレもだ。手合わせしたいと思ってた」


「じゃあ手加減抜きで行くぜ」


「オレも勝ちに行く」


 手を剣の柄に添えるロード。対してヴァーエンはいつもの調子だった。


「準々決勝第四試合! 始め!」


 審判が赤旗を振り下ろす。


 瞬間ロードは鞘から剣を引き抜きながらヴァーエンとの距離を詰め、斬りつける。


 しかしその攻撃は防がれた。丸腰だったはずのヴァーエンの手には銀の剣が装備され。ロードの剣を受け止めた。


 だが、あまりに力が強かったのか……ヴァーエンは尻餅をつく。


「ひゃーーーーあっぶなーー」


 ヴァーエンが言う。


「ノーダメージ!」


 審判が叫ぶ。


 ヴァーエンは銀の剣でロードの剣を払い、もう片方の手に剣を出現させた。そして斬りこむ。


「――――!!」


 突然出てきた剣に驚いたロードは斬りこみを受けてしまった。


「ヴァーエン一点!」


 審判が叫ぶ。


「まずはヴァーエン選手の一点です! 得意の特殊シールが早速発動したーー!」


「ロード選手の力も凄かったですが、ヴァーエン選手は直ぐに態勢を戻して、剣を出して不意打ちが成功しました」


 ロードが一歩二歩下がる。


 ヴァーエンは両手に装備した剣を投げつけて来た。キンキンと青い剣が甲高い音を鳴らして剣を弾いていく。


 その時ロードは見た弾かれた剣が霧散化していくのを、更に見たヴァーエンの両手に新しい銀の剣が装備されているのを、


「お前の試合は観戦していたが、何故次から次へと剣が出てきたり、消えたりする?」


「……こいつさ、この手袋を見な……」


 ヴァーエンは手袋に貼られた無数のシールを見せてくる。


「ん? 何だ? 手袋が種か?」


「違う……この手袋に貼られている特殊シールの方さ、こいつが貼られている限りオレはこのシール全ての特性を自由に引き出せるんだ。見てみなよ。銀の剣だって両手に貼られているだろう?」


 ロードがまじまじ見るとその手袋には銀の剣のシールが貼られていた。


「そういうことか……なら、他の特殊シールも当然使ってくるんだな?」


「試合が進んで行ったらな!」


 ヴァーエンが銀の剣を両手から投げ放った。


 ロードは剣を振ってがキキンっと甲高い音を上げながら弾いていく。


「このシールはどうだ?」


 ヴァーエンは手のひらに炎の弾を出現させていた。


 そしてまるでお手玉をするように、次々と炎の玉の数を増やしたいく。その数は十になった。そしてロードに向かって一つ一つ放たれていく。


 ロードはミチルの力を使い連続した飛ぶ斬撃で炎の玉を消し飛ばし、ついでにヴァーエンに向けて続けて飛ぶ斬撃が放たれた。


「おっとっと!」


 ヴァーエンが一歩、二歩、三歩、四歩、五歩と後ろへ下がっていく。飛ぶ斬撃は土煙を上げたが、全部躱された。しかしその土煙の中からロードは現れた。


「――――!?」


 ヴァーエンの首に剣の打撃による重い衝撃が走り、吹っ飛ばされる。


「ロード一点!」


 審判が言う。


 歓声が聞こえて来た。


「ロード選手、土煙の中から出てきてヴァーエン選手に奇襲攻撃を仕掛けました!」


「これはかなり戦闘慣れしてますね……そしてヴァーエン選手を決して舐めていません」


「痛た。やるなぁ~~けど面白い、続けようか……」


 起き上がるヴァーエンは手のひらから今度は無数の岩の出現させお手玉をしていく。そして投げつけていく。


「また、同じような攻撃か……その芸は見切っているぞ……ミチル!」


 ロードは飛んで来る岩を飛ぶ斬撃で斬り裂いて続けてヴァーエンに迫っていく。ヴァーエンは飛ぶ斬撃をまともに受けた。


「ロード二点!」


 審判が言うと歓声が聞こえてくる。


「痛た、なんだよ岩でも切り裂いちゃうのか? 弱ったな……ロードは接近戦が得意なうえに中距離戦もオレの上を行っている。これはもう決勝戦のつもりまで行かないと戦えないレベルだぞ」


 相変わらずおしゃべりをするヴァーエン、そこにロードが向かってきてヴァーエンに切り込みを入れていく。


「特殊シール岩石!」


 ロードはヴァーエンの間合いへ入ると剣を振った。しかし、上半身を反らして避けられてしまう。おまけにヴァーエンが用意した岩に上から叩き潰された。大きさ何と人一人分くらいの大きさである。


「ヴァーエン二点!」


 審判が言うと歓声が巻き起こる。


「いやいや、どうもどうも」


 ヴァーエンが客やファンたちに手を振って見せる。


 その隙にロードはミチルに命令して岩を斬ってもらう。そして起き上がった。


 そのまま、青い剣はヴァーエンの背後に回り、ロードは拳を振るい、ミチルは突撃を仕掛けてみるが、


「特殊シール鞭!」


 ヴァーエンの手にムチが現れ、青い剣を絡めとり。青い剣を絡めたムチを振るってロードに当てに行く。


 しかしロードはこれを躱し、ヴァーエンにアッパー攻撃を仕掛ける。


「ロード三点!」


 審判が叫ぶと歓声が巻き起こる。


「痛た……」


 ヴァーエンは続けて鞭を振るうがロードは間合いを見計らって距離を取り、ミチルを呼び戻す。


(今のアッパーはまぐれだ。ムチが横なぎでなく、縦だったら……いや、それでも一点取れたか)


 ロードは考え込んでいた。そして、


「ロード、試合は楽しいか?」


 ふとヴァーエンがロードに対して尋ねて来た。

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