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第472話 とある方の開いたパーティー

 ハオストラスタジアム・北の塔。

 夜の19時に開かれるパーティーの招待状を受け取ったロードが塔の前に立っていた。

 しかも隣にはブケンがいる。彼も招待状を持っていたのだ。

 その塔はきらびやかな装飾と一面がガラス張りとなっており、大きな看板にこう書かれていた。


「あの文字何て読むんだ? ブケン……」


 ロードが訊く。


「最高の中の華パーティー会場」


 ブケンが答える。



 ◇ ◇ ◇ ◇



 ハオストラスタジアム前。


 数時間前。


「えっ! 二人共パーティーに招待されたの?」


 スワンが驚く。


「誰主催の何のパーティーだ?」


 ハズレが訊いてくる。


「それが招待状を渡されただけで、詳しい話は分からないと受付さんが言っていた」


 ロードが言う。


「親愛なるブケン様是非ともパーティーに参加してください……と」


 ブケンも言う。


「お二人が呼ばれたということはベストエイトが決まったからではないでしょうか……?」


 ドノミが言う。


「ただで飲み放題食い放題なんだろ? オレなら行くな」


 グラスが言う。


「そうか……じゃあオレは楽しんで来ようと思う」


「ただで飯が食えるのなら行かないわけにはいかない。せっかくのご馳走が待ってるのに悪い気がする」


「…………ベストエイト……確かミハニーツって選手もベストエイトだっけ」


「あの人に勝ってたらオレも呼ばれたのかな……」


「スワン、ミハニーツさんがどうした?」


「今日…………何でもない」


 スワンは手を振った。


「ロードさん。参加されるのは構いませんが気を付けてください。パーティーに参加されるのは選手だけでないはず、恐らくスポンサーとも出会うはずです」


「スポンサーとは何なんだ?」


 ロードが訊く。


「広告主のことです。商品を売り出したい企業側のことを言うんです」


 ドノミが説明する。


「……契約書でスポンサー契約は断ったんだがな」


 ブケンがため息交じりに言う。


「どうする行くのか?」


 ハズレが訊いてくる。


「ああ、せっかくのお呼ばれだ、楽しんで来ようと思う」


 ロードが言う。


「ロードが行くならオレも行こう」


 ブケンも言う。


「いいなぁーー私もロードとブケンについて行きたい」


 スワンが羨ましがる。その時、スワンは心の内側に何かを秘めているようだった。


「お土産話を楽しみにしていてくれ」


「わかった。行ってらっしゃい」


 こうしてロードとブケンの二人はパーティーに参加をするのだった。



 ◆ ◆ ◆ ◆



(スワン、何か言いたそうだったな……何だったんだろう)


「ロード行こう」


 ブケンが言う。


「あ、ああ、今行く」


 ロードとブケンは塔の中へ入って行く。



 ▼ ▼ ▼



 パーティー会場受付。


「招待状を確認に対しました。ロード様とブケン様で間違いありませんね?」


「「はい」」


「大変よくお越しくださいました主催者様がお待ちですどうぞ螺旋階段をお上りください」


 受付を過ぎると正面のエントランスに大きな階段、その左右には螺旋を描くように設置された階段があった。そして階段を上がっていくと大きな門に辿り着いた。そこには黒スーツの男が二人立っていた。


「あの~~パーティー会場ってここですか?」


「ああ、ロードくんにブケンくんかよく来てくれた。楽しんで行ってくれ」


 黒スーツの男二人が両開きの扉を開いた。



 ▼ ▼ ▼



 早速目にしたのは人人人、キレイなドレスやスーツを着たいかにも大富豪な人が目に移った。


 そしてその人たちはワイングラスを片手に食事をしたり、談笑したりして楽しんでいた。


「おや、ミスターロード、ミスターブケンじゃないか――こんなに近くで顔が見えるなんて眼福ものだよ」


 一人の富豪に話しかけられると、他の富豪たちもロードたちに気づいたようで視線を向けてくる。


 そして、二人の子供たちが駆け込んできた。


「ロードさんだ! あのサインください!」


 育ちの良さそうな子供が訊く。


「サインか……オレのでよければあげるよ」


 ロードはペンと色紙を受け取り名前を芸術的に書いていく。一方ブケンは達筆な名前を書いていた。


「「ありがとうお兄さんたち」」


 子供たちが色紙を大事に抱えて走っていく。


「それで、ここにある料理は食べていいんだろうか?」


「もう少し待て、オレたちを招待したシドウオガって人にまず会おう。この度の招待のお礼を言うんだ」


 ロードが言う。


「おや、キミたちは……」


 会場を歩いていくと有名人に会った。ワインを片手にパーティーを楽しむライズだった。


「ライズさん」


 ロードが口にする。


「名前を憶えられていたとは光栄だね。キミたちもパーティに招待されていたのか……キミたちもうスポンサー契約したかい?」


「いや、オレたちは契約するつもりはないけど……」


「そうか……」


 ワインを飲むライズ。


「やぁやぁ、ロードくん! 並びにブケンくん! 私はセリラーどうだいキミたち我が社と契約して色々な大会に出てみないかい?」


「おいおい、この二人はスポンサー契約禁止だぞ。セリラー殿、それが許されるならぜひ我が社に――」


「いいや、我が社は1万枚の金貨で契約しよう」


「それなら――――」


 何やら、騒々しくなってきたのでロードとブケンとライズはその場から離れることにした。


 そして、ロードはカーテンの隙間から外を覗いていた。仮面の女性ミハニーツを見つけた。


「あなたも招待されてたんだな……」


 ロードが話しかけると振り向くミハニーツ。


「ロード……」


 ミハニーツがその名を優しく口にする。


「何をしてるんだ? 飲みも食べもしないのか? せっかくのパーティーなんだぞ?」


 ライズが訊く。


「別に興味ない」


 ミハニーツは突き刺すような声で言う。


「それより他の選手にもあいさつした方が――」


 ブケンが言おうとすると――


「必要ない。ここに入って来た選手は私たち四人だけ……ずっと窓の外を見ていたから誰が入って来たか分かる」


「ん? それはつまり、ベストエイトが招待されたって訳じゃないのか?」


「察しが悪い。この大会で私たち四人の共通点は何?」


「さぁな」


 ブケンが首を傾げる。


「全員秘宝玉所有者ということ」


「大会に出場した皆を招待すれば楽しそうだけどな」


 ロードが言う。


 そして――パーティー会場は暗くなる。そして舞台に大会の実況者モスが現れて宣言する。


「お待たせしましたーーこの度、パーティーを開かれたとある方の演説です! 皆さま静かに聞きましょう! うるさい私が言うのもなんですが……」


 会場が笑いに包まれる。


 その時、ロードの首に掛かっていた裏切りの瞳が反応した。


「――――!?」


「来る」


 ミハニーツが言う。


 舞台の裏から出てきたのは胴着姿の赤黒い長髪の男だった。


「魔王シドウオガさんのお出ましです!」


「――魔王!?」


 ロードがその魔王の登場に戦慄した。

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