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第471話 渾身の拳

 ターカウスは機械の目でロードの動きを見切っていた。

 更に煙の中から見つけ出す体温カメラや暗視眼を身につけていた。

 ロードは、ハズレの真似をした爆煙戦法は使えない。

 そして何より今食らったレーザービームの方をロードは気にしていた。

 片膝をついていた状態からロードは立ち上がる。


「何だ今の攻撃、見切れなかっ――――!!」


 その時、ロードは見たターカウスの手のひらから光子が漏れ出すのを、そしてとっさの判断で動いた。


 チュドーン!! ターカウスのレーザービームが聖法の壁に直撃し、ジュ~~~~と焼ける様な音を立てる。


「今の、どうやって躱した?」


 続けてターカウスはロードにレーザービームを放つが、それが撃たれる前より早く動くことで躱していた。


「ロード選手光の速さに等しいレーザービームを躱していく!」


「どうやって見切っているんでしょうか、ただ単に逃げ回っているだけでしょうか」


 ロードのレーザービームの攻撃が放たれ続ける。一発、二発、三発と連続で次々放たれる。


(あの手のひらの光子さえ見えていれば発射のタイミングはまるわかりだ。問題は横移動しかできず縦移動が出来なくて近づけないことだ)

(近づいて攻撃するのは……)


 ロードは自分の青い剣を見る。そしてロードは青い剣をターカウスに向かって投げ飛ばす。


「無駄だ……」


 ターカウスは向かって来た青い剣を、鉄の右腕で弾きあらぬ方向へ弾き飛ばした。


「ロード選手自らの剣を飛ばしたーー! だがターカウス選手は余裕で対応した!」


「これは悪手です。自らの武器を捨てるに等しい行い――――!?」


 その時解説が青い剣を見て驚いた。


「ミチル!」


 なんと青い剣は勝手に飛び回りターカウスに向けて飛ぶ斬撃を放っていた。


「――――!!」


 悲鳴こそ上げなかったものの、ターカウスは後ろから飛んできた飛ぶ斬撃に打撃を食らった。


「ロード四点!」


 審判が叫ぶ。


「何だこの剣……」


 ターカウスは再び青い剣が放って来た飛ぶ斬撃をローラースケートのスピードで躱す。


 そしてレーザービームを青い剣に向けて撃ち放った。そうすると剣はあらぬ方向へ弾き飛ばされた。


「ミチル!」


 精霊の剣の反応がない。ただ地面に突き刺さっていたのだ。



 ▼ ▼ ▼



 この時、

(ミチルが今の攻撃で気絶した)

 スワンが冷や汗をかきながら試合を見守っていた。



 ▼ ▼ ▼



「ロード選手! 青い精霊の剣を呼ぶが何の反応もなく困惑!」


「今の不意の一撃は良かったですが、剣が使えなくなりましたね」


 ロードはすぐさま落ちていた青い剣に近づこうとしたが、ターカウスに阻まれ、レーザービームの一撃が迫りくる。もうレーザービームは完全に見切っていたので、躱すのだが、ターカウスは腕を振り強引にレーザービームを剣の様に振るった。さすがのロードも驚いて距離を取る。


「うまいな、戦い方が……」


 ロードが相手を褒めた。


「光栄」


 ターカウスは言葉を受け取った。


(もはや剣を取りに行くのは困難、別の手を考えた方がいい)


 ロードは瞬きをせずターカウスの動きを見る。


「お前、強い、とっておきを出してやろう」


 ターカウスは胸部をパカッと開いて隠されたミサイルを射出した。


 二つのミサイルがロードに向かう。


「ここでターカウス選手、切り札を放った!」


「舐めたり油断もしてません。ここで確実に決めに行くつもりです」


 ロードは二つのミサイルを簡単に避けた。

 だが、避けたミサイルは起動を強引に変え、ロードへと向かって行く。


(な、なんだアレは? 精霊でも宿っているのか?)


「誘導ミサイルからは逃げられない」


 ターカウスが呟く中、レーザービームも忘れずに放つ。


「――――!!!?」


 ここでロードはターカウスの方を見て正解だった。光子が手のひらに集まり、レーザーの射出を見切った。


 レーザーが後ろのミサイルに当り、爆風でロードの身体はターカウスの方に吹っ飛んでいく。


 そこでロードはその勢いのまま、ターカウスに拳を振るう。ただの拳ではない。


「極体拳!」


 生命力を力に変換した強力な一撃だ。しかしターカウスは右手で受け止めた。


「――――――!?」


 あまりの力に右腕が弾かれたが防御は成立、おまけにロードを追って来たミサイルが二人に直撃した。


 ドカーーーーンっと大爆発が起きた。


「ターカウス三点!」


 そして、爆煙が晴れていくと、なんとロードがもう一回、極体拳をターカウスの腹部に食らわせる瞬間だった。


「極体拳!!」


 拳にまとわりつくのはロード渾身の生命力。それが振り被られ、激突した。


「――――ゴハッ!?」


 ターカウスは口からオイルを吐き出した。


「ロード五点! 勝者ロード!」


 審判が叫ぶ。


「おおっとロード選手、あれだけの爆発を直撃しながらも気を失わず、拳を振るったーー!」


「見事なまでの耐久力、あの爆発で気絶しないとは驚きました」


 ロードは剣を拾いに行き、ターカウスの前に並び立つ。


「優勝しろ」


 ターカウスは言う。


「分かった」


 ロードも一言。


「礼!」


 二人はお辞儀をして会場から出て行った。



 ▼ ▼ ▼



 そして、東門へと入って行くロードは受付に呼び出された。


「ロード様こちらへ」


「なんでしょう?」


 ロードが訊く。


「まずベストエイトおめでとうございます」


「はい」


「こちら、とある方からの武闘大会参加者への招待状です。今晩予定を開けてハオストラ会場の北にある塔へ向かってください。そこで小さなパーティーが開かれます。是非とも参加なさってと招待状の送り主は言いました」


「は、はぁ……」


 ロードは招待状を受け取った。


(パーティー、せっかくだ。参加して楽しんで来よう)


 今夜開かれるパーティーに参加することにした。

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