第469話 ブケンVS翼人のネバーロング
Bブロックの試合が行われていた。
「始め!」
審判が赤旗を振り下ろす。
「…………」
ミハニーツの出番がやって来ていた。
「フハハハハハハハ、このデモン様の恐るべき最強呪文を知るがいい!!」
相手はコウモリの翼を背中につけて頭に角の生えていた悪魔デモンだった。
「……喋ってないで早く呪文を見せたらバーカ」
ミハニーツが悪魔デモンに呪文を唱えられる前に速攻の蹴りを放った。
「うげばれぶぼら!!」
様々な角度から回転して聖法の壁まで吹き飛んでいく悪魔デモン。
動かなくなったところを審判が確認すると、
「ノックダウン! 勝者ミハニーツ!!」
「強い! 強い! ついにその頭角を現してきたミハニーツ選手、とんだダークホースです!」
「呪文が唱えられる前に攻撃されてましたね。あのスピードは反則級です。実際私も目で追えませんでした」
そしてミハニーツはベストエイトとなって立ち去り、Bブロックの試合が終わった。
「続いてCブロックの試合です!」
次の試合は優勝候補のフンカ―選手の試合だった。いまいち強いのか弱いのか分からない身のこなしで相手と遊んでいるように見えた。しかし勝者は当然フンカ―という老人だった。
そして次の試合が始まる。
「さぁ! 続きましてCブロックの試合です! 東門から入場するのは優勝候補の翼人ネバーロング選手です! そして西門から入場するのは我流の武闘家ブケン選手です!」
「いや~~~~注目の一戦ですね」
実況と解説が話す。
両者が入場するとそれぞれエールが送られた。
しかしどちらも声援に応える余裕はない。緊張して戦いに向かおうとしていた。
そして両者の間が数メートルのところ、
「礼!」
審判が言う。
「これまでの試合を見てきたが、貴公は私に手も足も出ないだろう……」
羽根飾りを頭につけた長髪の男が言う。そして背中には大きな白い翼が生えていた。
「それだけ強いということか……面白い」
ブケンの口角が吊り上がる。
「始め!」
審判が赤旗を振り下ろす。
「先手必勝!」
ブケンはネバーロングに向かうが、ネバーロングの広げた翼から矢のように羽根がダーツの様に飛ばされてくる。
「くっ!」
何とか手を使っては羽根を撃ち落としていくブケン。
「ほう、この攻撃を防ぎ切ったか。思ったよりもやる。さすがここまで勝ち抜いてきたことはある」
「この程度の攻撃ならお前は負けるぞ。ふぅ~~~~」
ブケンが息を吐き構える。
そして目を見開いて、一瞬の内にネバーロングの懐へもぐりこむ。
「かぜおこし!」
それを予期していたネバーロングは、翼をはばたかせ突風を起こしていた。
「ぐおっ!!」
ブケンが風に耐える。そしてネバーロングは上空へと飛んで行く。
「そう! ここまでの試合、ネバーロングに近づけた選手はいません! この突風と羽根のダーツがある限り、接近戦に持ち込むのは厳しいでしょう!」
「おまけに空高く飛び立ちました。ブケン選手の攻撃の範囲外ですね。この行動こそ誰も手の出しようがないことで優勝候補と言われる所以です」
ブケンが顔を上げ、ネバーロングが見下ろす。
「参ったな、オレはそんな高く飛べない」
ブケンが言う。
「ならば、ギブアップしろ、ここから先の展開は決まっている」
「そういう訳にはいかない。オレは優勝しなくてはいけないんだ。だからあんたには負けてもらう」
「ではこれを食らえ」
ネバーロングが手を上にあげる。すると先ほどダーツのように放たれた羽根が宙に浮き、ブケンに襲い掛かる。
「――――!!」
全方向からの攻撃だった。ブケンは羽根を拳で叩き落として行ったが、落としても落としても襲い掛かってくる。
「ほう、これでも一点も取れないか……」
ネバーロングが高みの見物をしていると、ブケンは足を落とした。すると空気が重くなり、羽の舞う宙に何かがのしかかり落として行く。
「――――!!」
ネバーロングはその不可解な現象を見た。そして――
「流石に5回戦だ。少し本気を見せてやろう」
ブケンが拳を振り被る。
「そんなところから何をするつもり――――ごはっ!」
ネバーロングがブケンが拳を振るったら肺から息を吐いた。
「ブケン一点!」
審判が叫ぶ。
「おっと先に先取点を取ったのはブケン選手だ!」
「これは来ますよ。あの技が……」
「貴公何をした?」
腹部を抑えるネバーロング。
「おしゃべりは終わりだ」
ブケンが拳を振るう。
「――――ぐはっ!」
ネバーロングが空に飛んでいるはずなのに、ブケンの見えない攻撃を食らった。
「ブケン二点!」
審判が言う
「これはこれは秘宝玉の力です!」
「最初に宙に舞う羽を落としたのもブケン選手の衝撃によって落とされたみたいでしたね。さすが衝撃の秘宝玉の所有者」
この時、
(衝撃の秘宝玉だと、それでは今の攻撃は衝撃波か……なんて威力だ)
ネバーロングが翼を使ってブケンに狙われないよう飛び続けるが、
「ここだ――――!」
ブケンが空を飛ぶネバーロングに正確に拳を振るう、すると空気に衝撃が走り、移動先に衝撃波が来て食らった。
「ブケン三点!」
、審判が言う。
そしてブケンは続けざまに拳を振るい今度は翼に向かって衝撃波を送る。するとネバーロングは落ちて来た。
「ブケン四点!」
ネバーロングが地面に落ちて来たその衝撃のダメージで点数が入った。
「はぁーーーーーー」
ブケンが息を吐き、狙いを定めて、正拳付きをする。
「――――!?」
ネバーロングは衝撃波をもろに食らって吹き飛んだ。
「ブケン五点! 勝者ブケン!」
審判が叫ぶ。
「ブケン選手やりました。ベストエイトです!」
「ここで、秘宝玉の力を使ってきましたね。優勝候補のネバーロング選手に対して圧倒的な力の差を見せつけました」
わーーーーーーっと湧き上がる観客席。
「礼!」
審判が言う。
「「ありがとうございました」」
ブケンとネバーロングはお辞儀をして、その場から立ち去った。これでCブロックの試合も終了した。




