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第468話 ライズVS鬼人のデガラ

 第4回戦が終了し、選手たちや観客たちが各々昼食を取っていた。

 実況者モスと解説者キートも少しばかりの休憩を取っていた。

 そして間もなく第5回戦Aブロックの試合が始まる。

 ハオストラスタジアムの電光掲示板に表示された名はデガラVSライズだった。

 ほどなくして審判が入場。続いて実況者と解説者が席に着く。


 そして時刻が13時を刻んだ時、


「さぁ! やってまいりました第5回戦Aブロックの試合です! この試合に勝つとベストエイトが出そろいます!

 皆さん好きな選手はいますか? 応援して今まで以上の力を引き上げましょう!」


 実況者が言う。


「ただいまベスト16が出そろっている訳ですね」


 解説者が冷静に言う。


 そして程なくして東門と西門が開く。


「「「キャーーーーライズーーーー! 頑張ってーー」」」


 女性ファンがまだ入場もしていないライズを応援する。


「「「デガラ! デガラ! デガラ!」」」


 鬼人の観客たちがその名を呼び、鼓舞させる。


 そんな中、


「水はいりませんか~~? 冷たくて美味しい水で~~す!」


 スワンがボックスを肩にかけ、紙コップに注がれたストロー付きの天然水を売っていた。


「一つくれる?」


 仮面の女性が声を掛けて来た。


「は、はい、一つ50銅貨です(この人、ハズレを気絶させたミハニーツさんって人だ)」


「そう」


 仮面の女性は懐から一枚の銀貨を差し出す。


「あっ、今すぐお釣りを……」


「いい、チップだと思って受け取って……」


「それは困ります」


「それじゃあ一つ尋ねたいことがある」


「何ですか?」


 スワンが恐る恐る訊く。


「あなたが昨日、控室で一緒にお話をしていたロードって名前の男の人について……」


「――――!?」


 そしてスワンは驚くべき事実を試合中に訊くことになる。


「さぁ! 東門から入場するのは鬼人のデガラ選手です! そして西門から入場するのが女性ファンの多い聖剣士ライズ選手です!」


 わーーーーーー!! と観客たちが騒ぐ。


 鬼人デガラ、人間の格好をしているが肌は黄色く、三本の角を生やし、鬼のような目を持っていた。


 聖剣士ライズ、紛れもない人間で各所に鎧を付け、聖剣を背中に背負っていた。


 両者が数メートルという近さに近づいてくると、


「礼!」


 審判が言う。


 デガラとライズはお辞儀して構える。


「フン」


 デガラは金棒を構える。


「五回戦ともなると緊張する」


 ライズは聖剣を引き、胸の前で刀身を真っ直ぐに立てて構える。


「始め!」


 審判が赤旗を振り下ろした。


「日光剣!」


 早速ライズが秘宝玉の力を使いデガラの目を盲目にさせようとする。それを読んでいたデガラは目をしっかり閉じて光を目に通さないようにした。


「おっとライズ選手いきなり日光の秘宝玉を使い始めた!」


「ここから先の戦いはいかに日光剣をやり過ごすかにかかっていますね」


 デガラは目を閉じている。しかし――


「無駄だよ。たとえどれだけ力強く目を閉じようが瞼の裏側まで光は侵入する。まだ金棒を盾にした方がいいくらいだ」


 ライズが相手に助言したが時すでに遅し、デガラはライズの術中にハマった。


「――――!! 見えない目が見えない!!」


 デガラが目を開くとその視界は一面真っ白。自分の身体も影すら見えない純白の世界。


 そして――


「――ごっ!!」


 デガラは重い一撃を食らった。


「ライズ一点!」


 審判が叫ぶ。


「おっと! デガラ選手日光剣の光で目を潰されました!」


「これは圧倒的に不利です。グラス選手の様に耳でライズ選手の位置がわかればよいのですが……」


「うおっ!!」


 デガラが呻く。


「ライズ二点!」


 審判が叫ぶ。


「うおおおおおおお!!」


 がむしゃらに金棒を振るデガラ。どれだけぶん回してもライズには当たらない。見えていないから。


「はぁ……はぁ……はぁ……うあっ!!」


 デガラが疲れ果てたところを、剣で叩きつけるライズ。


「ライズ三点!」


 審判が叫ぶ。


「もう、怒ったぞ~~ベストエイトになるまで使わないと決めていたけど、使ってやる。ぐはっ!!」


 デガラの呟きを気にも留めず、ライズは攻撃した。


「ライズ四点!」


 審判が叫ぶ。


「うおおおおおおおおおおおお!!」


 突如、デガラの三本の角から電流がほとばしった。


「――――!!!?」


 電気が流れて来るので一旦距離を取るライズ。


「おっと出ました! 鬼人特有の特性電気起こし! これでライズ選手迂闊にデガラ選手に近づけない!」


「四点取られたのが痛いですが、あの放電量なら近づけば即感電ですね」


「さぁ、どこからでもかかって――――ごはっ!!」


 デガラは飛んできたライズの剣を腹部に食らわされ倒れた。


「ライズ五点! 勝者ライズ!」


 審判が叫ぶ。


「最初から放電状態でもこの戦術を使ったさ」


 ライズが剣を拾いに行く。そして、目が見えるようになったデガラは悔し涙を流しながら並ぶ。


「礼!」


 審判が言う。


「ありがとうございました」


 ライズが言う。


「あ、ありが、とう、ございました」


 震える声で言うデガラ、直ぐに踵を返し退場する。


 ライズもそんな後ろ姿を見ながらその場を後にした。


 そしてスワンと話をしていた仮面の女性ミハニーツがその場を立ち去る。


「…………うそ、ロードが……」


 水の入ったボックスを肩にひっさげたままスワンが立ち尽くしていた。

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