表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
456/942

第456話 ハズレVSアビリティーアクセサリー使いのアニエス

 Bブロックの試合が行われていた。


「ノモケバ選手、試合放棄とみなし勝者ミハニーツ選手!」


 観客たちがざわめく。


「なりきりマスクの弱点を突いた戦いでしたねキートさん」


「ミハニーツ選手は先日もマスクの選手と戦っていますから、実力が未知数ですね」


 そして、次の試合が見ものだった。


 ▼ ▼ ▼


「マグマン選手強い! そのマグマの身体の熱で近づくことすら許されないのか!?」


「マエストロ選手のリボルバーの銃弾がことごとく溶かされてダメージになりませんね」


「ヘイ、ギブアップ」


「おっと、マエストロ選手ここでギブアップを宣言!」


「弾切れでも起こしたんでしょうね。相当な数の弾撃ってましたし……」


「勝者マグマン選手!」


 この試合を見ていたロード、グラス、ブケンはそれぞれ感想を述べる。


「溶岩人か……厄介そうだな」


 グラスが言う。


「相手の選手一点も取れなかったところからすると、流石優勝候補と言うだけのことはある」


 ブケンが言う。


「ハズレと同じBブロックか……炎使いのハズレからするとやりづらい相手だろうな」


 ロードが言う。



 ▼ ▼ ▼



「さて、次の選手の入場です。東門からモードレット界出身のハズレ選手! 西門からベディヴィア界出身のアニエス選手! 両者とも騎士王界出身です! これは見ものですね」


「ハズレ選手は炎や火薬を使っていましたが、対するアニエス選手はアビリティアクセサリーを使っていましたね」


「これは目が離せない試合になることでしょう」


(モードレット界というところがハズレの故郷か……)


 ロードが密かに心にとめる。


「礼!」


 ハズレとアニエスがお辞儀をする。


「あなた、モードレット界出身なのにアビリティアクセサリーを付けていないの?」


 様々のところにアクセサリーを付けたどこぞの貴族様のような女性が訊く。


「ちょいと訳ありでね……安心しな、これでも腕には自信ある」


 ハズレが鞘から剣を引き抜く。


「そう、なら手加減はしないわ」


「始め!」


 審判が赤旗を振り下ろす。


 早速ハズレは剣でオイル瓶を斬りつけて、ぶちまける。その際剣に付着したオイルが空気摩擦で燃え上がる。


「炎の剣」


 アニエスが呟く。そしてハズレが走り出すが――


「ライトアイ!」


 アニエスが右手薬指の指輪から光を放った。


「くっ――――」


 ハズレは目を両手で覆った。その隙を突かれハズレはアニエスに蹴り飛ばされた。しかも受け身が取れず、炎の剣も落としてしまった。


「アニエス一点!」


「出ましたーーアビリティアクセサリーまずは炎の剣でハズレ選手の一点かと思いましたが、目くらましで相手の動きを封じて、蹴り飛ばす!」


「昨日も思いましたが、ハズレ選手はどうにも勝負を急ぎたい傾向にありますね」


 目をゴシゴシしていると視界がぼやけて見えて来たハズレ。


「この剣、頂戴しますわ」


 アニエスが炎の剣を拾う。そしてそのまま女性とは思えない速度で移動する。


(速い――)


 ロードが驚いた。


「おっと! あちちちちちち!」


 ハズレは振り下ろされた炎の剣を真剣白刃取りした。


「お見事!」


 アニエスは褒めて剣を手放す。


「ん? 今のは点数にならないのか?」


 グラスが訊く。


「有効なダメージと審判が認めなかったからだ。今の攻撃ならオレでもそうするけどな」


 ブケンが言う。


「ハズレ選手、自ら落とした剣に点数を取られるかと思ったが、何とか取り返しました!」


「と言うか、ハズレ選手の目の復帰が早い気がします。これがモードレット界の騎士王政の育ち方がモノを言っているのでしょう」


 アニエスとハズレは距離を取る。


 この時、

(目くらましのアビリティーアクセサリー耐性の身体にしておいてよかった)

 と、故郷のことを思い出す。


 一方アニエスの方は両腕のアクセサリーを光らせムチの形に変えた。


「出ました! 第一回戦でも見せたアビリティーアクセサリースネイクウィップです!」


「行きますわ!」


 蛇のようにしなる鉄のムチがハズレに向かって行く。


 一方は炎の剣に絡み取られ、もう一方のムチでハズレにムチ打たんと迫るが、ハズレが剣から手を離しムチの射程距離から間合いを取った。しかし


「逃がしません」


 その素早い足の動きが、ハズレを逃さず、鉄のムチを放った。


 しかしハズレは鉄のムチを掴んだ。そして引っ張ってアニエスを引き寄せようとしたが、


「無駄です」


 アニエスの移動速度にハズレの方が引きづられる。


「くうーーーーその足のアビリティーアクセサリーか!」


「ハズレ選手アニエス選手に一撃与えようとしましたが、アビリティーアクセサリークイックリングによって引きづられていきます」


 その足首のリングはアニエスの両足についていて、移動速度を上げる効果を持っていた。


 ハズレは仕方なくムチから手を離し態勢を整える。再び炎の剣はアニエスのものとなる。


 ハズレは手を背中に回した。今からやることをアニエスに見せない為である。


 背後でマッチ棒を擦り、箱の方を左手でしまい、そして火薬玉を取り出す。


「まだ何か策が?」


 アニエスが訊くと、ハズレは火薬玉を投げつける。その投げつけた方向は炎の剣シラユリヒメ。


 大きな爆発が巻き起こった。


「けほ、けほ、いったい何が――!?」


 アニエスの目の前にはハズレがいた。なんとハズレは爆発の中を突っ切っていた。


「お嬢さん、戦い慣れしてないだろ――皆、爆風から逃げる時大体後ろへ下がるんだ」


 アニエスの目の前で火薬玉とマッチ棒が接触した。


 また大爆発が起きた。


「ハズレ一点!」


 爆風から出てくるハズレ、吹き飛ばされ転がされるアニエス。


 そして落ちていた炎の剣を拾い宣言する。


「まだまだあるんだろ? アビリティーアクセサリー全部跳ね除けて勝ちを貰う」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ