第453話 ロードVS半魚人のフィルス
Dブロックのトーナメントが始まっていた。
様々な武器で戦う選手たち、様々な能力を使って戦う選手たち。
ロードは控室にて映像機に映され試合をベンチに腰を下ろして見ていた。
(凄いな、松明で戦ってる。相手は黒いマントだけど、火にあぶられても燃えないのか)
そして、時は着々と過ぎ、試合は終了した。
「勝者! アーティモリ選手!」
実況者の声が映像越しから伝わってくる。
(オレが次の試合だから勝ったとしたら、第2回戦の相手はこの人か……)
ロードはベンチから立ち上がり、控室を後にする。
映像機にはロードVSフィルスという文字が映し出された。
▼ ▼ ▼
ハオストラスタジアム・西門入り口。
そこには小さな個室と受付があった。
「ロード様でございますね」
受付嬢が近づく人影に確認を取る。
「はい……」
「この度はハオストラ武闘大会にお越しくださり誠にありがとうございます。ルールの説明は不要ですか?」
「確か、五点先取した方の勝ちだと聞いてます」
「正確には有効なダメージを与えたとき、一点づつ加算されていき、先に五点先取した方の勝利となります」
「有効なダメージ……(まぁ試合を見てたからなんとなくわかるけど……)」
「質問はありますか?」
「ないです」
「では、あちらの個室にてシャワーを浴びてください。プロテクトオイルを浴びておかないと大怪我しますので……」
「はい」
ロードは言われた通り個室に入り、予選と同じく服のままシャワーを浴びる。
▼ ▼ ▼
シャワーを浴び終わったロードは再び受付に来ていた。
「こちらのイヤリングを受け取りください。様々な言語の翻訳をしてくれます。戦いの最中、相手と話をしたり、有利なときはギブアップを勧められます」
「そうなんですかーー便利ですね」
ロードはイヤリングを付ける。耳に穴が無くても付けられるタイプのイヤリングだった。
「それではロード様には、宣告しておかなくてはならないことがあります」
「?」
「秘宝玉の件です。厳重な審査の結果、生命力で作られた長大な剣、または魂の生命力を使った攻撃の一切を禁止とします」
「ダメージ系ばかりじゃないですか」
「はい、秘宝玉の攻撃をプロテクトオイルをもってしても、打撃に変えることは難しいのでダメージ系の技全般は禁止されています」
「万が一使ってしまったら?」
「相手の方が重傷を負い、所有者を失格にします」
「そうですか……」
ロードはがっくりと肩を落とす。
「ですが、ロード様のそのほかの能力。傷を癒したり、軌道を読む能力の方は許可されました。存分に試合で生かしてください」
「あっ、そっちは使っていいんだ」
その時、
「さてそろそろ次の試合の始まりです」
実況者の声が聞こえて来た。
「さぁ、西門入り口前にお立ちください」
「はい」
ロードは門の前に立つ。そして歯車仕掛けの門が開いていく。
「東門から出てくるのは半魚人の異世界マーマー界からやって来たフィルス選手! 対して西門から出てくるのは動物とゼンワ語によって言葉を交わす異世界からやって来たロード選手です!」
わーーーーーーーー!! と歓声がロードに向かう。その光景は色とりどり、様々な人種の色でカラフルさが目に焼き付いた。
ロードとフィルスはお互いを見ながら前へ進む。
審判の元まで来ると両者は立ち竦んだ。相手は半魚人、鱗で覆われた身体と水掻きに耳元にエラのついた人型の生物だった。
「礼!」
審判の合図で互いにお辞儀をする。
「さぁ、Dブロックの試合も熱さが出て来ました。どのような試合になるのか楽しみです!」
「兄さん、悪いな。オレの鱗に剣は通らねーよ」
突然フィルスが口にする。
「始め!」
審判が赤旗を振り落とし、試合が始まる。まずは、
「この勝負――――」
フィルスが言って襲い掛かる時、ロードは青い剣を引き抜いた。その抜剣の時、飛ぶ斬撃を放った。
「うあああああああああああ!!」
フィルスは吹き飛ばされた。
「い、一点!」
審判が判定する。
「悪いな。この青い剣の斬撃は岩をも切り裂く!」
ロードが続けざまに青い剣を振る。二発目、三発目、四発目、五発目と続けざまに、正確に狙って、
「二点、三点、四点、五点! しょ、勝者ロード選手!」
審判があっという間の出来事に驚きながら判定していた。
「これは凄い。ロード選手の猛攻にフィルス選手は圧倒されてしまった!」
実況者モスが言う。
「どうやらあの青い剣は精霊の剣の様で、岩をも斬り裂く斬撃を生み出すようです。全て有効ダメージになるでしょう」
解説者キートが言う。
こうしてロードの第一回戦は終わった。
度肝を抜くデビュー戦となった。




