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第449話 ハオストラ武闘大会の始まり

 スタジアム門の前。 

 ロードたちはスワンの荷船に集まってそれぞれ飲料を飲んでいた。


「さっき受付の人に観客席の中で飲み物の売店をしていいかって聞いたらオーケー貰った」


 スワンがまず報告する。


「売り子か……でも、他にも売り子入るんじゃないか?」


 ハズレが言う。


「何事もやってみなくちゃ分からない。予想外の売り上げが期待できるかもしれないし」


「それで、テメーらは予選を通過できたのか?」


 グラスが話題を変える。


「ああ、逃げ回っていたらいつの間にか66名の一定数になっていたよ」


 ハズレが言う。


「嘆かわしい、正々堂々とぶつかり合わないか……オレは場外へ30人はぶっ飛ばしたぞ」


 ブケンがハズレの策略を非難する。


「本戦に入るまで、手の内を見せないのは利口な考えだと思うが?」


「小賢しい、男なら実力で突破してみろ」


「言うね~~一宿一飯の恩があるのに……そいえば朝食も……」


「武闘大会の賞金で返せば文句はないだろう」


「ロードはどうだったの?」


 スワンが訊いてくる。


「ああ、他の選手と背中合わせに勝ち残った」


「そうなんだ。友達が出来たんだ」


 スワンがドノミを見る。


「……………………」


 ドノミは緊張していた。予選に落ちたわけではない。


「まぁ、正々堂々と戦おう」


 ブケンが手を差し出し握手を求める。


「はい、お手柔らかにお願いします」


 ドノミは手を握った。


「にしてもどんな確率なの? いきなりブケン対ドノミさんなんて……知り合い同士の戦いなんてやりづらいでしょ……?」


 スワンが肩の荷を下ろす。


「勝ち残って行けばいつかは当たる組み合わせだ。早いか遅いかでしかない」


 ハズレが客観的に言う。


「オレの相手はグロックとか言うヤツだ」


 グラスが言う。


「オレはグレイ……対戦するまで顔と能力が分からないのは怖いな……」


 ハズレが言う。


「オレはフィルスという人物だ。ところでスワン、せいほうってなんだ?」


 ロードが訊く。


「せいほう? せいほうってあの魔法と対になってる聖法のこと?」


「良く知らないが、それが会場と観客席の間にバリアを張ってくれるらしい」


「ごめん。聖法のことはほとんど知らない確か神様たちが作り上げたシステムだとか……ドノミさんは知ってる?」


「いえ、存じ上げません」


「まぁ、分からないならそれでいいんだ」


「それより聞いたか賞金の額、金貨100万枚だとよ」


 グラスが言う。


「100万枚!」


 スワンが驚く。


「オレは訊いてなかった」


 ロードが言う。


「聞いた聞いた、スワンの荷船の借金どころか、一生遊んで暮らせるぐらいの額だな」


 ハズレが言う。


「目ぇギラギラさせんな」


「そっちこそ、ギラギラしてるぞ」


 グラスとハズレの目線に火花が散る。


「もう! 誰が勝っても賞金は山分けこれでいいでしょ」


 スワンが注意する。


「そうだ! ロード聞いたか!? この大会魔王がいるらしいぞ!」


 ハズレが思い出したかのように言う。


「何!? 魔王だと出場してるのか!?」


「聞いてないか? 優勝すると前年度の優勝者と戦えるって話……」


「聞いてるが……それがどうした?」


「その前年度の優勝者がシドウオガって魔王だってさ、秘宝玉も持っていて、前年度の願いを叶える賞品の方で殺し合いが出来る決勝戦がしたいって願ったらしい」


「そうか……どうやらオレは是が非でも優勝してその魔王と戦わなければいけないみたいだ」


 ロードが心を新たに優勝する決意をする。


「その心がけは結構だが、優勝候補が他にもいるらしい。オレも1回戦中に調べて来るけど、油断はならない連中が多いようだ」


「分かってる。誰が相手だろうと油断はしないさ」


 ロードが美味しい水を飲み干して会場へ向かう。


 他の面々も大きな門を潜りハオストラスタジアムの中へ入って行く。



 ▼ ▼ ▼



 ハオストラスタジアム。

 まず、地下通路と観客席の階段と正面の大きな門が見えてくる。

 ロードたちの出場はまだだったので観客席の方へ移動する。

 スワンはそこの受付で荷船を預け、売り込みようの飲料水の入ったボックスを両手に抱えて運び込む。



 ▼ ▼ ▼



 観客席。

 来場者数はザッと5万人はいた。

 大きな電光掲示板がトーナメント表を現し、向かい側に窓ガラス越しのVIP席が用意されていた。


「恐らく、スポンサー様方の席でしょうね」


 ロードの疑問をドノミが答えた。


「にしても数が多い……これでは座れないぞ……」


 ブケンが言う。


「それじゃあ、オレは情報収集に行ってくるから」


 そう言ってハズレは観客席を縫って歩いて行った。


 その時、会場の中央に審判員が現れた。ロードにとって不思議な物を握っていた。


「アレは銃と言って、相手に弾丸を打ち込んでダメージを与える武器なんですよ」


 ドノミが密かに答える。


「審判が何故そんなものを持っている」


「今に分かります」


 ドノミの言う通りだった。


 審判員は銃を天に向けてトリガーを引き、会場にお越しのお客様を全員、静かにさせた。


「それでは会場にお越しの皆々様、これより第10万3585回ハオストラ武闘大会を始めたいと思います。実況はわたくしモスと……」


 はきはきした声がマイクを通して会場内に響き渡った。


「解説はキートがお送りします」


 不愛想な声もマイクを通して会場内に響き渡った。


「いよいよ始まる。うずくぞ、5年越しに鍛えた体が……」


 ブケンの口角が吊り上がっていた。


(最強を決める戦いか……)


「それでは早速始めましょう。入場するのは東の方角からーーゲンドウ選手! 西の方からーーイカリ選手!」


 東の門と西の門から選手が入場し、それぞれ睨み合っていた。両者が会場中央まで近づくと、審判員が働く。


「礼!」


 両者は頭を下げて、いつでも攻撃できるように構えた。


「第1回戦Aブロックの試合開始でーーす」


 実況者モスの一言と共に、審判員の赤旗が振り下ろされた。


 ハオストラ武闘大会の本戦が始まった。

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