第444話 武闘大会への参加
焼肉食べ放題の店。
「武闘大会に参加する? ロードどういう風の吹き回しだ? お前がそんな道草をするなんて」
ハズレが言う。
「ちょっと自分の実力を試したいんだ」
ロードが答える。
「実力を試す?」
スワンが寿司を頬張るのをやめて訊く。
「ああ、今までの魔王戦でオレは一人の力で魔王を倒したことが無い。だから戦闘経験というものを積んでおきたいんだ。これからの為に……」
「ドノミさん……その大会、剣技は許されてるの?」
「さぁ、私はよく知りませんね」
「使えるぞ、剣も槍も能力も……」
答えたのはブケンだった。
「それって危なくない? 死人とか出たりするんじゃ……」
「いいや、出たって話は聞いたことない」
「私も聞いたことありません。確か安全なルールの元開かれる武闘大会と聞いてます」
「ふーーん、まぁ危なくないならいいんだけど……」
「それは考慮してなかった」
ロードが頭を抱える。
「まぁ、何にしても賞品を手にするのは俺だけどな」
ブケンが自分の胸を叩く。
「賞品ってなんなの?」
「何でも願いが叶うって賞品」
「フン、ここでかかしヤロ―との決着をつけるのもいいかもなぁ」
グラスが言う。
「今、賞品欲しさに出ることにしたでしょ」
「オレも出ようかなぁ、金さえあればスワンの抱えてる借金も返済できるし」
ハズレも言う。
「私も及ばずながら武闘大会に参加しようと思います」
ドノミも言う。
「ドノミさんまで……」
「一つ聞きたいんだが、あんたたち何者だ?」
「勇者ロード」
ロードが答える。
「と、その仲間たち」
ハズレが答える。
その時、ピピーーーーッとベルが鳴った。
「食べ放題終了ですね……」
ドノミが礼儀正しくごちそうさまをする。
「さて会計だ。グラス行くぞ……?」
ロードはサラダを掻き込むグラスに言う。ほどなくして完食していた。
ロードたちは会計を済ませ、焼肉屋を後にした。
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町中。
外は既に青き夜が支配していた。
スワンが隠者の指輪を使って消していた荷船を現し、イルカのような精霊ドルフィーナに引かせる。
「ふぅーー食べた食べた」
スワンが言う。
「焼肉屋、値は張るが美味しかったな」
ハズレが満足そうに言う。
「私もこういったお店に来るのは初めてでした」
ドノミが言う。
「で、これからどうすんだ? かかしヤロー」
グラスが訊く。
「ブケン、この辺りに宿屋はないか?」
ロードが訊く。
「教えてやってもいいが、オレも一晩泊めてくれないか?」
ブケンが条件を持ち出す。
「わかった」
「じゃあついてきな」
ブケンを先頭に一行は宿屋を目指す。
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宿屋。
「えっと6名様、二人部屋が3つとなりますがよろしいでしょうか?」
「はい」
ロードが答え、代金3金貨を払う。
「こちらが鍵となります。ごゆっくりくつろぎ下さい」
受付の男性がそう言う。
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二階の廊下。
ロードたちは部屋の前に着いた。
「じゃあ、オレとグラスはこの部屋だ」
ハズレが言う。
「ドノミさんは私と同じ部屋ね」
スワンが言う。
「はい」
返事をするドノミ。
「ブケンさんはオレと同じ部屋でいいよな?」
ロードが訊く。
「ふかふかのベットで休めるならどこでもいいんだ」
ブケンが言う。
「明日は隣街の…………何だっけ?」
「大会の街はイタンシックという」
「明日はイタンシックという街に早朝に付かなければならない。皆早いだろうが明日の朝に備えておやすみだ」
ロードが挨拶する。
「あーー了解」
ハズレが言う。
「おやすみ」
スワンが言う。
「おやすみなさい」
ドノミが言う。
それぞれが別々の部屋に入って行った。
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ロードとブケンの部屋。
木製の部屋だった。カーテンと机が一つ、ベットが二つクローゼット付きの全体的にキレイな部屋だった。
「ベットで眠るなんて何年ぶりだろう。この一泊の恩は明日返すから」
ブケンが言う。
「ブケンさん、悪いが優勝はオレが頂く」
ロードが言う。
「これでも、5年間山籠もりして鍛えて来たんだ。そう簡単に優勝の座は譲るつもりはない」
ブケンがベットに腰掛ける。
「こっちもだてに魔王と死闘を繰り返してきたわけじゃない」
「ふーーん、自信はあるわけだ。面白い、戦うことがあったらお互い全力を出して戦おうじゃないか」
「ああ、だけど、オレは強いと思うぞ」
「そうか! それは逆に燃えてくる展開だな! オレは強い奴と戦うのが好きなんだ!」
「どうしてだ?」
「拳でしか相手のことを理解できない不器用な人間だからさ」
「拳で相手のことを理解?」
「まぁ戦うことがあったらよろしく。オレはもう寝る」
ベッドに入ったブケンがすぐさま眠りについた。
「ブケンさん……」
ロードが呼んでみるが、ブケンはいびきを掻き始めた。
(さて、オレも寝るとするか……しかし、これも何かの縁だ)
(故郷から旅立って2カ月、オレの実力も知っておかないと、たとえ優勝できなくても)
(そう考えると武闘大会楽しみだなぁ)
ロードは明日の武闘大会を楽しみにしていた。
そしてベッドに潜り込み、まぶたを閉じて眠りの世界に誘われた。




