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第442話 山籠もりからの帰還ブケン・リーチョン

 焼肉食べ放題屋。

 ロード、ハズレ、スワン、グラス、ドノミは焼肉を楽しんでいた。

 ジューージューー焼ける肉の匂いが食欲をそそる。

 ロードたちは一口目を食べていた。


「お、美味しい」


 ロードの第一声だった。


 そしてもう一人、この場に居たのがブケン・リーチョンだった。

 彼曰くこれも何かの縁だと言い、行き倒れの状態から彼らについて来ていた。

 今ではガツガツとカレーライスとやらを食べている。


「ブケンと言ったか?」


 ハズレが肉を焼きながら訊いてみる。


「ああ、キミは?」


「ハズレだ。それよりどうしてあんなところで行き倒れた?」


「ここ数日何も口にしていなかったからだよ」


 ブケンは答える。


「数日って、どうして食べなかったの?」


 輝くネタの寿司を食べながら訊くスワン。


「決まってるだろ、お金がなかったんだ」


 ブケンが焼きあがった肉を頬張る、さも美味しそうに、


「ドノミです。いつから食べていないんですか?」


 ドノミが上品に手をそえて焼けたお肉を食べる。


「山籠もりから帰って数日したところだ」


 ブケンがハンバーグを一口にしながら言う。


「山籠もりだぁーー?」


 グラスがメニュー表のサラダを見ながら、チラリとブケンの顔を見た。


「そう、明日は武闘大会があるからな。いやーー修行から帰ったはいいが、一文無しで町をうろついていたから困ってたんだ」


「武闘大会?」


 ロードが口にする。


「そうさ、明日隣街で開催される大きな大会だ。知らないか?」


 ブケンがお茶をがぶ飲みする。


「いつから山籠もりをしていたんだ?」


「もうかれこれ5年になる」


「5年?」


「そうさ、15才の頃、オレは年に一度開催される武闘大会に出場して、第1回戦でフンカーとかいう爺さんにボロ負けした。その時が悔しくて悔しくて、いつか絶対勝ってやろうと思って俗世から離れ、一人山籠もりして修行していたんだ」


 ブケンがお茶をコップに注ぐ。


「山籠もりか……どおりでキミの服はボロボロになるわけだ」


 ハズレが肉をサンチュで食べる。


「ただの服じゃない。武闘家愛用の胴着というものだ」


「胴着ね~~」


 指に着いた油を舐めとる。


「今こうして、おごってもらっているが安心してくれ、明日の武闘大会で優勝してその賞金で今日の借りを返すから」


 ブケンが言う。


「いや、返してもらおうと思っておごっている訳じゃない。行き倒れている人を助けたかっただけだ」


「あんたいい人だな~~」


 うな重をがつがつ食べる。


「賞金っていくらくらいなの?」


「え~~~~っと、確か100万金貨だったはず」


「「「――――!!」」」


 ロード、スワン、ハズレ、ドノミが驚く。


「もしかしてその武闘大会、異世界の住人が来たりします?」


 ドノミが聞いていた。


「ん? ああ、いっぱい来るんだ。10万年前は武道者のみの戦いが見れたが、今の時代では何でもあり、異世界の住人までこの大会に参加し、妙な能力や神秘の力を使ってくるものが多い」


 ブケンが答える。


「ドノミさん、この異世界のことを知っているのか?」


 ロードが肉をかいつまんで訊く。


「はい、一度管理局の資料で目を通したことがあります。あらゆる異世界から強者たちがやって来て、勝利を競い合う優勝賞金100万金貨の10万年続く武闘大会、その名をハオストラ武闘大会」


 ドノミが箸を止めて言う。


「何だもう食べねーのか?」


 グラスが訊く。


「はい、必要最低限のカロリーは摂取しました」


 ドノミが律義にごちそうさまと言い手を合わせる。


「こいつが欲しいんだが……」


 グラスがドノミにサラダの山もりを頼むよう指示する。グラスはいまいちここのシステムを理解していなかった。


「わかりました」


 テーブルにあるボタンを押すドノミ。まもなくして店員が来て、サラダを注文する。


 一方ハズレの方は火を強火にしていた。ギリギリ焦げるか焦げないかの部分の焼肉を楽しんでいた。


「ハオストラ武闘大会……それはオレたちでも出られるのか?」


 ロードがブケンに訊く。


「ん? ああ、誰でも参加は自由だ。ただし本戦を楽しめるのはほんの一握りだけだけどな。あんたらひょっとして異世界の住人か?」


「異世界を知っているのか?」


「ああ、この世界じゃ珍しくもない。この世界に来たばかりなら、ハオストラ兄弟の伝説を知っておくと良いぞ」


「ハオストラ兄弟?」


「ああ、武闘大会の創立者にして歴代最強の武道家の称号を持った兄弟の話だ」


 ブケンがひとまず皿の上に箸を置いて話始める。

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