第439話 飲料店ホワイトポッポ
とある異世界。
天候もいい日、空気も美味しい世界。
ロードたちは普通に人が住む世界に来ていた。
ロードたちはスワンの飲料店を手伝うことで稼ぎを得る。
だからこそ、その世界の公園で荷船を安置して、店の看板を掲げていた。
店の名はホワイトポッポ。おいしい水に、フルーツジュース、青汁が現在のメニューだった。
ロードたちは円卓のテーブルと椅子を用意して、その場で飲料を飲みながらくつろげる空間を作っていた。
そして客が来る。
ハズレが接客を、スワンとロードがそれぞれの担当の飲み物作りを、ドノミがレジ打ちを、グラスが荷船の船上で一眠りしていた。
「おいしい水、3杯注文はいりました~~」
ハズレが荷船に篭るスワンに話しかける。
「はい、美味しい水3杯」
スワンがカップに入った綺麗に透き通る水を3杯用意する。
それをハズレがトレイに乗せて、注文して来たお客様方へと運んでいく。
テーブル越しに談話する女性たちにおいしい水を届けるハズレ。
「ごゆっくり楽しみください」
ハズレがさわやかスマイルで接客していた。
「店員さ~~ん、こっちの頼んだリンゴジュースはどうなっていますか~~?」
テーブルの席に着く家族連れの男性が話しかけてくる。
「はい、ただいま準備中なので少々お待ちを……」
ハズレが対応する。
「パパ喉乾いた~~」「私も~~」
二人の娘がリンゴジュースを今か今かと待ちわびていた。
「……おい、ロード――リンゴジュース4杯はまだか~~」
ハズレが荷船の方に向かって言う。
「済まない。あと1杯で人家族分だもう少し待ってくれ」
ロードがリンゴジュースを搾り器で作っていた。
「じゃあ先に出来たものを持って行かせてくれ、子供たちが我慢しきれないみたいなんだ……」
ハズレが提案する。
「……分かった、そこのカップに入ったものがリンゴジュース3杯だ。持って行くといい」
ロードが搾り器でリンゴジュースを作りながら言う。
「これのことだな?」
ハズレがトレイに3人分のリンゴジュースを持って行った。
「おいしい~~」「リンゴジュースだ~~」
子供たちは喜んでいた。
「ん? 3人分しかないようだが?」
子供たちの父親がそう言う。
「すいませ~~ん、4杯目はただいま準備しておりますのでしばらくお待ちを……」
ハズレがお客様に対して対応する。
「あの~~店員さん、お会計したいのだけど……」
本を片手に持った女性が訊いてくる。
「お会計はあちらの方になります」
ハズレがレジの方へ手で促す。すると女性はレジの方へ向かって行った。
レジの前で座っているのは元管理局員のドノミだった。
女性が財布から1枚の銀貨を取り出し、ドノミに差し出していた。
「まいどありがとうございます。当店の飲料水はどうでしたか?
ドノミがレジ打ちしながらお客様に訊いていた。
「とても美味しかったですし、本も気軽に読めたのでいい気分転換になりました」
女性が言う。
「それは何よりです。ありがとうございました~~」
ドノミがお客様を見送る。
一方ハズレはと言うと、今しがたやって来たお爺さんに話しかけられていた。
「いらっしゃいませーー当店ホワイトポッポへようこそ」
「済まんが、この青汁とかいう飲み物をくださいませんかの~~」
「わかりました。お持ち帰りですか? ここで飲んで行かれますか?」
「じゃあ、お持ち帰りで……」
「かしこまりました。おーーーーい!! グラス起きろーーーー!! 青汁の注文が入ったぞーーーー!!」
ハズレが荷船の船上の方に向かって声を張り上げた。
「ちっ、」
グラスがめんどくさそうに起き上がり、船上から地面に飛び降りて着地する。
「何杯だ?」
もの凄く目つきの悪いグラスが訊く。
「1杯だ」
ハズレが答えると、グラスは荷船の飲料造成所部分まで移動し、青汁を作り始めた。
「お爺さん、少々、椅子に腰掛けてお待ちください」
ハズレがそう言うと、お爺さんは椅子に座り込み待つ。
ロードたちはそうやって生活するための資金を稼いでいた。




