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第438話 ドノミさんの笑顔とトンガリの旅立ち

 ドルフィーナは世界の狭間を彷徨い、次の異世界を進んで行く。

 荷船に乗っているのはロード、スワン、ハズレ、グラス、そして無理やりさらわれたドノミ。


「どういうつもりなんですか!? 大事なことだと言ったのに! ただ黙っていれば良かったのに!」


 ドノミがロードに詰め寄る。


「黙って話を聞いていたじゃないか……途中までは……」


 ハズレが口を挟む。


 キッとドノミがハズレを睨む。そして――


「スワンさん! 何故テントに乗り込んできたんです! 誰の計画ですか誰の!?」


 スワンに詰め寄るドノミ。


「えっ、えーーーーっと……」


 スワンは両手を壁に目を逸らす。その目の先にはロードがいた。助けを求めるように、そしてドノミは目線の先に気づく。


「ロードさん!! 大事な話だって言いましたよね!?」


 ドノミはロードに顔を近づける。そこには迫力があった。ロードは臆さずその目を見つめる。


「あーーーーうるせーーーー女だーーーーイヤだったらここから飛び降りろーー!!」


 グラスがイライラしていた。その言葉を無視するドノミ。


「あのさーードノミさん。大事な事ってあの自己犠牲のことか?」


「――――!?」


「自分だけに責任をおわせて他の全ての問題を許してもらう。それってある意味逃げだぞ?」


「わ、私はただ、皆さんに罪を背負ってほしくなくて……」


 ドノミがロードから顔を下げる。


「ドノミさんの大事な話は分かるよ。私だってドノミさんの立場なら同じことしてたかもしれない」


「スワンさん。あの現場にいなかったあなたに何がわかるって言うんですか?」


「ロードから全部聞いた!」


「――――!?」


「ああ、オレが教えた……」


「どうして、あのまま黙っていればあなた達はスライムの世界を救った救世主になれたのに、私の責任は間逃れなかった。それでも、あなた達だけでも救おうと考えたのに――」


「ドノミさん……」


 ハズレはそこから黙り込んだ。


「スライムだけじゃない。オレが助けたいのは苦しんでいる人たちだ。ドノミさんがこの先苦しい罰を受けるのを予測して、スワンにさらわせた」


「それでもよかったのに、分かってますか? 管理局の規則に逆らうものが現れたら、犯罪者なんですよ?」


 ドノミさんは泣きそうになった。


「…………犯罪者が何だ? グラスお前ならどう思う」


「ハァ? 犯罪者? くっだらねぇーーどこで何しようがオレの勝手邪魔する奴はぶっ飛ばせばいいんだよ」


「えっ?」


 涙をぬぐうドノミ。


「スワン、お前は犯罪者になると聞いてどう思う?」


「結果よければすべてよし、捕まるのなら逃げ続けるだけ……あの魔王フォッテイルの時の様に……」


「に、逃げ続ける?」


 涙が止まるドノミ。


「ハズレ、お前が犯罪者になると言われたらどうする?」


「悪口は慣れっこさ、言わせておけばいいのさ。大事なのはそのレッテルを気にしない強さを持つこと」


「強さ……?」


「ドノミさん、オレなら犯罪者と呼ばれてどうすると思う?」


「……………………分かりません」


「分かるはずだ。犯罪より大きな善行を働いて犯罪者の肩書を消す。ドノミさんがオレに教えてくれたんだぞ」


「――――!!!?」


「ドノミさん。一緒に異世界に蔓延る魔王を倒して、犯罪者のレッテルを無くそう。それがオレの答えだ」


「………………ロードさん」


 ドノミがポツリと呟く。


「相談に乗るのがお上手ですね」


 ドノミは涙を捨て、笑顔を拾った。


「決まりだ」


 ロードが言う。


「管理局は今日で退社だな」


 ハズレが言う。


「ドノミさん今日からうちの従業員だね」


 スワンが言う。


「ちっ、くだらねぇーー」


 グラスが言う。


「あは、ははは、ははははは」


 ドノミさんがロードたちの前で、他人の前で初めて笑った。


「さぁ行こう」


 ロードたちは次なる異世界に向けて進みゆく。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 スライムの世界・とある村。


「ただいまーーーー」


 トンガリが故郷の家に帰ってきていた。


 タタタタタタタと家の奥から二匹の夫婦スライムが駆けつけた。


「ト、トンガリ!?」


 パパスライムが言う。


「いつまでも帰って来ないでどこに行っていたのよ」


 ママスライムが言う。


「ホーン魔王国に言って魔王祭に参加したんだ」


 トンガリが自信満々に言う。


「ホ、ホントに行ってきいたのか?」


 パパスライムが訊く。


「嘘おっしゃい、レベル1のくせに魔王祭に出られるものですか!」


 ママスライムが言う。


「本当のことです」


 その時、トンガリの後ろから衛兵の列の道を通るお姫様の姿があった。


「誰だい、このべっぴんさんは……」


「パパ、新聞で見たことある。まさかそんな」


「はい、私はホーン魔王国の姫、ティアーラと申します」


 スライムのお姫様がトンガリの家族に挨拶する。


「トンガリ、まさか」


 パパスライムが感づく。


「そんな、うちの子が?」


 ママスライムも驚く。


「はい、この方はホーン魔王国の現国王――――」


 姫が紹介しようとして、


「トンガリ様だ」


 魔王が堂々と宣言した。


「そうか、そうだったのか」


「心配かけて来たと思ったら、こんなに元気になって」


「パパ、ママ、オレは挨拶がてらここへ立ち寄ったんだ。オレは魔王として世界を旅しに行ってくる。だから当分会えない」


「会えないってお前どこへ行く気だい?」


「そうだ、まさか、ホーン魔王国へ引っ越すのか? だったらパパたちも……」


「パパとママは先に引っ越して俺には使命があるんだ!」


「トンガリ様は世界中のスライムを救う旅に出発なされるんです」


 ティアーラ姫が言う。


「絶対戻って来るから、笑顔で見送ってよ」


 トンガリが別れの言葉を言う。


「分かった早く用事を済ませちゃいなよ」


「パパたちは待ってるからな」


「パパ、ママ、育ててくれてありがとう。それじゃあ行ってくるよ」


 トンガリは玄関から飛び出して旅に出て行った。それを見送るスライムの夫婦。


「……昔から無茶言う子だったけど」


「……なんか、頼もしくなったな」


「……あのーー恐縮ですけど、トンガリさまのこと、お二方に訊きたいのですが……」


「えっ、あたしたちはいいけど」


「この家狭いよ」


「構いません。教えてください」


 ティアーラ姫が頼み込む。


「わかりました。そしたら上がんなさい」


「生まれる前のことから話します」


「ありがとうございます。奥様、旦那様」


 スライムの異世界も変わっていく。



 ▼ ▼ ▼



 タタタッと歩いていくスライムがいる。


「があああああああああ!!」


 目の前に暴走するスライムが現れた。


「今、治してやるからな」


 トンガリが理性の秘宝玉を発動して、暴走していたスライムを正気に戻す。


「ぐごーーーーーー」


 助けたスライムは眠ってしまった。


「ロード、どこへ行ったか知らないけど、そっちも頑張れよ! オレも頑張るから!」


 空を見上げるトンガリだった。ロードと出会った道でロード共に歩いた空の下を進んで行く。


 トンガリの旅は始まったばかりだ。

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