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第429話 勇者ロードVS魔王バグバニッシャー

 ロードとスライム型の魔王バグバニッシャーは走り出していた。


 ロードは地面に刺さった赤い剣を抜き取り、両手に剣を構えた状態となる。


「双剣使いか――――!!」


 タマゴの殻の中から腕を出し拳を作り肥大化させる。そのままロードに殴りつける形になった。


 ロードの方は青き剣を振って拳を斬ろうとした。だが、スライム系に言えるブヨブヨした身体に剣が埋め込まれて、引っ付き取れなくなっていた。


「――――!!!?」


 肥大化した拳のせいで、スライム本体が見えなくなっていたのが災いし、上から来るバグバニッシャーに気づくのが遅れた。もう一つの拳をハンマーのように振り被ってくる。


「潰れろ!」


「――――ミチル!!」


 ロードが名を呼ぶとミチルは埋まったまま斬撃を放ち、拳を斬って前に飛ぶ。その勢いを利用してロードは攻撃を躱す。


 ドスンと会場の地面が拳のハンマーによって割れる。そして、斬ったはずの腕も再生していた。


「……………………」


 ロードは間合いを取る。


「お前、強いな……面倒だ」


 魔王バグバニッシャーが言う。そして割れた地面の瓦礫を掴み、ロードに向かって飛ばす。


 ロードは目を見開くと、瓦礫の軌道が見えた。そして瓦礫を全て避けて行く。それはかつてフォッテイル戦で活躍した力。


「道が見える」


「ホント面倒だ!」


 魔王バグバニッシャーが左手を上げるとウィング系スライム達がロードに向かって行った。


「水霊の腕!!」


 しかし、スワンの精霊の術の援護でスライム達は道を阻まれた。


「ミチル!!」


 精霊ミチルの名を呼び、連続で斬撃を飛ばす。魔王バグバニッシャーは後ろへ下がっていき避けて行く。


(なるほど……暴走させたスライム達を呼ぶことが出来るのか、それにあの小ささとスピード、ミチルの飛ぶ斬撃が全て避けられた。接近すれば腕の粘着力に剣が埋め込まれ、地面を叩き壊すほどの腕力、厄介だ。ならば――――)


 ロードはミチルの剣を鞘に納めて、赤い剣竜封じの剣を上に掲げた。


「距離、15メートルか……」


 ロードが呟く。


「ん? 何だ?」


 魔王バグバニッシャーは奇妙な目をした。ロードの剣に光が宿っていくのを見た。それは剣の長さを長く変え、かつ神々しい輝きを放っていた。


「最初の一撃!」


 ロードが15メートルにまでなった剣を振り下ろす。しかし、相手が小さくてうまく狙いが定まらなかったためか、その光の剣は魔王のすぐ横に振り下ろされた。魔王同様に会場の地面を叩き割る。


「うおっと! あ、あぶ――――」


 魔王は瞬間気が付いた。刃が翻るのを見た。横なぎに振ろうとしているようだったので、ジャンプした。


「目のいい奴だ」


 光の剣で刃はの矛先が見えていないと思ったロードが言う。この時ロードがしたことは地面に埋まった光の刃を直ぐに方向転換して、魔王を横なぎに切り裂こうとしたのだった。


(暴走したスライム達がいる。使われたら厄介だ。別の場所に移動しなくては――――さて、気づいてくれるだろうか)


 ロードはスワンと目が合った。ロードは顎で会場の外を示唆した。


 この時

(分かった)

 スワンは即座に理解した。


 そして行動に出る。水の腕をジャンプした魔王に差し向けて包み込み、会場の外そして観客席を越えて魔王城の外に連れ出した。


 この時ロードとスワンは周りを見た。魔王と引き離したのにスライム達の暴走が解けないことを、


(ここで暴走が解けないとなると――後で一匹づつ生命力を貰っていくしかないか……とにかく人質とされる心配はなくなった)


 ロードの光の剣が元の赤い剣に戻る。


「行くぞスワン!」


 ロードはミチルの力によって空を飛ぶ。


「うん」


 スワンは水のサーフボートを乗り空を飛ぶ。


 二人はホーン魔王城を後にした。



 ▼ ▼ ▼



 バシャンと魔王を包んだ水が市街地の建物にぶつかり割れた。


「痛てて……」


 魔王がスライムの家の建物の上で呻く。


 すると、ロードとスワンが空を飛んでやって来た。


「あのスライム達の暴走を解け」


 ロードが言う。


「お前、聖法使いじゃないな……秘宝玉所有者か」


「ああ、道の秘宝玉だ」


「ほう、道か、あのトンガリ帽子を付けたスライムを鍛えたりしたか?」


「トンガリを知っているのか?」


「そんな、ちっさい名前か、あ、知ってる。俺様の本能覚醒が効かなかったが、お前の仕業だな?」


「どういう意味だ?」


「道、アイツの心を導いて、本能的にならないようにしたんだろ……そうでなきゃ本能の秘宝玉の力に抗うことは出来ない」


 魔王バグバニッシャーはゆっくり態勢を整える。


「そうか、アイツは強かっただろう」


「全然! お前たち、俺様をこんな所へ連れてきてどういうつもりだ?」


「会場のスライム達を操らせない為にここまで運ばせた」


「バカが、街の中に何10万のスライムがいると思ってる。俺様の本能を使えばここら一帯のスライムは支配下に置け――――」


 その時、3人の人影が新たにスライムの建物の上に現れた。まるで魔王バグバニッシャーを囲むように、その3人とは、ハズレ、グラス、ドノミだった。


「――――まだ仲間がいたか!?」


「逃がしはしないぞ有害な魔王……」


 ロードが剣を構える。


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