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第423話 白熱、レースバトル

 魔王祭参加者37名のスライムはとうとう最終試練に挑もうとしていた。


「観客の皆さま! ついに最終試練でございます! どうぞ、声援の声をこの最後の5分間にかけ続けて欲しいとそつに願います!」


 衛兵長が言う。


「お、おおーー!!」「もう最終試練か!」「頑張れーー!」「デカいの! お前が魔王候補だぞ!」「さっきの小さいの頑張れよーー!」「おとーーーーさん!! 頑張って!」「ダーリン! 頑張ってーー!」


 観客たちはそれぞれの思いや願いを乗せて選手たちを応援した。


「身体がうずくぜ」「おおーーレースはまだか!」「よし、お父さんは頑張るぞ」


 アニマル系、ネイチャー系、シンプル系スライム達が意気込んだ。


「まさかトンガリがここまで勝ち上がって来るなんて……だが、魔王になるのはオレだ」


 トンガリの友逹、帽子を逆に被ったガボが呟く。


「正々堂々勝負しよう」


 その声を聞いていたトンガリは隣の友逹にそんなこと言っていた。


「ぬん」


 10メートル級のシンプル系スライムが選手たちの後ろに回る。


「……………………」


 卵の殻を被ったスライムがとびだす姿勢を取る。


「では、皆さん準備はいいですか!?」


 スタート合図を任されたスライムが言う。


「トンガリ、バカにして悪かったな」


 ガボが言う。


「もういいよ、それよりレースが始まるよ」


 トンガリが笑顔で許す。


「ああ、そうだな 、負けないぞ」


「オレだって……」


 位置に着くトンガリとガボ、真剣勝負をしようとしていた。


「レディ――――ゴーーーー!!!!」


 魔王祭参加スライムが一斉に走って行った。


 しかしまず異変が起きた。それは10メートルスライムの行動だった。一番後ろに居たはずのスライムが身体を前に倒し転がり始めた。


「危ないぞ!」「後ろ後ろ!」「踏みつぶされるぞ!」


 観客が参加者に言うが、気づいたときには皆踏みつぶされてビッグスライムは転がって独走し始めた。


「……あ、あのヤロー」「体つきが違いすぎる」「もう10メートル以上も離れた」


 スライム達は文句を言っていたが、ビッグスライムを追いかける。しかしその差は歴然、ビッグスライムはものの数十秒であらゆる障害物を突破して瞬く間に、ゴールした。この時点で秘宝玉選定の1番はこのビッグスライムとなった。観客たちが祝福の言葉を送っていた。

 一方、潰されて追い抜かれたスライム達は第一障害物と接触した。

 まずは滑り台、階段を登って、滑るだけ。この滑り台は5つ設置されていたため、早い者勝ちで乗ることが出来た。足の速いアニマル系が最初独占した。

 そして次に動く地面に到達した。進もうとするスライム達を、逆方向に地面を動かすことで突破させないようにしている。ここは全力疾走しないと突破できないのが皆わかっていたため、皆死に物狂いで走った。

 次の障害物は崖登り、崖にはカラフルな岩が埋め込まれ、それにしがみ付きながら上がっていくしかなかった。しかしこの障害物で、動く地面に体力を持って行かれたネイチャー系スライムが上がれずにいた。時間的に失格はま逃れないかもしれなかった。

 次の障害物はパン食い競争だった。糸に吊るされたパンをジャンプして全部食べる。アニマル系にとても有利な障害物だった。一口で食べて、シンプル系と距離を離す。シンプル系は大体4口、5口で食べ終わって後を追う。

 次の障害物はジャングルジムだった。上手くすり抜けて、前を進む障害物となっていた。ここでアニマル系たちはジャングルジムで遊ぶことが楽しくて、シンプル系スライムに追い越された。スライムでもアニマルの本能は捨てきれないようで遊ぶことに夢中になっていた。わずかなアニマル系が我に返り、シンプル系を追いかける。

 次の障害物はハードル走、ビッグスライムはここを巨大な身体を弾ませてまとめて飛んだが、トンガリたちはそうもいかない。


「あと、1分!」


 衛兵長の声がレースの制限時間を教えて来た。


「うわっ!!」


 ガボがハードルに引っ掛かってこけた。けがをしたのか走り出そうとしない。


「ガボ!」


 トンガリが心配するが、


「来るなトンガリ! 走れ魔王になりたいなら走れ!」


 ガボが言う。


「うん」


 トンガリはハードルを越えてその場から去って行った。


 ガボはもう体力の限界だったのか、その場で倒れ込んだ。後から追い上げるアニマル系に追い抜かされて行く。


 そしてトンガリはシンプル系の中でも最下位となった。さらにトンガリに負けず劣らず並んで走っていたホラー系スライム、卵の殻を被ったスライムと互角に並んで走っていた。


 そして最後の障害物泥の地面、ここでシンプル系は足場のぬかるみにはまって動きづらそうにしていた。

 そこにアニマル系スライムが追いつき、シンプル系スライム達を追い抜かす。

 ここで勝負は決まった。何匹化のシンプル系は泥から抜け出しゴールして、続いてジャングルジムに留まらなかったアニマル系がゴールしていく。

 そして最後、トンガリ対卵の殻を被ったスライム。互角の走りをしていた。


「トンガリーーーー! 頑張ってーーーー!」


 スワンがラストスパートを頑張るよう応援した。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 トンガリが卵の殻を被ったスライムを引き離して行く。しかし、体力が切れたかの様にトンガリはゴール目前で倒れた。そして卵の殻を被ったスライムはトンガリを抜かしてゴールした。

 トンガリは薄れゆく意識の中でゴールラインを見る。


「あと、一歩」


 トンガリが呟く。


「制限時間まで後10秒!」


 衛兵長が言う。


「坊主頑張れ!」「小さなスライム頑張って!」「もうすぐゴールだぞ!」「あと一歩だ!」


 観客たちがトンガリを応援する。


「あと5秒。4、3――――」


「――――――う、うおおおおおおおおおおおおおお!!」


 トンガリは身体が壊れてもいいから前に進み。


「――1――」


 ゴールした。


「――0――障害物レース終了! おめでとう小さなスライム」


 トンガリは最後になってしまったが、秘宝玉選定に参加できる権利を獲得した。


「ロード、トンガリがやったよ」


 スワンが呟いた。


「トンガリの奴、凄いぜ」


 ガボが賞賛した。


 観客たちはワーーーー!! ワーーーー!! と歓声を上げた。


「やった、やったよーー」


 トンガリが会場に倒れ込んだが、笑顔で嬉しそうだった。


 これで、秘宝玉選定に参加できるスライムは決まった。シンプル系6匹、アニマル系13匹、ホラー系1匹、合計20匹が参加できるようになった。


 魔王祭はついにフィナーレを迎える。

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