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第417話 始まる魔王祭

 ざわつくスライム達は門の上を見ていた。

 それに気が付いたスワンも門の上を見てみる。

 するとそこにはスライム達がいた。

 よく見るためにスワンは、トンガリを置いて同じ高さまで飛んでみる。

 そうするとホーン魔王国の旗を持つスライムの衛兵が複数と、お偉いさんに見える方々がいた。


「スワーーーーン!!」


 トンガリに呼ばれる。スワンは急いで元の場所に戻った。


「トンガリ、アレを見て……」


 スワンが門の上を見ながら言う。


「――――アレはもしかしてティアーラ姫?」


「誰なの?」


「先代の魔王カンムリ様の孫だよ」


 トンガリが答える。


「始まるぞ」「いよいよか」「魔王になるのは俺だ」「しっ! 静かに」「大臣の演説が始まるぞ」


 ざわつくスライム達がティアーラ姫の登場に声を潜ませていく。


 そして門の上にいた大臣が一歩前へ出て国民改め、よそ者に挨拶する。


「え~~~~オホン、皆さんこの度は年に一度の魔王祭にお集まりいただき、誠に感謝する次第、これよりホーン魔王国の魔王祭を始めます」


『『『おおーーーーーーーー!!』』』


 歓喜するスライム達、ついに待ちわびたときが来たのだ。


「どうか、静粛に、私は魔王補佐大臣のノッポ、まずは毎年通り、魔王祭のことから説明する次第、どうか聞き終わるまではご静粛に」

「ではまず、門が開いたら、魔王祭参加者と観客に分けます」

「その分け方は、門を入って直ぐ通路の左右を行く場合は観客席に辿り着きます」

「対して魔王祭参加者は、正面真っ直ぐ進んで受付を済ませてもらいます」

「その際、ホルンの角笛、バッタバタの羽根飾り、マルガナの鱗を拝見しますので」

「それらをお持ちでない方は残念ながら魔王祭に参加することは出来ません」

「今のご説明を聞いて参加希望でも、今言われた品をお持ちでない方は、残念ながらお引き取り願うか、魔王祭の観客として見ていただくかのどちらかになります」

「それでは魔王祭の賞品を一同に見てもらいましょう」


 ノッポ大臣がそう言うと、後ろで控えていたスライムが一歩前に出る。


 スワンは目を見開いた。そのスライムは何と頭に台座を乗せ、その上にあった秘宝玉を皆に見せて来た。


 この時、

(アレがロードたちの言っていた理性の秘宝玉)

 スワンはおじさんスライムの回収の際、事前に聞いていた。


「見えますでしょうか。これぞ魔王に相応しいものを選び出す秘宝玉でございます」

「これは最終試練にて、皆様各自一匹ずつ触れてもらいます。その際に秘宝玉が無色透明から何かしらの色に輝きだした時魔王になることが出来ます」

「そして秘宝玉の選抜式に入る前に魔王祭参加者の皆様には、えーこたびは5種目の試練に挑んでもらいます」

「すなわち、全ての難関を突破した者にこの秘宝玉による選定に挑む権利が与えられるのです」

「我々は先代の魔王カンムリ様が亡くなられてから、ずっと魔王の器に相応しい者が現れることを待ち望んでおります」

「どうか、今年こそ魔王になれる器を持った方が出てきてもらいたいものです」

「以上、長くなりましたが、魔王祭の説明を終わります」


 そしてノッポ大臣はティアラとベールに身を包んだスライムを見る。


「姫、どうか、皆様に一言お言葉を……」


「は、はい」


 緊張している先代魔王の孫であるティアーラ姫が魔王祭参加者、並びに観客たちの前に出る。


「ティアーラ姫」「本物だ」「ありがたやありがたや」


 ざわつくスライム達。


「皆さん、ど、どうかお静かに……えーー私ティアーラです。難しいお話は出来ませんが……魔王祭に出場する、み、皆さん、頑張ってください」


『『『おおーーーーーーーー!!』』』


 姫の一言に大歓声が上がる。


 そして再びノッポ大臣が前に出て来る。


「えーー皆さんの中から良い王が誕生することを我々は期待しております。それでは門を開き魔王祭を始めます」


 その一言でホーン魔王城の門が開いていく。


 スライムの行列が門の内側に入ていく。トンガリやスワンもお互いはぐれないようゆっくり進む。


 入ってすぐの所、左右に通路があった。観客席の方だろうゾロゾロとスライム達が幾百、幾千と道を分かれていく。


 そして正面に行くトンガリとスワン。


 この時、

(私は観客席に行かないとダメかなぁ)

 とスワンは思っていた。


「参加者はこちらへ!」「角笛、羽根飾り、鱗を必ず提示してから先に進んでくださーい」


 スライムの衛兵たちが言う。


 トンガリは衛兵の一匹にホルンの角笛を提示した。


「うむホルンの角笛だな、通ってよし!」


「やったーー!!」


 喜ぶトンガリ。


「あ、あの……付き添い何ですが、会場の方に入ってもよろしいでしょうか?」


 スワンが恐る恐る訊く。


「構いませんよ、どうぞ中へ」


「あ、ありがとうございます(こんなことを許してくれるんだから、スライムってやっぱり無害なんだなぁ~~)」


 スワンとトンガリが会場の方へ入って行く。


「通れてよかった」


 スワンが安心する。


「何が始まるんだろーな、な、何か怖くなってきた」


 トンガリが不安げに言う。


「そんなに大した試練は出て来ないと思うけど……」


 スワンが予測する。


 とにもかくにも、スワンとトンガリは正面から堂々と会場に入って行く。

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