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第416話 魔王祭への参加者たち

 ホーン魔王国。

 スワンはトンガリと合流して、夫を探していた女性の場所に戻ってきていた。

 ジャブちゃんとシーちゃんは役目を終えたので消えていた。


「本当にありがとうございました。あなたもしっかりお礼言わないと」


 明るい顔を取り戻した女性スライムが言う。


「いや~~、面目ない、ホントご迷惑をおかけしました。しかも魔王祭に間に合うなんて、運が良かったです」


 スライムのおじさんが言う。


「いえいえ、見つかってよかったです」


 スワンが言う。


「スワン凄いぞ! これはスワンのレベルアップだ!」


 トンガリが言う。


「良かった」「見つかった」「変わったスライムだね」「スライム助けとは感心だよ」


 周りにいた捜索協力スライムたちもスワンに思う思う言葉を紡いだ。


「そ、それじゃあ私たちは急ぎますので――」


 スワンはそう言ってトンガリを連れて飛び去った。


「「あのーーせめてお名前をーー」」


 スライムの夫婦が訊く。


「心配いらない、魔王になったらすぐにわかるからーー!!」


 トンガリがセリフを置いて行った。


 

 ▼ ▼ ▼



 スワンとトンガリは魔王祭の開催される魔王城の門の前にやって来ていた。

 トンガリを地面に降ろし、スワンも低空飛行をしていた。

 魔王城の周りには様々なスライム達がいた。シンプル系、アニマル系、フルーツ系、スイーツ系、ウィング系、ホラー系、フィッシュ系とスライムの種類がオールスターだった。

 ひしめくスライム達は門が開くのを今か今かと待ちわびていた。

 ワイワイ、ザワザワ、ガヤガヤ、とスライム達の騒ぎ声が聞こえてくる。


「凄い数。これ皆出場者なのかな?」


 トンガリが呟く。


「さっきの御夫婦の様に観客として来てるスライムも混ざってるんじゃない? ザッと見て千匹以上はいるし」


 スワンが言う。


「この中から魔王が誕生するのかなぁ~~」


「私の知り合いが言うには、世界中のスライムが来てるんだって……」


 スワンとトンガリははぐれないようにしていた。正確にはスワンがずっとトンガリを見守っていた。


「うおーーーーーー!!」「おおーーーーーー!!」「がおーーーーーー!!」


 奮い立つアニマル系が雄叫びを上げていた。


「おっ、トンガリだ」「ホントだー」「えっ、マジ? ホントじゃん」


 あるスライムたちが近づいてくる。


「――――!? ガボ、二ット、シーボ、オニブリ!! 皆なんでここに!?」


 トンガリは目に入った瞬間驚いた。それは知り合いのスライム達だったからだ。


「俺たちも魔王になりに来たんだーな」


 帽子を逆に被るガボが言う。


「ホントにトンガリも来たんだな……」


 ニット帽を被るニットが言う。


「それホルンの角笛か?」


 ブカブカの帽子を被るシーボが訊いてくる。


「う、うん」


 トンガリが頷く。


「トンガリ、レベルいくつだ?」


 猫耳付きの帽子を被るオニブリが訊いてくる。


「ふ、ふ、ふ、オレのレベルは50だ」


 トンガリが得意げに語る。


「えーーそんだけーー?」


 ガボが言う。


「フーーン」


 ニットが流す。


「やばっ、悪い意味で……」


 シーボが言う。


「えっ、そんだけ?」


 オニブリが言う。


「オレはもう95だぜ」


 ガボが言う。


「オレ82ーー」


 ニットが言う。


「オレも87ーー」


 シーボが言う。


「91」


 オニブリが言う。


「えっ…………」


 トンガリが固まる。


「と、トンガリ? この子たちは何?」


 スワンが訊くがトンガリは固まったまま話そうとしない。


「トンガリ帰った方がいいぜ」


 ガボが言う。


「そんなんじゃ魔王になれないよなーー」


 ニットが言う。


「ここの大人たちなんか皆100なんだぜ」


 シーボが言う。


「レベルが低いんだよなーー」


 オニブリが言う。


「……………………」


 トンガリは開いた口が塞がらない。


「じゃあな、トンガリ」


 ガボが言う。


「まぁ頑張れよな」


 ニットが言う。


「楽しい祭りだしな」


 シーボが言う。


「いい思いで作れよ」


 オニブリが言う。


 そしてトンガリの友達は去って行った。


「……………………」


 トンガリは俯いた。


「気にすることない、トンガリは頑張ったんだから、私知ってるよ」


 スワンが元気づける。


「う……うん……でもまだ50……やっぱり魔王になるのなんて無理なのかなぁ~~」


 トンガリはすっかり自信を無くした。


「……………………」


 スワンには掛ける言葉が見つからなかった。その時、話し声が聞こえて来た。


「あんさんもう100か~~何をして来た?」


 フィッシュ系のスライムが訊く。


「100個の芋をほったのさ」


 太ったウィング系が高らかに言う。


「僕は毎日欠かさず一回の大ジャンプ」


 スワンはその会話を聞いて、トンガリに及ばないと思った。


「大丈夫、トンガリ、芋ほりとか、大ジャンプなんて誰でもできる。あなたの方が凄いことして来た自信を持って」


「そ、そうかなーー、でもーー」


 しおれるトンガリ。


「大丈夫、あと半分成功し続ければレベル100なんだから、あと50回頑張って」


 スワンが応援する。


「…………うん」


 トンガリは上を向いた。しかし、


「おーー子供がいるぞーー」「ホントだレベル100なのかな」「可哀想だなーあと20年早く生まれてれば」「僕らは運がいいね……王になるチャンスがあるんだから」「子供じゃあなーー」


 トンガリを見て言う大人スライム達。


 スワンはしゅんとするトンガリを見た。


 この時、

(こんな時、ロードがいればなー、私じゃなんて声を掛ければいいか分からない)

 スワンはそう思った。


 スライム達のざわつく魔王城前、そろそろ魔王祭が始まろうとしていた。

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