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第404話 ドノミの子供の頃

 ドノミが自分の過去をロードに語る。


「まず、私……ドノミ・モズローネストは、あるキレイな異世界で父と母と暮らしていました」

「その異世界はゴミや汚れのない美しい自然豊かな異世界でした」

「私は色々なキレイなものに囲まれてすくすくと成長していったんです」

「しかし、異世界のキレイさを保つ陰で大人たちはみんな一生懸命努力していました」

「私の父と母もその管理職に努めていました」

「私たちの異世界をキレイに魔物たちの侵入から守っていたんです」

「とても良いことだと思った私は、元から掃除も好きなこともあって」

「私もこんなキレイな異世界をそのままの形で残せるような管理の仕事に就きたいと思ったんです」

「だから私も異世界を守りたくて――」



 ◇ ◇ ◇ ◇



 キレイな異世界。

 風が透き通り、湖が透き通り、陽ざしの透き通るキレイな異世界。

 そこがドノミの故郷の異世界だった。

 立派な家が立ち並ぶ中。モズローネスト家もその中にあった。

 まだドノミが5才になった頃くらいのお話だ。


「ドノミが管理職に就きたいなんて言うとは……」


 ドノミの父が読んでいた本から目を逸らし言う。


「いいことじゃない。私は賛成、お掃除好きだものね」


 ドノミの母が喜ぶ。


「そうだな、よし……やってみなさい。きっとドノミなら、父さんたちのようになれるだろう」


 この会話をきっかけにドノミは6才の頃、私立管理教育小学校へと入学する。


 

 ◇ ◇ ◇ ◇



 私立管理教育学校・教室。

 クラスメイトは合計30人。

 顧問の先生は初老のマダム。


「よろしいですか、皆さん管理職とは、まず自分自身の心と身体を管理することで初めて他の物の管理が許されるのです。身も心も美しくない人間に人や異世界を管理する資格はありません。それを肝に銘じて起きなさい」


「「「――はい」」」


 はっきりと声を出す規律正しい生徒たちだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「食事のバランスも考えられないようでは、ここではやっていけませんよ。食べる前の礼儀も忘れてはなりません」


「食物に感謝」


 ドノミは祈り、食事を取る。


「四六時中姿勢を正しくすることを心掛けなさい。出来なかった者には正座室で座り方からやり直してもらいます」


 クラスメイトは背筋をピンと伸ばし座っていた。


「いいですか、字をキレイに書くこと、でなければ再度書き直していただきます。字の乱れは心の乱れ……文字の形はあなたの形……人にそういうふうに見られるのです」


 みんなキレイな字でノートを取っていた。


「毎日、朝決まった時間に起床。同じことを繰り返す。習慣こそ管理の基本……常にチェックいたしますから怠らないように……」


 ドノミは鞄を背負って、寮を出る。


 そして幾日と経ち、


「おめでとうございます。ミス・モズローネスト」

「あなたの自らの管理能力と規則正しい生活習慣は我々一同、賞賛の言葉を送ります」

「これからも皆さんの模範となれるよう頑張ってください」


 マダムが表彰台にて、ドノミに表彰状を送る。


「――はい」


 はっきりとキレイな模範的な返事をするドノミだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「そうか、模範生の称号を貰ったのか……」


 ドノミの父が言う。


「凄いわ……それって先生の言いつけをきちんと守った生徒しか貰えないでしょう?」


 母が喜ぶ。


「凄いの?」


 幼いドノミが訊く。


「ドノミは昔から真面目だったからね、そういうところで先生たちの評価を獲得したんだ。胸を張りなさいドノミのやって来たことは正しいことなんだから」


 父が言う。


「うん」


 どこか誇らしげの幼いドノミだった。



 ◆ ◆ ◆ ◆



「私はきちんと教えられたことをして皆に褒めてもらえたのが嬉しかった」


 ロードの前で、何度も読んだのにキレイなままのマニュアルを撫でるドノミ。



 ◇ ◇ ◇ ◇



 寮の自室。


「正しいこと、そうだ! 先生の言うことを勉強していればもっと正しくなれる。正しいことを言えばいいんだ。そうすればなりたいモノになれるんだ! 頑張って……誰よりも頑張る! 毎日同じことを習慣にして自分を管理する。そうすれば皆を正しく管理できる」


 鏡の前でドノミは一人意気込んだ。



 ◇ ◇ ◇ ◇



 学校・学年成績表の前。


「正しい世界に管理する」


 ドノミは自分の名前を探す必要はなかった。だっていつも成績は同じ場所に書かれていたから、


「一番、私は正しいんだ」



 ◆ ◆ ◆ ◆



「大人の先生の言うことに従っていれば、私は正しくなれるそう思っていました」


 ドノミがロードに自分のかつての考えを告白する。

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