第394話 観光案内のドノミさん
フィッシュ系スライムの村。
本来海に生えているはずの海藻が道端に生えている村。
そして、大きな貝殻に穴を開けた家が複数建ち並んでいた。
道端は水溜りに覆われて、水面が鏡のようにキラキラ輝いていた。
水溜りの他に平面の岩場もある。
トンガリ隊は村の入り口まで来ていた。
「スワンさん見てください……あちらがフィッシュ系のメバチ村です」
ドノミが紹介した。
「キレイな水場」
スワンが感動していた。
「あまり、近づけませんが……フィッシュ系はあの水場や岩場で日向ぼっこするんです。あと辺りには小魚がいて、それを食べて生活しているんです」
ドノミが説明する。
「小魚……」
ゴクリと息を飲むスワン。
「人も食べられる魚で捕まえたら踊り食いするんです」
「食っていいのか?」
グラスが小魚を探す。
「食事の時間だけにしろ、無雑作に食べるのは良くないぞグラス」
ロードが注意する。
「昨日の変な実といい……魚の踊り食いといい……苦手だここは……」
ハズレがぼやく。
「挑戦しないとレベルダウンだぞ!」
トンガリが警告する。
「そうだなーー」
ハズレが適当に流し、ロードたちは村の周辺を歩いていく。中に入って行かないのはスライム達に人の姿を目撃されないようにする為である。
そして村の方を見ると奇妙な水の柱のようなものがあった。
「皆さんあちらをご覧ください。あの滝でよくスライム達が運動するんです。鯉の滝登りのように、別名、スライムの滝、とても見ごたえのある、大群の滝になるんですよ。今はどうやら運動はしていないようですが……」
ドノミが解説する。
「ドノミさんはやっぱりこの異世界のことに詳しいんだな。よく勉強してらっしゃる」
ハズレが賞賛する。
「こんな素敵な場所、教えてくれてありがとう」
スワンがお礼を言う。
「元々、そういう観光界でもありますからね、案内役は私の仕事の一つでもあるので……」
ドノミが言う。
「ドノミさんが居ればずっと旅が楽しくなりそうだな」
ロードが呟く。
「そ、そんな大したことはありません。ただの仕事ですから……私よりもっと楽しくできる人は他にも……」
慌てるドノミ。
「そうなのか……でも、ドノミさんといると楽しいのは本当だ。仕事向いてると思うよ。なぁ皆……?」
ロードが訊く。
「ああ、最初の注意の時より断然話しやすい」
ハズレが言う。
「ドノミさんは真面目でいい人だから信用できる」
スワンが褒める。
「そ、そうですか? ありがとうございます。はじめて言われました」
ドノミは褒められたことにテレを感じ、困った表情を作る。
「さっさと行かねーか、急いでんじゃねーのかよ」
場の空気を一瞬で変えるグラス。
「ああ、そうだな」
ロードが言う。
「残念ですが小魚は全部終わったら食べに来ましょう」
ドノミが言う。
▼ ▼ ▼
バシャバシャと水たまりを踏むスワン。体長が良くなったのかドルフィーナから降りていた。
「スワン、身体は大丈夫なのか?」
ロードが訊く。
「うーーん、身体がかゆくてほてる感じかな~~」
「動いて大丈夫か?」
ハズレが訊く。
「激しくなければ平気、ちょっと遊ばせて……」
「ったく、子供が……」
グラスが吐き捨てる。
「へーーじゃあこれ出来る?」
スワンが両手で水を掬い包み込んで、力を入れると水が両手からぴゅーっと水鉄砲のように飛び出した。
「精霊の術なんか知らねーよ」
「違いまーす」
「何だと……」
グラスが食い付いた。
「こうやって押し込む」
スワンがグラスにやり方を教える。
「オレもオレも」
トンガリも教えてもらいたそうだったが、残念、手がない。
「あぁ~~、確かにおもしれ―なコレ」
もうマスターしたグラスが言う。
「でしょ、にしてもグラス筋がいいねーー器用なんだ……」
スワンとグラスは少し距離が縮まった。
「まぁ疲れたらドルちゃんに乗るだろう……鳥は自由に羽ばたいた方が元気になるんだ」
ハズレが遠くからスワンたちを見守る。
「そうか……」
ロードは納得した。
「……………………」
ドノミは遊ぶスワンとグラスの方を見ていた。
「ん? やっぱりスライム達に見つかるのが心配か? ドノミさん」
「あっ、いえ、見当たらないんですよね~~そのスライムが」
ドノミが不審がる。
「また暴走とかじゃないよな? ウィング系が大群で移動してたように……」
ハズレがあり得そうなことを言う。
「ちょっと様子を見に行ってもいいですか?」
ドノミが言う。
「ああ、いいぞ――スワン、グラスちょっと寄り道だ! こっちに来てくれ」
ロードが二人を呼び、ドノミを先頭について行く。
「お魚食べに行くの?」
スワンがワクワクしながら訊く。
「違う」
ロードがツッコみを入れる。
トンガリ隊はフィッシュ系のスライムを探しにメバチ村に入る。




