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第383話 追い詰められた密猟団

 宙を舞うロードに4つのメタルバウンドボールが襲い掛かる。


「ミチル!」


 地面に突き刺さっていた青い剣が即座にロードの元にやって来る。そしてそれを掴むとミチルの空飛ぶ力を下に向けた。そうすることで4つのボールを避けて行く。メタルバウンドボールがスカされる。


 再び地面に突き刺さる青い剣。


「おう!!」


 ロードは身体を反らせてドレッドヘアーの黒い男を踏みつける。


「ああん!!」


 そして両足をそろえてジャンプし、オカマ口調の黒い男の顔面を踏みつける。


「うわああ!!」


 踏みつけた顔面を蹴り、坊主頭の黒い男の腹部へ左ストレートをお見舞いする。


 3人の黒い男たちが倒れる。


「――――!!」


 ロードの背後から青い剣を掴んで走ってくるメットがやって来る。


「んん!!」


 右上から左下へ振り下ろすが、


 ロードは赤い剣で青い剣を弾き、


「ミチル!」


 精霊の名を呼び、手元に引き戻す。


「ぐぅ……」


「いい子だなミチル」


「く、くそ~~動くんじゃねーー!」


 メットと言う男が懐から玉ねぎ型の装置を取り出した。それはスリープシードによく似ていた。


「こいつはキルシード――こいつを地面に突き刺すと起動して、辺りのスライムを殺す毒素を振り撒く」


「なっ!!」


「ここにいるスライムを殺されたくなきゃ大人しくしろ!」


「本当なのドノミさん!」


 スワンが訊く。


「は、はい、アレは確かに……」


 ドノミが確認する。


「わかったらオレたちの言う通りにしろ!!」


 メットが叫ぶが――


「勇気を出せ!!」


 ロードが叫ぶ。


「!! ――何言ってやがる」


 その時タンっと飛ぶスライムがいた。


「えい!! しがみつくだけしがみつくだけ!!」


 メットの手にしがみつくのはトンガリだった。


「うわあああああああ」


 メットに振りきられるトンガリ。


「取ったよ……これがなければいいんだよね」


 キルシードを奪ったトンガリがロードに訊く。


「このスライムがーー寄こせ!!」


「わぁーーーー!!」


「――――!!」


 メットは前に立ちふさがる存在に気づいた。それはロードだった。キルシードさえなければロードは行動できる。


「ごおおお!!」


 ドドドドドドドドドドドドドッとメットは殴られ続ける。するとメットは後ろへ下がりながら殴打を受けていく。


 ロードの最後の一発は両の拳でメットの胸を殴り飛ばすところだった。


「おおあ!! ごあっ!!」


 後ろに大の字になって倒れるメット。


「これで懲りたか? ドノミさんはもっと痛かったんだぞ」


 ロードが密猟団たちに言う。


「す、すごーいなー」


 トンガリが目を輝かせていた。


「ありがとうトンガリ、お前がそれを取ってくれたおかげだ」


 トンガリを撫でるロード。


「そ、そっか、何かね。心の中で声がしたんだ、勇気を出せって」


「そうかレベルが上がったな」


「ああ! そうだレベル26だぁ!」


 トンガリが喜ぶのも束の間、黒い男たちが起き上がる。


「――――!?」


 ロードが警戒する。


「水霊の籠!」


 黒い男たちは水の玉に身体だけ捕えられていた。顔は呼吸できるように配慮されて表に出されていた。


「水を集めるのに時間が掛かったけど捕まえた。これでいいドノミさん?」


「ええ、いいですけど、これは精霊の術、どうして人間のあなたが?」


 この時、

(あの女の仕業……こいつは分が悪い……)

 そう思ったメットは片腕を水の籠から出した。


 バシャっと出したその手には、何か異質なメタルバウンドボール状の機械が手に握られていた。


「――――!!」


 スワンが驚くのもつかの間、捕えられていた4人はビュンと水の籠から脱出した。


「!! ――な、なんだと!?」


 スワンが驚いていた。


 4人は夜空の彼方に消え去って行った。


「………………逃げられたか」


 見逃してしまったロードだった。


「ドノミさん、しっかり……」


 スワンがその弱り切った身体を支える。


「――――!!」


 ロードが傷ついたドノミを思い出す。


「だ、大丈夫です」


「無理しないで座って」


 スワンの言うことを聞き、その場に座るドノミ。


「スワン後は任せてくれ」


 ロードがドノミの前にしゃがみ込んで言う。


「うん、じゃあ私は檻に捕まったスライム達を何とかする」


「頼む」


 ロードがお願いするとスワンは走りさる」


「待たせてごめん……今治す」


 ロードがそっとドノミの受けた顔の腫れに手をそえる。


「な、治すってどうやって……」


「じっとしてて……」


「はい」


 ドノミは大人しくしていた。


 ロードはドノミの顔に自分の生命力を流し込み腫れや傷の手当てをする。


 この時、

(あ、温かい……痛みが和らいでいく……不思議安らぐってこういう眠く……)

 ドノミが目を閉じていった。


「ちょっと、顔下げないで……」


 ロードが注意する。


「あっ、はいすみません……」


 ドノミはロードの指示に従って治療を受け入れた。

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