第381話 ハンターエンカウント
ヒーロー颯爽登場。
謎の洞窟。
フルーツ系スライムに案内されたのは見つけにくい洞窟だった。
その入り口付近に玉ねぎ型の装置を発見した。
「やっぱりスリープシードがあった」
ロードが見つけて壊すと。
「ふぁ~~着いた?」
眠っていたトンガリが起きる。
「ここがドノミさんたちの管理者拠点? じゃあジャブちゃんに一度探らせて……」
スワンが言う。
「……………………」
ロードは洞窟の奥に意識を集中させた。
「ロード、どうかした?」
「いや、今…………」
言おうとした時、
「――助け……て」
ロードに弱々しい声が聞こえて来た。
「――――!!」
ロードはタタタと洞窟内を明かりもなく走って進んで行く。
「えっ! ロード!」
スワンが見送った。
「凄いやる気だなぁ」
トンガリが憧れのまなざしで見つめる。
「また声でも聞こえたのかな?」
「オレもたまに聞こえるぞ! 心の声が……声を聞くと強くなるんだ」
「強くなるの? いいなぁーー私も聞こえないかなーー」
「レベルを上げると聞こえるよ」
「そっか……私レベル低いんだ。もっと頑張らないとね」
「なぁ早く行こうよ」
「あっうん、そうだね」
◆ ◆ ◆ ◆
洞窟の最奥。
スライムが捕らわれた檻の並ぶ天井が開いてる洞窟の中。
「うっ」
ドサッとドノミが押し倒される。その顔には何度も殴られた跡があり、唇も切って血を流していた。
「はぁ、はぁ……あっ、ああ、うっう、ああ」
ドノミは髪を引っ張られ無理やり起こされる。
「――――!!」
それだけで黒い男から暴力が来るとわかっていた。
ぶんぶんと首を横に振るドノミ。その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
「おう!!」
顔面を地面にたたきつけられた。
そしてガシッと髪を掴まれ無理やり起こされる。
「も、もう、や、やめて……やめてよ……もう」
そんな声を黒い肌をした男は無視した。
「あはっ!」
腹部に重い蹴りの一撃を貰った。
「がはっがはっ!」
ドノミは倒れる。そして黒い男が近づいてくる。
「いや! やめて! もうやめて! ――うっ!」
顔面を蹴られるドノミ。
「う……う……痛い、やめてお願い」
「案内するか?」
黒い男がドスの利いた声で問いかける。
「……………………う……う」
答えのないドノミを前に拳を握る黒い男。
「ま、待って――!! うっうっ……う……」
ドノミは殴られ続けて限界に来ていた。
「――――!!」
その時目に入った管理会社の制服である落ちた帽子が目に入った。
この時、
(本日付でこの部署に回されましたドノミ・モズローネスト、新人です、一生懸命頑張ります。よろしくお願いします)
ドノミは初めてこの異世界に来たときのことを思い出していた。
「オイ」
ドスの利いた声がドノミを現実に呼び戻す。
「負けない、わ、私は、負けない、これがわたしの仕事だもん」
その言葉を聞いた黒い男は呆れていた。そして冷徹に――
「腕折るか……」
「――――!! 誰か! 誰でもいいから! 来て! 誰か! 誰か! 助けてーー!!」
腕を折ると聞いて必死に助けを請うドノミ。
「バカが、誰も来やしねーーよ」
にらみつける黒い男はドノミの腕を折ろうとしていた。
その時――彼は駆け付けた。黒い男の顔面に跳び蹴りを食らわせて、
「ごはぁ!」
黒い男が吹っ飛ばされる。
「えっ?」
ドノミが意外そうな顔で助けに来た者を見る。
「……あ、あなた」
ドノミが弱々しく言う。
「――――!! ドノミさん」
ロードはドノミを見つけてその顔を見た。
「なんて酷い、こんな……しっかり生きてるか!?」
ロードがドノミを抱える。
「あなた……新人の、どうしてここに?」
「助けに来たんだ! 呼んだだろ!」
「私を? 聞こえたの?」
「そうだ聞こえたんだよ!」
「う、うう、うう」
ロードに後ろ手に紐で結ばれた腕が解放された。
「大丈夫だ、大丈夫」
「すぐに治すからもう少し我慢してくれ」
ロードが治療に当たろうとした時、
「やりやがったな、このヤローーが」
黒い男が立ち上がってロードを見る。
「――――!!」
ロードは辺りを見渡した。檻が見えた。そしてその中にはさらわれたと思われるスライム達がいた。
「………………お前がこれをやったのか?」
「だったらなんだ?」
口紅を塗った口が開く。
「こんなことはやめろ」
「お前が買うならそうしてやるよ」
「ドノミさんアイツ、何を言っているんだ?」
「あの人は密猟団。スライムを捕まえて他の異世界で売りさばこうとしているんです。スライム達の家族も友達も離れ離れにしようとしている。自分たちの欲の為に……」
ドノミが簡潔に説明する。
「ロードォいた!」
そこにスワンも登場する。
「来たか……」
「うわあ! スライム達がこんなに――!」
捕まっている数のスライムを見て驚いていた。
「スワン、ドノミさんを頼む」
ドノミさんの身体をスワンに預ける。
「えっ? ドノミさんをって! どうしたのこの怪我!」
「うわ~~痛そ~~」
トンガリが言う。
「話しは後だ守ってくれ」
「わ、わかった」
「どうする気です?」
ドノミが訊く。
「決まってるスライム達をドノミさんを助ける。アイツには寝てもらう」
ロードが拳を握る。
敵に跳び蹴りを食らわせたシーンでスカッとしてくれればいいなと思います!




