第380話 スライムの家族を助けに行く
山の山頂らへん。
ロードとスワンとトンガリは山道を歩いて来て、ドノミをさらって行った者の後を追っていた。
そして、空飛ぶ技術でここに着陸したと睨んで辺りを重点的に探していた。
「この辺りだったよな?」
ロードがキョロキョロと辺りを見渡す。
「ふーーレベル25にアップ」
トンガリが息を吐いた。
「ちょっと待って……今……水の追跡を――」
スワンが精霊の術を行使しようとした時、
「うわ、うわ!」「帰って来たよ!」
背後から小さな声が聞こえて来た。
「「「――――!?」」」
ロードたちが振り返るとそこにはリンゴ、バナナの皮、メロン、サクランボ、梨、ミカンのようなスライム達がいた。
「またスライム」
「お前だな! 見ない姿の誘拐犯は!」「子供を返してくれ!」「兄ちゃんをどこにやったんだ!」
それぞれ抗議するフルーツ系スライム。
「何? 何を言ってるの?」
スワンが疑問に思う。
「そこのキミ今助けてやるぞ!」「そうだ……もう大丈夫だよ……おいら達がこいつらを――」
「「「たあーーーーーー!!」」」
フルーツ系スライムが体当たりして来る。
「有害魔物!」
ロードが鞘から剣を引き抜こうとする。
「ダメ!」
スワンがしがみつき止める。
「「「うわあああああああああああ」」」
そして、体当たりして来たスライムは勝手にはじき返された。
「無害か……」
倒れたスライムを見てロードが言う。
「デフォルメスライムのフルーツ系かな……」
スワンが言う。
「オイ」
ロードがフルーツ系に声を掛ける。
「わぁ!!」「ひぃ~~」「や、やめてくれ~~」
怯えるスライム達。
「おじさんたちどうしたの大丈夫?」
トンガリがロードの頭の上から飛び降りて訊く。
「どうしたって」「キミこそ大丈夫か」「何かされたんじゃ」
「えっ何で?」
トンガリが疑問に思う。
「何でって……」
「あ、あの~~どうして攻撃して来たんでしょうか?」
スワンがしゃがんでフルーツ系に訊く。
「ひぃ~~」「魔物が喋った」
スワンに怯えるスライム達。
「大丈夫だよ、こいつらオレの友達」
トンガリが説明する。
「友達?」「で、でも息子が……」「もしかして勘違いしてる?」
フルーツ系のスライム達がざわめく。
「何かあったのか?」
ロードがしゃがんで訊いてみる。
「え、ええ」「そのあなた達みたいな形の魔物に……」「親や子供、友達が連れ去られて」
「何?」
ロードが言う。
「誘拐ってこと?」
スワンが言葉にする。
「は、はい」「それで連れ去られた皆を見つけようとして」「ここに頻繁に飛んで来る見慣れない魔物が居ると聞いて」「来たわけで」「そして怪しい洞窟を見つけたんだ」「けど、近づこうとすると眠ってしまって中に入れないんだ」「それで捕まえた奴らがその辺にいないかどうか探してて」「もし居たら力づくでも取り戻そうと」「でもやっぱり私たちの力じゃ無理なのかな」
フルーツ系のスライムが説明する。
「スライムが眠る。スリープシード……そいえばそんなものをドノミさんも使っていた。やっぱりドノミさんの仲間がいてこの近くがその拠点なんじゃない?」
スワンが推測する。
「だとしたら、なんであんな連れ去り方を?」
ロードが訊く。
「分からないけど、可能性が高いよ。ドノミさんたちならきっとスライムを連れ去ったのにも理由があるし……悪いようにはしないんじゃない?」
「そうだなドノミさんなら……」
「あ、あの~~見込んだうえで頼みがあるんですが!」「洞窟の中の様子を確認することは出来ませんか?」「で、出来ることならお力をお借りできないでしょうか……」「私たちだけでは……」
フルーツ系のスライム達が頼み込む。
「……………………」
「お願いします子供はまだ5才でして……」「どうか娘夫婦をお助けください」「うちなんか家内と喧嘩したままで」「兄さんが居ないと僕は」「友達を助けて」
それぞれ思いを告げるフルーツ系たち。
「どうするんだロード」
トンガリが訊いてくる。
「行こう」
「ドノミさんの組織と揉め事を起こす気? やめた方がいいって」
スワンが止める。
「違う。スライムの家族たちを助けるんだ」
そのロードの一言でへこんでいたスライム達はわーーっと顔を上げる。
この時、
(この人はホントにもう……)
スワンは内心喜んでいた。
「いいよ行こう、また私のハヤトチリかもしれないし……」
スワンが立ち上がる。
「どうしたんだ急にご機嫌になって……」
ロードが驚く。
「べーつに」
「じゃ、じゃあ案内します。こっちへ」
リンゴ型のスライムが言う。
「ああ」
「おお~~」
ロードの頼りになる姿にトンガリは心ときめいていた。




