第378話 管理委員ドノミを追え
ロードたちは連れ去られたドノミを見送る。
「飛んで行ったの?」
水雲鳥のスワンが訊く。
「何だあの赤い煙は……」
段々と晴れていく赤い煙を見てハズレが言う。
「……!?」
ロードはドノミさんが落とした物とみられるものを見た。
「ドノミさんの鉄の棒が……」
ハズレが言う。
「大事に抱えてたマニュアルも落ちてる」
スワンが言う。
ロードがマニュアルを開き、パラパラとページを捲っていく。
「真面目な人だ。こんなに分厚い本を相当読みふけってたみたいだな。マーカーや付箋だらけだ。随分仕事熱心なことだ」
「何だ逃げる手間が省けたのか?」
グラスが訊いてくる。
「逃げる?」
トンガリが言う。
「ああ、そうなるな」
ハズレが言う。
「どうすんだ」
これからの方針を聞かれる。
「ドルちゃん」
ロードが荷船を引くドルちゃんに跨った。
「助けに行く気?」
スワンが訊いてくる。
「ああ、ただ事じゃないみたいだ。落とし物も届けないと困るだろう? 困っている人は助けに行く」
ロードが拾ったマニュアル本と鉄の棒を持つ。
「おい、助けた後まためんどくせーことになるんじゃねーのか?」
グラスが言う。
「見捨てるよりはいいさ」
「おっおー、オ、オレも、オレも行くぞーー!! 仲間助けてレベルアップだ!」
ロードの頭の上に乗るトンガリ。
「よし行こうトンガリ……」
「ドノミさん真面目な人だなこんなこと考えてたのか……」
ロードの持っていたマニュアルを少し見せてもらうハズレ。
「気づいたか」
「ああ、通りで頑なに疑う訳だ……これ説得はムリだぞ」
「オレはそうは思わないけどな」
「いいさ、お好きなようにしてくれ、早くしないと見失うぞ」
「ありがとう。ドルちゃんなら追えるな?」
「クパパパパパパパ」
ドルフィーナが返事する。
「行け、あの飛ぶ奴を追いかけろ!」
ロードは出発してしまった。
「道草ばかりで悪いな……」
ハズレがグラスに言う。
「で、オレはどうすりゃいい」
グラスが訊く。
「シーちゃんがいる見失うことはないさ……競争でもするか」
ハズレの頭の上にはスワンの精霊シーちゃんがいた。
「ああ、そういうのは大得意だ」
▼ ▼ ▼
林の中。
荷船を引きながらも素早く動くドルフィーナ。
「どういう原理で飛んでいるんだ?」
飛ぶ人間を見ながら言うロード。まるで流れ星のように移動する人間を見ていた。
「分からない精霊の力じゃないみたいだけど」
「だが流石ドルちゃんよくついて行ってる」
「人って言ってたよね? もしかしてドノミさんの言ってた調査員の人じゃない?」
「そうかもしれないな」
「大丈夫? このままついて行って」
「何もないならそれはそれでいいんだ」
「そうだけど……」
「ん? どうしたトンガリ?」
ロードが静かになった頭の上にいるトンガリの方を見る。
「こ、こわいよ~~! 揺れるよ~~! 止めてよ~~!」
トンガリが涙を流していた。
「頑張れトンガリ……レベルアップの為に頑張れ」
「でもでも! こわいよああああ!!」
「トンガリ私を見てホラ、ちゃんとドルちゃんに乗れてるでしょ? そのままロードに掴まってれば落ちないから」
水雲鳥状態のスワンが訊く。
「イヤだよ~~! 怖いよ~~!」
「トンガリ、ドルフィーナはただ泳いでいるだけだオレはドルフィーナに乗っているだけだ。だからオレにしがみつくだけでいい! それだけだ! しがみつくだけだ!」
「そんなけやればいいの?」
「ああ、それだけだ!」
「わかった! それだけならやってみる!」
「そうそう、落ちても私が素早く回収してまた乗せてあげるから!」
「うわあーーーー! 落ちるって言わないでよ~~~~」
「スワン…………」
「うわーー私が馬鹿でした」
ロードたちは山の麓まで来た。
「日が暮れて来た」
「夜になっても大丈夫、あれ火を噴いてるみたいだから見える」
「見ろ、山の頂上に向かったぞ。ドルちゃん泳げるのはここまでか……」
山の麓で止まるドルフィーナ。
「ま、まだーーーー!」
トンガリが叫んでいる。
「ドルちゃんここまででいいから……」
「クパパパパ」
ロード、スワンはドルフィーナから降りる。そして連れ去られたドノミを追う。




