第375話 勇気の体当たり
ロードたちは村で暴れるスライム達を止めていく。
一方村にトンガリもレベルアップの為にやって来ていた。
わーー! わーー! と叫び逃げまどうアニマル系たち。
「よ、ようし……オレも皆を助けてレベルアップだ」
意気込むトンガリ。
「わっ! 誰!?」「シンプル!」「逃げた方がいいぞ」
逃げていくスライム達の声を聞くがトンガリは立ち向かう方を選んだ。しかし、後から追って来たスライムを見て動けなくなる。
「――――!? あわわわわわ」
それは5メートルもあるネコ型のスライムだった。
「ぎょえええええええええ!!」
わーー! わーー! 逃げるスライムと腰を抜かすトンガリ。
「あっち行けーー!!」
ポフポフとホルンの角笛を吹いて威嚇する。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ! 行かないーー!」
動けないトンガリは巨大なスライムに踏みつぶされそうになっていた。
その時ロードがトンガリの前に出てきて巨大スライムを全身を使って止める。
「ロードォ!!」
トンガリがその名を呼ぶ。
(ぐっ、流石に重い)
ピタリと止まる巨大スライム。
(こいつも生命力を吸い取って眠らせる)
ロードは道の秘宝玉の力で生命力を吸い取っていく。
「がああああああ!!」
その時ロードの頭を狙ってトラ型のスライムが襲い掛かって来た。
そのスライムはやって来たドルフィーナが尻尾ではたいて気絶させた。
「ありがとうドルちゃん」
ロードはお礼を言う。しかし暴走するスライムはまだやって来る。
「よーしオレだってーー」
トンガリが前へ出る。
「がああああああああああ!!」
「ひいいい!!」
トンガリが目の前のスライムから目を逸らす。
「思いっきり吹っ飛ばせ!!」
思いっきり目を閉じたトンガリには声が聞こえていた。
「うっ、たぁーーーー!!」
トンガリが目を閉じたまま体当たりをした。襲い掛かってくるスライムを吹き飛ばす。
「かっ」
飛ばされたアニマル系は気絶した。
目を開いていたトンガリは息を切らしドキドキとしていた。
「……ガリ」
トンガリは自分の功績に驚いていた。
「トンガリ!」
「えっ! えっ! 何ロード!!」
声に気が付いたトンガリがロードの方に振り返る。
「もう一匹来る……対処を頼む」
「わ、わかった」
キョロキョロと辺りを見渡してこちらにやって来るアニマル系を探す。
「うきーーーー!」
猿のようなスライムがやって来ていた。
「えっと、えっと、えっと」
さっきの様に吹っ飛ばした記憶を思い出そうとする。
「うきーーーー!」
「ひぃーーーー!」
またもトンガリは思いっきり目を閉じる。
「思いっきり吹っ飛ばせ!」
その声を聞きトンガリは目を閉じたまま体当たりする。タンッと衝突音が響く。
「うきーーーー!」
体当たりを食らい目を回すサル型のスライム。
「出来た」
ドキドキしているトンガリ。
「よし、こっちも終わった」
5メートルもあるスライムの生命力を奪い眠りにつかせるロード。
「トンガリ手分けしよう! ドルちゃんトンガリを頼む」
ここは二匹に任せてロードは別の場所に向かう。
「う、うん! よ、ようし、今の調子でもう一回だ!」
トンガリはやる気だった。ロードはその場を後にして別の場所に向かう。
▼ ▼ ▼
「ジャブ~~~~」
スワンの精霊ジャブちゃんが暴走するスライムを気絶させていく。
「ジャブちゃん! あんまり群れに突っ込まないで!」
スワンが注意する。
「ジャブ~~~~」
引き下がろうとしたジャブちゃんだが、時すでに遅し、スワンに向かって複数のアニマル系が飛んできた。
「わっ!」
スライム達にぶつかって、地面に押し倒されるスワン。
「痛っ!!」
「「「がああああああ!!」」」
口を大きく開きスライム達は、地面に落ちて来たスワンに噛み付いていく。
「や~~~~~~~~!! 寄るな~~! やめろ~~痛い痛い! うわっ! 舐めるな! ちょっ! やだぁ! 甘いからってやめてよ! アハハハハ、待ってくすぐったい! そんなにおいし―か私は! アハハハハハ!」
スワンはスライムたちに良いようにされていた。
「も~~~~アハハハハハ」
「ジャブ~~~~」
ジャブちゃんが落ちていたスワンに気が付いた。
「す、水雲鳥!」
スワンは水の鳥となりアニマル系たちの包囲から脱出した。
この時、
(危なかった。もし魔物じゃなかったら、あの可愛さになされるがままだった)
スワンは可愛いスライムたちを見てそう思った。




