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第374話 スライム達の危機を見逃さない

 ロードたちはワーーワーーワーーワーーと叫び声のするフーサ村の方向を見た。


「スライム達が騒いでる」


 スワンが起きてることをそのまま言う。


「なになに、なに、怖いよ~~」


 トンガリが後ずさる。


「またですか……?」


 ウサギ型スライムを抱えたドノミさんが言う。


「……………………」


 サッと身体がうずくロード。


「ロードダメだ……これ以上はドノミさんに不審がられる」


 ハズレが説得する。


「だが……」


「スライム同士のいざこざならどうせ怪我にまで発展はしない。あいつらは無害だ。トンガリの体当たりを受けたキミならわかるだろ……」


「……………………」


 ロードはやり切れない表情をしていた。


「この異常は数分で終わるらしい。放っておいても収束する。忘れるな、秘宝玉の使い方を知れば、他にもいるだろう魔王と対等に戦ってもっと多くの人を助けられる。ここで面倒なことは避けるべきなんだ」


「…………分かってる」


 ロードはネコ型のスライムを持ったまま突っ立っていた。


 この時、

(済まないロード、ドノミさんが居なければ助けに行けたんだが……)

 ハズレはそう思っていた。


 ドノミ率いる、スワンもグラスも、荷船を引くドルフィーナも茂みの奥へと入って行く。そしてロードも茂みの方へトボトボと歩いていく。だが――


「助けてーー!」「助けてーー!」


 ロードはフーサ村から聞こえる、この声を聞き逃さなかった。


 ドノミさんはウサギのスライムを地面に置き、スワンは羊を、ハズレはリスを置いて行く。


 荷物をあさるドノミさんは注射器を取り出した。


「4匹分、どうにかなりますね……――!!」


 ドノミはまだ茂みに隠れずフーサ村の方を見ているロードに気が付いた。


「ロードさん! 早くスライムをこちらへ!」


「……………………」


 ロードは考え事をしていた。


「ロード?」


 スワンも不思議そうにその姿を見る。


「ドノミ・モズローネストさん聞いてもいいか?」


「すみません後にしてもらえますか?」


「いや、今答えてくれ……スライムの何を守るって?」


「だから私たちが守らなくてはならないのはスライムの世界と文化です」


 至極当然化のように言った。


「そうか……オレはスライムの命を守る」


 ネコ型スライムを足元に置き、フーサ村へと走り出したロード。


「ハッ、おせーよ! 動くのが……」


 グラスが背にしていた木から歩き出す。


「確かに……ロードにしては遅すぎる」


 前髪を払うスワンも歩き出す。


「ちょっ! あなた達までどこに!」


 ドノミさんが訊くが二人には聞こえていない。


「あーーご心配なく、ドノミ・モズローネストさん。ちょっと調査に行ってきます」


 片膝を上げるドノミさんを片手を上げて静止させるハズレだった。そして茂みの中から出て皆を追う。ドルフィーナもついて行った。


「ま、まって~~オレもオレも~~」


 トンガリまでついてきた。


「うそっ!」


 驚きのあまり、つい声に出すドノミさん。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 フーサ村。

 その村の家は全て藁で出来たものだった。三角形のテントのような家。

 アニマル系のスライム達の住処らしい、今そこでは襲うスライムと襲われるスライムに分かれていた。


「がああああああ!!」


 クマのようなスライムが、小さなネズミスライムを襲っている。


 しかし、そこに颯爽と現れたロードによって熊型のスライムはガシッと後ろから取り押さえられた。その熊のようなスライムはロードの背丈ほど大きかった。


「があああああああ!!」


「誰誰?」「ナニナニ?」


 小さなスライム達がロードを見る。そしてロードは暴走するスライムから生命力を奪っていく。


「後ろ後ろ!」「危ないよ~~!」


 小さなスライム達が後ろから迫る暴走したスライムたちが来ることを報せた。


「――――!!」


 ロードは熊型のスライムの生命力を奪うことで構ってなどいられなかった。


 タッと飛び出してきたのはグラスだった。ロードを背後から襲わんとするスライム達を蹴り飛ばしていく。


「手荒い」


 ロードが感想を言う。


「この方がはえーんだよ」


 グラスが言うとロードは熊型のスライムの生命力を奪いきってその場に置いた。スライムは眠っている。


 そして数匹のスライムに追いかけられていた。豚やイヌのスライムがロードの蹴りによって助けられた。


「あ、ありがと……」


「確かにこの方が速い」


 ロードは蹴り飛ばしたスライムを見た。すると気絶と言うより眠りに近い表情をしていた。


 ロードは他の暴れるスライムにも対応した。潰して気絶させたり、手で払って気絶させたり、蹴り上げて気絶させたり。


「助けてーー!」


 遠くの方からスライムの叫び声があったのですぐに向かったが、


(くっ! 間に合え!)


 ダダダと走るがもうスライム達が襲われる瞬間を目にした。しかし水がその襲いの邪魔をする。


 ゴボッと暴れるスライム達を水で抱擁し、気絶させる。水の精霊ジャブちゃんに乗るスワンの姿があった。


「ジャブ~~~~」


 力こぶを見せつけるジャブちゃん。おっきいー、ありがとー、だれ? などとスライムたちに言われた。


「ロードこっちは任せて!」


 スワンがジャブちゃんに乗りながら言う。


 コクンと頷きそこを任せるロードだった。

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