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第367話 仲間になりたそうな目

 念願のホルンの角を手に入れたトンガリは大はしゃぎだった。


「ハハハ、ホルンの角取ったぜー! どうだロード! オレの勇気見たかーー!」


 ホルンの角を取ったことを自慢して来る。


「ああ、いい勇気だったぞ」


 ロードが賞賛の拍手を送る。


「おう! ヤバいと思ったけど頭の中のオレがジャンプだとか……角だとか言ってたんだ! これもレベルアップのおかげだぜ!」


「………………そうか、凄いな」


 ロードは一瞬、自分の声だと名乗り上げようとしたがトンガリの自信の為に隠した。


「そうか、オレ凄い? いつかロードみたいになれるか?」


「トンガリは魔王になるんだろ? 勇者であるオレのようにはなれないさ」


「そっかー……ん? 勇者ってなんだ?」


「ロード! トンガリは無事!」


 背後からスワンの声が聞こえて来た。


「角は取れたようだな」


 ハズレが状況を確認する。全てのホルンはハズレたちの活躍により眠っていた。


「大したことはなかったが、スワン何故ホルンたちは襲いかかって来た?」


 ロードがさり気なく訊く。


「分からない……人がいない異世界みたいだから、びっくりしただけかも……」


 スワンが推測する。


「よーし早速吹いてみるからなー腰抜かすなよー!」


 トンガリがホルンの角を口元に当てる。


「「「――!?」」」


 一同はホルンの角の秘密を聞かされた。


 スーーーーっと息を吸い込んでホルンの角の先端から息を吹きかける。するとポフゥーーーーという音が鳴り響く。


「へへへ、どうだ?」


 満足げのトンガリだった。


「良く響く音……」


 スワンがその音に聞き惚れた。


「それ角笛だったのか?」


 ハズレが訊く。


「そうだぜ」


「オイ、今の音でアイツら起きたぞ……」


 グラスは目を覚ましムクリと立ち上がるホルンたちを見ていた。


「あ、ホルンは角の音で仲間を呼ぶんだった……」


 思い出すトンガリ。


「角は取った。ここを離れよう」


 ロードが提案する。


「おかしいな~アレは暴れるような魔物じゃなかったけど……」


 スワンが不思議がる。


「トンガリ疲れてるなら荷船に乗ってくか?」


 ハズレが提案する。


「いい、自分の身体で下山する」


 そして一行はホルンの生息地を後にした。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 丘の道。

 山道から出たロードたちは下山していた。


「そうだトンガリ、知らないかもしれないが一応聞いておこう」


 ハズレがさり気なく懐から秘宝玉を出す。


「何?」


「これだ……何か知っているか?」


 しゃがみ込んでトンガリに透明な秘宝玉を見せる。


「ん? もしかして秘宝玉?」


「知っているのか!?」


「うん、みんな知っていると思うけど」


「ならトンガリこれの使い方を知っているか?」


「使い方? よく分からないけど魔王になる奴が持つ物じゃないか?」


 ホルンの角笛を双眼鏡の様にして、ハズレの持つ秘宝玉を観察するトンガリ。


「魔王になる奴が持つ物」


 ロードが吐露する。


「トンガリ、先代の魔王ってヤツはこれと同じものを持っていたのか?」


 ハズレが訊く。


「たぶん……色が違うけど……」


「そいつに訊いてみるか?」


 ロードが提案する。


「でももう死んでしまったって話だし、聞けないって」


 スワンが否定する。


「今その秘宝玉がどこにあるかわかるか?」


 ハズレが訊く。


「分かるも何も、オレはこれからそこへ行くんだ。ホルンの角も手に入れたし……」


「どいうことだ?」


「ホーン魔王国、秘宝玉選抜祭に参加するんだ……そこで秘宝玉に魔王だって認められれば魔王になれるんだ」


「秘宝玉に魔王と認められる?」


 ハズレが疑問を残した。


「私たちもそこに行けば、秘宝玉を使うヒントを何か掴めるかもしれない」


 スワンが言う。


「トンガリ、オレたちもそこに連れて行ってくれないか?」


 ロードがしゃがみ込んで訊いてみる。


「――――!! そ、それはオレと一緒に旅がしたいってことか!?」


「そうなるな」


「じゃあ、アレやってくれよアレ」


「アレってなんだ?」


「仲間になりたそうな目でオレを見るんだよ」


 トンガリは目を輝かせていた。


「何だそれ」


「何の意味があるの?」


 スワンが訊く。


「意味なんか知らないよ。でも旅をしている奴の仲間になりたいときは皆そうするんだ。早く早く! オレ初めてなんだ仲間が出来るの!」


 ポフポフッと角笛を吹きながら飛び跳ねるトンガリ。


「「「………………」」」


 ロード一行は戸惑った。


「こうかな~~」


 ロードの顔は引きずっていた。


「それいつもの困ってる顔だ」


 スワンがツッコむ。


「スワン」


 ロードが呼ぶ。


「ハズレにやらせてよ」


「仲間になった途端あのクールな顔が剥がされたお前が適任だ」


「う~~~~」


「さっさとしろ!」


 グラスがしびれを切らした。


 スワンがトンガリの前に歩み寄りしゃがむ。


「――――!!」


 トンガリがスワンの表情を見る。じーーーーっと何か訴えかけるような表情をしていた。


「にらめっこしてるの?」


 トンガリがツッコむ。


「してない。ドルちゃん!」


 スワンがドルフィーナを呼ぶ。


「――――!?」


 精霊ドルフィーナがトンガリに近いていく。そしてトンガリと目が合うこと数秒。


「よし、皆、今日からオレの仲間だ、よろしくな!」


 ポフポフッと角笛を鳴らすトンガリ。


「くう」


 スワンが悔しそうだった。


「よくやったドルちゃん」


 ロードが褒める。


「よーし、トンガリ隊、いざ、ホーン魔王国へ出発だぁーーーー!!」


「おお~~~~~~!」


 返事をしたのはスワンだけだった。


「見るな」


 顔を真っ赤にしたスワンであった。


「けっ」


 グラスが吐き捨てる。


「まぁいい、行こう秘宝玉の使い方を知るために……」


 ロードたちが歩みを進めようとしたその時だった。


「「「――――!!」」」


 目の前に立ちふさがる者がいた。


「待ってくださいこの異世界で勝手に動かれては困ります」


 そこに立ちふさがったのは長い鉄の得物を持った人間の女性だった。片手に本を携えて、クリーム色の髪が風にたなびく。


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