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第361話 冒険の方針

 とある異世界の広々とした丘。

 道に沿って移動する一行がいた。

 金髪の髪を持つロードと、黒髪に羽根帽子のハズレ、水色の長髪に魚の尾ひれのような結び目のスワン、そして乱雑に切った緑色の髪をしたグラス。

 4人は精霊ドルフィーナの引く荷船の後ろで歩いて話をしていた。


「結局グラスの異世界に行っても何も分からなかったってことか……フリフライに最魔の元凶のこと聞いてみればよかったのに」


 深い青色のバンダナを付けたスワンが言う。


「分かったことと言えば異世界では魔王と眷属使魔が人々を苦しめていることくらいか……」


 頭にバンドを付けたロードが言う。


「また奴らみたいな魔王が現れたとき、秘宝玉を使えるか、使えないかは大きいだろう。グラス、キミの持つ秘宝玉、それは昔ずっと持っていて無くしたものなんだろう? その力使えるのか?」


 肩まで届く黒髪のハズレが訊いていた。


「知らねーただ持っていただけだ。こいつにそんなかかしヤロ―みたいな特殊な力があるのは初耳だ」


 グラスがフードを被って表情を隠している。


「やはり、使える人に詳しく聞かないといけないか……アマノが使えると知っていたからあの時聞いておけば良かったな」


 ハズレが後悔していた。


「アマノに話を聞いてどうするんだ? 使い方ならスワンから聞いているだろ?」


 ロードが話を進める。


「磨くか、決意するか、選ばれるってやつか、それを知っていてもオレは秘宝玉を使えないんだ」


 ハズレが自分の持つ透明な秘宝玉を見る。


「そもそもロードも完全に秘宝玉の力なのかも怪しい、だって魂みたいに揺らめいて輝く宝石とは違うんだもん」


 スワンが不思議そうに言う。


「本当はハズレやグラスが持つ透明な色の物質として、この世に現界するものなのか?」


 ロードが訊いていた。


「その話前にしなかったっけ?」


「確認しただけだ」


「とりあえず、当分の旅の方針は秘宝玉を使えるようになるために使い方を知る必要がある。それを調べるそうすればオレたち二人も魔王とまともにやり合えるだろう。オレの故郷に帰れば何かわかるかもしれないがロードの異世界移動手段ではオレの異世界を探し出すのは至難の業だし、今は手あたり次第、異世界を渡るしかない。ここで秘宝玉の情報が一般的でないのなら、また別の異世界へ行くしかない。秘宝玉が一般的に使用されている世界があるかどうかにかかっているけどな」


 ハズレが話をまとめる。


「で、お前らは何者だ? あんな異世界の境界線をとやらを見せられたが、こんな得体の知れねー奴らだとは思わなかったぞ」


 グラスがめんどくさそうに聞いてくる。


「オレはちょいと長生きが出来る人間さ」


 ハズレが手を上げる。


「オレは秘宝玉の力を使って生命の受け渡しができる人間だ」


 ロードが自分の胸に手を当てる。


「私は精霊」


 スワンが言う。


「精霊の術を使う人間だろう?」


 ハズレが指摘する。


「オレが訊きてーのは、あの門をくぐって目に入った不気味な世界の方だ。なんだありゃ……」


 グラスがもう一度質問する。


「オレもよく分からない……とにかくこの境界破りの鍵で開けた世界の狭間だ。スワンの方が詳しい」


 ロードが鍵を見せながら言う。


「教えて欲しい?」


 スワンが機嫌良さそうな表情をする。


「もういい、興味はねー」


「まぁ、話は一旦置いておいて、食事の準備でもしないか? ここに来たばかりだし」


「ハァ? 食いもんならあるだろ?」


「どこにだ?」


「そこに生えてる草だ」


「ロードよりおかしな人だぁ!!」


 スワンがツッコんだ。


 その時ロードの首に提げられていた裏切りの瞳が純黒にじわりと輝きだした。


「皆、気を付けろ魔物が近くにいる」


 ロードが腰に提げた竜封じの剣の柄に手を掛ける。


「「「――――!?」」」


 辺りを警戒する4人、辺りは丘のように広く木も数本しかなくその辺りに小さな茂みがあるくらいで、どこからいつ魔物が来ても対処できる場所だった。


「さて、何が出てくる?」


 ハズレも純銀の剣シラユリヒメの柄に手を掛ける。


「ハッ……」


 グラスも辺りを見渡す。


「…………」


 頑張って隙を作らないようにするスワン。


 しかし、 ロードの裏切りの瞳が発動しているのに一向に姿を現さない魔物。4人は警戒を解こうとしたが――


「前から来るぞ!!」


 ロードの一言に全員、前から来る魔物に警戒した。


 丘を進んで来る魔物が居た。タンタンというステップ音が聞こえてくる。そして魔物は現れた。


「うわっ! 何かにエンカウントした!?」


 現れたのは水色の水まんじゅうみたいな魔物だった。その頭にはトンガリ帽子がついており、木の棒にくくりつけた荷物を持っていた。


「この魔物は――――」


 ロードはその魔物の姿を目視した。そしてこういう言った。


「――――スライム!?」


 それはロードが長年、愛読書として読み続けたレジェンドオーブ・スライムの主人公の姿に瓜二つだった。

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