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第352話 生命力を束ねた世界樹の剣

 青い剣を握るロードと彼を肩車するグラスは、宙を飛んで行く。


 そこに空飛ぶ魔王フリフライが現れる。数万枚の葉っぱを躱していく。


「くらえ!!」


 風を掴んだフリフライは砲撃の様にしてロードたちを狙う。


「奴の上に行け!!」


 その苦しい環境下の中グラスが指示を出した。


 そして言う通り、フリフライの頭上を通る。


「――――!? 誰の頭上を通ろうとしている!!」


 フリフライは軽く払ってやろうと思ったが、背中にしがみ付いたグラスに気づいた。そうグラスはフリフライに飛び移ったのだった。


「さんざんやってくれた仕返しだ!!」


 グラスは手刀を作り出し、


「十六夜!! 連撃!!」


 魔王フリフライの背中をドドドドドドドドドドドドドッと手刀で突き刺していく。


「クカァーーーーーーーー!!」


 フリフライが背中に乗るグラスを振り落とそうとする。空中をグルンと回転しながら舞う。


「テメーの弱点だ!! 翼と風の死角!! ここまでは届かねーだろ!!」


 フリフライの羽毛をガッチリ掴んで離さないグラス。


「グラス!! お前だけだ!! お前だけがそこへ届いたぞ!! そしてオレの怒りの頂点にも届いたぞ!! 覚悟はいいな!! 最初に落とす!!」


 フリフライが宣告する。


「黙れ!! テメーはオレの邪魔をした!! ここの宝はオレのもんだった!! オレしか知らねー場所だった!! オレしか知らねー地図だった!! 仲間まで蹴って来たんだ!! だがテメーみてーなのを見てたらなーいらなくなった!! これはその仕返しだ!! オレはテメーみてーなバケモノにはならねー!! だからここの宝はテメーにはやらねー!! やるならアイツだ!! オレを救ったアイツだ!!」


 グラスは今までため込んできた思いを吐き出した。


「クアーーーーーーーー!!」


 ゾバババババババッと掴んでいた羽毛が刃となりグラスを襲った。その勢いでグラスは宙を舞った。


「ぐぅ…………」


 ズバババババババッとグラスは羽毛の群れに切り裂かれる。


「お前は救われない!! このオレがその命を落とす!!」


 ヒューンと落ちていくグラスは、進行方向を変えたフリフライの鋭いくちばしに狙われる。


 しかし、やって来たロードの足にグラスは掴まり、フリフライの一撃を躱す。


「やるな……」


 ロードが賞賛する。


「そりゃどうも……」


 グラスは適当に返事をする。


「キャキャーーーー!! カァーーーーーー!!」


 今までで一番激しい風の攻撃が全てを噴き散らした。


 しかし、フリフライの目の前は光っていた。


「――――!! 何だと!!」


 その光にフリフライは驚いた。


「そうだ、こんなのが欲しかったんだよなーー、決して届かない……あるだけで何かを信じられる。そんな希望の星」


 木の屋根に仰向けに寝そべったアマノが言う。


 ロードは青い剣に生命力を集めていた。それは上へと上昇する光だった。


「そんな力がどこにあった!!!?」


 フリフライが訊く。


「これがこの世界の命の輝きだ」


 静かに告げるロード。


「クカァーーーーーーーー!!」


 籠破りの魔翼がそれぞれ風を掴みロードを狙う竜巻を溜め込んで行く。


「葉っぱの一枚一枚が命の力」


 ロードの方はフッと赤い剣を差し向けて宣言する。


「世界樹の葉」


 ロードがそういうと周囲の葉っぱ全てから光が漏れ出し、魔王を照らす光となって襲う。


「クオーーーーーーーー!!」


 両手に等しい翼をはばたかせ葉っぱを散らす、しかし向かってくる光の攻撃は止められない。


「――――!?」


 ズドドドドドドドドドドとフリフライを襲う。


「オオオオオオオオ!!」


 フリフライは光の攻撃をもの凄いスピードを出しながら避けて行く。しかし、光の力の方が速いのか翼を刺し貫いていく。


「オレは自由だ!! この世界の全てに届く魔王だぁ!! 翼のない人間共には決して届かない魔王フリフライだ!!」


 四枚の翼を筒状にして、圧縮した風を放射するのではなく、ブースターとして使い、ドウン!! ドウン!! と加速する。


「この世界は全ての物はオレの自由だぁーーーー!!」


 どんどん加速するフリフライの狙いは光の攻撃をしてくるロード。


「お前をこの世界で自由にはさせない――――最初の一撃!!」


 ロードは葉っぱの力で作り出した50メートルの斬撃をミチルの力で飛ぶ斬撃に変え、


 ズバズバッと籠破りの魔翼を二枚斬り裂いた。


「クオオオオーーーーーー!!」


 ドウン!! ドウン!! と残された翼で加速しロードを刺し貫かんとやって来る。


「――――!!」


 魔王が至近距離まで近づいて来た時、グラスがロードの足を持ち、空中でブオンと投げ飛ばした。


「しくじってんじゃねーよ!! さっさと決めやがれ……」


 グラスは笑っていた。


「グラスもう逃げ場はないぞ!!」


 ロードが飛ばされたことで、フリフライの狙いがグラスに変わる。


「低いぜバケモノ!!」


 グラスが両足の靴を蹴り捨てる。その時、靴には仕込まれたいた刃が仕掛けられ、フリフライの右目に刺さる。


「ガアアアアアアアアア!!」


 この一撃でフリフライはグラスを仕留めそこない。グラスは落ちていく。


「認めてやる!! お前はオレの魔の脅威だぁああ!!」


 ヒューンとユーターンして来るフリフライ狙いはグラス。しかし――――天井が光り輝いた。


「――――!?」


 フリフライは上を見た。


「きっとあれが、どこまでも、希望ってのを信じた奴が届く場所なんだろなー、高すぎるぜ」


 グラスが口にする。


 天井に居たのはロードそしてそこは光の中心でもある。


「世界樹の剣」


 ロードがそう宣告した時、全ての光が剣の形と成してフリフライに落ちていく。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッと振ってくる光の剣、切っ先がとても大きく、長さも天井から地上へと伸びていった。


 フリフライはその輝きを見守りながら、光の剣に巻き込まれていった。


 ロードたちの立っていた最奥の大樹の地よりも何倍も大きな剣だった。


 魔王フリフライが霧散化するほど大きく威力の持った葉っぱの剣であった。


 光を前に眠るアマノ。


 見逃してはならないと思ったしらべ隊。


 とうとう最奥に辿り着いたハズレ。


 それぞれがその光を見て、戦いの終わりを実感した。

 

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