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第351話 籠破りの魔翼からの必殺砲撃

 木の家の屋根に立っていたロードが青い剣をフリフライに突き付ける。


「ミチル!!」


 その精霊の名を呼んだ瞬間青い剣が飛び、柄を掴んだままのロードを引き連れていく。


「届くか!!」


 フリフライは翼を振る。風圧がロードに迫る。


「切り開く!!」


 赤い剣を上から下へ振り風圧を斬り裂く。


 青い剣はそのままロードを引き連れて、フリフライに突撃して行くに見えた。しかし、フリフライは翼をバサッバサッとはばたかせ避けて行く。


「まだ低い」


 フリフライが言う。


「だったらこうだ……」


 柄を手放し、青い剣の上にボードのようにして飛び乗るロード。


 サァーーーーーーッとフリフライのいる上空へと向かていく。


「オレの翼には遠く及ばない!! なぜならば――翼の秘宝玉の真骨頂、籠破りの魔翼は風を掴む!!」


 フリフライの翼に風が玉のようになって圧縮されていく。


 ロードはそのまま突っ込んだ。そして放たれる風の砲撃、数にして16の風の砲撃がロードを襲う。


 ドドドドドドドドドドっと風圧の刃を避けて行くロード。


「ああああ!!」


 風の刃がロードの肩を掠める。それだけで肉が抉れそうな威力だった。


「落ちろ!!」


 両手の翼を天に上げ風を溜め込んで行くフリフライ。


「やっちまえ!! 葉っぱヤロー!!」


 グラスが叫ぶ。その声を聞いたフリフライは背後を向く。しかし誰も、何もない。騙されたのだ。


「グ、」


 フリフライが憎々しげな声を上げる。


「ここはそういうところだ」


 グラスの作戦はフリフライの風の砲撃をロードに浴びせないためのものだった。


「グラスーーーーーー!!」


 騙されたフリフライは怒り狂うが、ロードが同じ目線まで青い剣を蹴って、飛んで来るのに気づく。


「最初の一撃」


 赤い剣を一薙ぎしズバァーーーーンと最大威力の10メートルの長剣がフリフライに食らわされた。


 そしてロードはスルッと下へ落ちていく。疲れの見える顔があった。


 一軒の家のある大樹の地よりさらに下に落ちていくところ、グラスに腕を掴まれてヒュンと持ち上げられた。


「終わったか?」


 グラスが訊いてくる。


「まだだ……」


 ドサッと地面に倒れ込むロードが言う。


「クキャキァァアアーーーーーーーー!!」


 爆風をゴウンと振り払うフリフライ。ロードの手元に青い剣ミチルが戻ってくる。


「貴様、その力、秘宝玉を持っているな? この弱々しい力、宝をお前が手にしていたのなら納得だ……それに先に届いたのはオレだ!!」


 四枚の籠破りの翼を使って風を掴んでいく。フリフライ。


「このフリフライだ!!」


 ゴォーーーーーーっと風が球状に固まっていくしかも先ほどの砲撃とは大きさがまるで違う。


「ちっ!!」


 狙われるのはロードとグラス。そして風の攻撃が放たれた。


 ゴオオオオオオオオ!! っとロードたちのいた大樹を風が削り取る。


 ズザザザっとグラスがまともに動けないロードを肩車し風の一撃を回避する。


「グラス!!」


 ロードが叫ぶ。


「まだやれんなら足くらいにはなってやる」


 グラスが言う。


「やるさ……」


 しかし、フリフライがロードたちの正面に降りてくる。丁度大樹と同じ低さに、


「地道を走る者たちよ、この位置ならばどうだ?」


 フリフライが先程と同じように、四枚の翼で風を溜め込んで行く。


「オイ……上に!!」


 グラスが言う。


「ダメだ後ろを守らないといけない」


 ロードたちの後ろには木の家に避難したしらべ隊たちがいるのだ。


「だから前へ!!」


 ミチルの力を使いロードはグラスと共にフリフライに突撃して行く。移動速度は二人を引き連れているので遅くなっていた。


「この頂には届かないな」


 ゴオオオオオオオオオ!! っと籠破りの魔翼から風の砲撃が放たれた。


「「――――!!!?」」


 ロードとグラスは直撃を食らう位置にいた。作戦は失敗したのだ。ただ葉っぱを操る者がいなければ、


「「――――!?」」


 バザァァァッと数万枚の木の葉がロードたちの盾になる。


「葉っぱ!!」


 フリフライが怒りを込めて叫ぶ。


 サアーーーーと葉っぱが舞う。


 木の家の屋根にはアマノが座っていた。アマノは葉っぱを指で挟み、声を発する。それは通信機器の役割をしていた。


「聞こえるか? 希望を抱く者……」


 アマノがロードたちに向けて話す。


「――――!!」


 たった今風の一撃から守ってくれた葉っぱから声が聞こえたことにロードたちは驚いた。


「オレはアマノだ。奴の攻撃はこっちで全部凌ぎ切ってやる。だから安心してアレを倒せ」


「簡単に言いやがる……」


 ロードの足にしがみつくグラスが言う。


「力がないなら持って行けばいい……」


「――――!!」


 その時ロードの青い剣は光輝いた。


「これは生命力!! どういうことだ!?」


 ロードはどこからこんな力が湧いてくるのか分からなかった。


「生命力が力になるんだろ? ここに山ほどある物はどうだ? このダンジョンは全て生きる葉っぱで出来ている」


 アマノの会話中、フリフライは囲まれた葉っぱを振り払っていた。


「取れるだけ取ってけ」


「ありがとう」


 ロードは感謝した。


「そいつは葉っぱたちに言ってくれ……」


 アマノが立ち上がり葉っぱたちを操ってロードたちを援護する。

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