表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
350/941

第350話 自由に飛び立つ者は幾億人もいる

 地面に落とされ数万枚の葉っぱの刃を食らうフリフライ。


「クギャアアアアアアアアア!!」


 バザーーーーッと数万枚の葉っぱが吹き飛ぶ。


「翼を折ったな」


 ズーーー―ッと飛び上がるフリフライ。


「二度もオレから自由を折ったな!!」


 バオッと翼を広げその風圧によりアマノを吹き飛ばす。アマノが付近の逆さまの樹木に激突した。


「早くこの家の中へ!!」


 ロードは一軒しかない家の扉を開き、地べたを這うしらべ隊を誘導していた。


「ぐう……」


 赤い剣を突き立て、風圧から耐えるグラス。


「手羽裂き!!」


 フリフライが右手に等しい右翼を振る。すると、ロードたちのいた大樹がズドドドドドと切断されていく。


 アマノは激突した木からすぐさま立ち直り、木の根元へ上がっていく。しかし、フリフライの手羽裂きにより、木は切断された。四葉の翼により飛び立ったアマノは、


「千葉の刃!!」


 数千枚の葉っぱの刃がフリフライに向かう。


「届くものか!!」


 ブワッと数千枚の葉っぱをはばたきの翼が吹き飛ばす。


「いくら向かってきても所詮は葉……自由に舞えると思うな」


 上を取ったフリフライがアマノに向かって言う。


「いや、何が相手だろうが自由に舞えるのが人間だ。そんな奴は幾億人もいるんだぜ」


 その時、アマノは見ていた。フリフライより高く飛ぶ人間の姿を、


「だから――自由に動くな!!」


 襲撃者を翼の一振りで撃ち落とそうとする。しかし、スカッと読めない軌道を描いて避けられる。


 襲撃者の正体は青い剣を持ったロード、精霊ミチルの効果で空を飛んでいた。ガクンと落ちて、ザンと上に上がる。


「人間ごときが自由に飛ぶだと!! 身の程を知れ!!」


 ロードの剣の突きを避けるフリフライ。そして翼を振って風圧により地面にたたき落とす。


「う……うう……」


 ロードは何メートルの高さからも落とされたが大したダメージはなかった。


 そしてフリフライは翼を振る。幾千枚の葉っぱの襲撃を吹き飛ばすが、葉っぱの剣で直進するアマノは飛ばせなかった。


 キインと翼と葉っぱの刃が接触する音が響く。両者はすれ違った。


「こういうこともできるぜ」


 アマノの両手の10メートルの葉っぱの剣に、それぞれ一枚の葉っぱがピタピタと接触する。


「一葉の夢!!」


 剣が突如、ボンと煙を吐き出し手裏剣の形に変わった。アマノよりも一回り大きい手裏剣を、フリフライに向かってブンブンと投げる。


「――――!!」


 しかし、フリフライは翼を筒の形にしそこから風圧による砲撃を飛ばす。


「くっ……」


 苦い顔をするアマノ。


「奇妙だ……お前が先に箱の中身、秘宝玉を手にしたとして……これほど、その力を使いこなせるわけがない。なら、箱の中身の正体は何だ?」


 ザザザザザザッと羽根が刃の様に飛び散る。アマノは空を飛んで回避、木の陰に隠れる。しかし木ごと羽根が襲撃し、木をドドドドドドドと破壊する。


 キッと目つきを変えるアマノ、青葉の絆でフリフライの背後にあった葉っぱの中に瞬間移動した。


「欲しいのはこの葉々の力か……お前はこのダンジョンの最奥に届くには相応しくない」


 木の根っこの上に立つアマノ、右手を上げるとそれに合わせて周囲の逆さまの木が浮き上がっていく。


「――――!!」


 フリフライが背後で話すアマノに気づく。


「希望を知らずに落ちて行け……」


 その言葉と同時に数十本の木はフリフライを狙う巨大なトゲの形に変わる。これも一葉の夢の力だろう。


「――――!!」


 フリフライは狙われていた。同時によけきれないことを悟った。


「取る」


 アマノの一言でトゲたちが動き出す――その瞬間、


 ドドドドドドドドドドと全てのトゲは地面に落ちた。どうしたことか、アマノはふらりと倒れそうになる。そして――


「落ちるか……」


 フリフライが三つ又のくちばしを開く。


 ヒューーーーーーンと逆さの木の根元から落ちていくアマノ。


「落とすのは命にしろ!!」


 ザンと右手にも等しい右翼を振る。翼がアマノに伸びていく。しかしアマノは意識を取り戻し、バサッと四葉の翼で横に飛んで回避し、ここで生命線が切れるように四葉の翼が解かれ、木の家に激突、そのまま地面にズザザと滑って行った。


「――――!! (もう一度生命力を渡せば……)」


 ロードは倒れたアマノの方へと向かって行く。


「おい、そっちに用はねーだろ」


 すれ違ったグラスが言って来た。


「!!」


「お前が魔王を倒すんじゃなかったか? 誰の命握ってそこに立ってるんだ」


 そのグラスの言葉にロードは振り返った。そしてタンと跳び、木の家の屋根に乗る。


「その通りだ」


 グラスが赤い剣を投げる。くるくると軌道を描いて飛ぶ赤い剣は、ロードの元まで届きバシンとキャッチされる。


「オレが魔王を倒して終わりだ」


 両手に剣を構えたロードが戦いに身を投じる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ