第339話 希望のダンジョンのゴール
希望のダンジョン・葉っぱの抜け道。
ロードたちはダンジョンの探索をしていた。
進む道は洞窟のような形だったが、数万枚の葉っぱから作られた洞窟だった。
「おお、なんと鮮やかな緑」
ガシラ先生が感動する。
「太陽光の届かない場所で、よくこんなに育っていますね」
ヂカラが大発見する。
「し、し、しらべたい」
そわそわするモト。
ロードは先頭を歩き、やがて洞窟の出口に到達する。
「――――!?」
洞窟を抜けると小さな池と女性の姿をした木彫りの人形が立っていた。
「また人の形をした木彫りか」
ロード一行が洞窟から抜けると周囲の葉っぱがざわめき出した。
「――――!!!?」
「風?」
ヂカラが言う。
「何でしょう葉っぱがざわめいて――」
モトが話している時、
『希望を持ちし者。最後の問をする。心して聞け』
その空間の全方向から人の声のようなものが聞こえて来た。
「むっ、葉音だけで、声のようなものが聞こえて来るぞ」
ガシラ先生が驚く。
「これもアマノの仕業でしょうか?」
ヂカラが推測する。
「どうなってるの? 葉っぱ、葉っぱ、しらべたーーい」
モトがそわそわする。
「静かにしてくれ……」
ロードが注意する。
『この先には希望がある……世界の人類の未来の希望がある』
『その希望いかように使うか……その希望なにゆえに使うか』
『財宝の誘惑を耐えし者、他者の物を奪わぬ者』
『希望を信じる者、恐れに立ち向かうもの、人に分け与える者』
『真実を述べよ、ここへ何しに来た』
『ただ一つの物を、言の葉につむぎ水面に捧げよ』
女性型の木彫りの人形が動き出し、木の葉を一枚差し出して来る。
『葉を取り言の葉を乗せよ』
「……………………」
ロードは無言で葉を手に取る。
「任せよう」
ガシラ先生が言う。
「えっと、えっと、何を言えばいいんだろう」
ヂカラが考える。
「葉っぱ、しらべたい」
モトがそわそわする。
(何を求めてきたか……このダンジョンにある希望……)
(この世界を人類を未来を救う希望の宝、それがここにあるもの)
(だが、答えは決まっている)
ロードは口角を吊り上げて宣言する。
何かを木の葉に向けて答え、その葉を池のような水面に落とす。
ハラハラハラとゆっくり落ちていき、水面に浮かぶ。するとソワーーーーっと水面から波紋が広がった。
「「「――――!?」」」
ゾアーーーーーーっと葉っぱがざわめく。
『言の葉によって……汝の答えに嘘偽り無し……見事、汝この奥の希望を託すにたる存在と認める』
前方の葉っぱの壁が左右に分かれて道を示す。
『では、行け……汝の答えに従って……』
葉音のざわめきはそれで静まった。
「では、行こう……」
ガシラ先生が言う。
「あなた達はここにいてくれ……この先には魔王がいる。絶対にオレが戻るまで来てはいけない。先に魔王を倒して来る」
ロードの顔は勇者の顔になっていた。
▼ ▼ ▼
希望のダンジョン・最奥。
葉っぱの道を抜けると、木の枝の階段が現れる。そこから見える景色は反対に生えている、根っこが上を向いた木が数十本と、前方のある大樹の木の根っこだった。枝は地面を作り葉っぱが覆い茂っている。
その階段をダダダダッと風のように即座に走り抜け、ゴールである大樹の入口へと足を踏み込む。
「――グラス来たぞ!!」
ザダンっと大樹の中に入るロードそして目にしたのは、
魔王フリフライの刃に腹部を貫かれたグラスの姿だった。
「オレの勝ちだ……ざまぁ……見ろ……かかしやろーー」
息も絶え絶えに声を発するグラスは笑っていた。その口から血反吐を吐いている。
ロードは間に合わなかったのだ。




