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第333話 木の家の罠

 希望のダンジョン・内部。

 その階層には木で作られた町があった。何本もの柱があり、天井からは木の根っこが吊るされていた。町の家は全て木製で、扉がついていて窓はなかった。

 ダダダダダダダダダダッとオオカミに乗るドリドリム団が中央通りを突っ切ていく。

 しかし、待ち構えていたかのように魔物がいた。葉っぱの翼の生えた4本の木の腕に、3つの足の着いた木の化物ボクネンジンが待ち構えていた。その後ろには100を超える木人の魔物たちがずらりと並んでいる。


「魔物がやっぱり入っていたな」


 ドリドリム団のハイエが言う。


「おっ、アレが魔王ってのか? 腕が鳴るな」


 ボクネンジンを見て勘違いするワー。


「バカ言え、その向こうに穴がある。奴らはお出迎えの連中だろ」


 ダイシンがその奥のバカでかい扉を見て言う。


「どうするよ頭」


 ノロシが訊く。


「…………シリウス前へ出ろ……」


 テンロウが命令する。


「いいだろう……」


 シリウスが前へ出る。


「アレは人間? さっきの地響きは奴らの仕業か」「何故このような場所に、魔王さまをつけて来たとでもいうのか」「あれもこのダンジョンの罠ではないのか? ただの人間ならおそるるに足らんぞ」


 魔物たちが武器を構える。


「飛べ」


 ボクネンジンが部下に命令する。


『『『――――!!』』』


「射貫け!!」


 シリウスは弓矢を引いていた。そして矢を放つ。


 バシュシュシュシュシュシュシュシュッと矢が放たれていくが、魔物たちは空を飛び避けていく。


「誰も……通さん……」


 ボクネンジンが大砲のような4本の腕を盗賊団に向けるが、テンロウの放った螺旋拳の竜巻が魔物たちを巻き込んでいく。


「おおお!!」「ああああ!!」


 魔物たちは木の家の屋根に落とされ、ボクネンジンは柱のてっぺんにスタンと降り立つ。


「いかん」


 数十名のドリドリム団は魔物たちが閉ざしていた道を開き、魔王がいるとされる扉の奥へと向かって行った。


「おおおお!!」「人間共はどこだ!!」


 木で作られた町の入り口から声がした。トロイアに乗っていた魔物たちがドリドリム団を追ってここまで来たのだ。


「――――!! 今頃遅いわ」


 ボクネンジンは文句を垂れた。


「間抜けな魔物共め! ドリドリム団に手を出してどうなるか思い知らせてやる! 行くぞおぉ! 一匹残らずぶち殺せぇ! ドリドリム団!」


 シリウスが開戦の指示を出す。


 450近くの盗賊団たちが魔物を迎え撃つ。


 

 ▼ ▼ ▼



「……………………」


 木で作られた家の陰からハズレが盗賊と魔物の戦いを見ていた。


 この時、

(アレってドリドリム団? そうかアイツらが木馬を……)

(魔王に仕返しするためだけにこんなバカげたことするなんて、帰る術はあるのか?)

(魔王はさらに奥か……何とか戦闘を避けながら行きたいところだ)

 ハズレは考えていた。


 そこに家の陰から一つ目の魔物が現れた。


 この時、

(そうもいかないか)

 そうハズレは思い剣を魔物に振るった。


「ああああああ!!」


 魔物は霧散化して消えていった。


 そして、

(というかここは何なんだ?)

(ダンジョンなのか?)

(家がたくさんあるが、来る途中に石碑もあったけど何か関係があるのか)

 ハズレが思っていると、今度は怪我をした盗賊たちを物陰から見る。


「おい、こっちだ隠れるぞ」「う、痛てーーーー」


 盗賊が木で作られた扉をドアノブに手を掛けギィーーと開く。すると家の中から触手のようなものが飛び出した。


「うわぁ!!」「何だぁ!!」


 盗賊たちは触手に絡まれて、


「うわぁーーーー」「ああーーーー」


 と家の中でぐちゃぐちゃに取り込まれていった。


「……………………」


 バタンと家の扉らが閉まる。


「罠か……」


 ハズレの真横の魔物が呟いた。


「――――!?」


 とっさに魔物を斬るハズレ。


「ぎゃーーーー」


 と断末魔を上げながら霧散化していく魔物だった。


 この時、

(なんなんだ。他人の家に無断で入る奴には、ダンジョンの宝は渡さないみたいなものか?)

(思っているよりここは危険なのかもしれない。どうする)

(そもそも魔王はいつからここに入っているんだ)

(木馬より先に入った可能性もあるぞ)

(ロードとスワンに罠のことを教えに行くべきか)

(二人を探す暇があるか? 時間がそれを許してくれるか?)

(どうする引き返すか? ちっ、考えている間にもう扉の近くまで)

 ハズレが頭を働かせていると、


 家の陰から、視界にボクネンジンの姿が映った。


 ハズレとボクネンジンは目と目を合わせた。


 それは開戦の始まりだった。 

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