表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
317/942

第317話 それぞれの思惑

 ロードは魔王を欲深き溝に突き落とすと言った。


「そうか、その手があった」


 スワンが感心する。


 この時、

(底の深さがわからないがもしかしたら)

(落とせばそのまま魔王の脅威はなくなるかもしれない)

(ロードは精霊の剣で飛んで戻って来られる)

 ハズレは名案だと思った。


「オレは魔王に最初からかかるから力を温存しておく。もしもの時は眷属使魔とグラスを頼む」


 ロードは決意を固くする。


「分かったやってみよう」


 ハズレが賛成した。


「どうせダンジョンに辿り着いても戻って来られないし、魔王と言えど二度と上がって来られないかも」


 スワンが調子よく言った。


「ダンジョンにある人々を救うという希望の宝……手に入れるべきなんだろうけど、魔王を倒すにはこれが最善策だ」


「そう気を落とすことはないさ」


「うん、とりあえず魔王さえいなくなればこれ以上の被害はなくなる。また皆で乗り切ろう」


「ありがとう二人共」


 ロードは感謝する。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 ダメスト・スコップザラ団のテント群。

 明日は決戦だというのに、浮かれて酒を飲み続けるスコップザラ団の団員たち。


「浮かれてやがんな」


 首領・ダイチが酒を飲み買う団員を見てぼやく。


「ドロ、アイツらに言っとけ……魔物共とは手ー抜いて戦えってな」


「分かってるよドン・ダイチ」


「ツルバシセン団とシャベルマス団……アイツらは戦いに乗り気だ。戦いの後、誰があの木馬を手に入れるかが重要だ。魔王の宝も分捕る……」


「その後、ガキ共の言っていた希望のダンジョンに向かうのもいいかもな……」


 ドロがビールの入ったジョッキを片手に言う。


「そいつはまた後日だ。なんにせよ。最後に全部いただくのはスコップザラ団だ」


 ダイチがニヤリと笑う。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 ダメスト・集会場テント。

 空になった酒瓶がいくつも転がっていた。


「とまぁ……アイツらは考えるだろうな」


 ゴトッとまた空になった酒瓶を置くのはリョウだった。


「いいのか? 後でもめることになるぞ?」


 レトリバーが友人に忠告する。


「背後から刺してこねーなら構わなーよ。それに宝が誰の手に落ちるか……ゴクゴク、決まった訳じゃねー」


 ジョッキに入ったビールを一気飲みして、また机の上に空瓶を転がすリョウ。


「最後は俺たちのもんだ……」


 口から零れたビールを手の甲で拭いながら言う。


「山分けだな」


 レトリバーが言う。


「確認するまでもねー、いつも通り昔通り大人共に見せてやろうぜ、俺たちのやり方」


「ああ、まず俺は捕らわれた仲間を助けてやらねーといけねーけどな」


 ゴクゴクと酒瓶にそのまま口をつけて飲み干していくレトリバー。


「オレもアイツらに協力しねーとな」


「そこだ。一体どういう風の吹き回しだ……お前が他人に手を貸すなんて……」


「ん? アイツらエミさんの恩人でな」


「そういうことか……」


「だが、アイツらの輝きはその辺の宝とは違う。何か見えてきそうだ」


 リョウが右手で空気を掴む。


「なるほど……長い話になりそうだ」


「オメー真面目に言ってんだぞ!!」


「ハハハ」


 リョウとレトリバーは二人で酒を飲み交わしていた。



 ◆ ◆ ◆ ◆



 ダメスト・テント群。

 ロードとスワンは明日の準備の為、色々と用意していた。

 盗賊たちをかいくぐってやっと水を手に入れるスワン。

 水差しから五個のフラスコに水を注いでいく。

 そして蓋をした。一方ロードはというとコップに入れた水を口に含んでいた。


「こんなもんかな」


 スワンがビンに水を入れ終わる。


「もっと大量に持って行ければいいのにな」


「そうなんだけどあまり持っていくと重いから、だからこれは精霊たちへの供物。私の代わりに水分を集めてもらう」


 水の入った瓶を精霊の術か何かで小さくし、腕輪に引っ掛けていくスワンだった。


「そういうカラクリだったのか精霊の術は……」


 ロードは飲んでいた水のコップを元の位置に戻した。


「うん、そういうカラクリ」


「終わった。行こう」


 スワンが準備を終えて誘う。


 

 ▼ ▼ ▼



 盗賊たちのいるテントを通り過ぎていく。


「私一人でもよかったのに……」


「ハズレが辺りが盗賊だらけだからと言っていた」


「まぁ……いいけど」


「「――――!!」」


 その時ロードとスワンの耳に問題ごとが聞こえてきた。


「えーーーー、こんな日にまで争ってるの? これだから荒っぽい人たちは……ってロード!?」


 ロードが即座に走り出したのでスワンは驚いた。



 ▼ ▼ ▼



「オイ、どこに目―つけてんだデクヤロー共!!」


 そいつはシャベルマス団のドーベルという男だった。


「小さい」「悪いのお前」


 その大男たちはいつかフォックスグリード入国時に見たスコップザラ団の双子の男ファイとゴー。


「文句あるなら来い」「よわっち―ヤツ来い」


「上等だ!!」


 二人の男が拳を握り振り被る。そして――――


 ロードが仲裁するように間に入って拳を両手で止めた。


「「「――――!!」」」


「どけよぶん殴るぞ!!」


「じゃまじゃま」「あっちいけ」


「ダメだ。俺たちの敵は魔王だ。拳を解くんだ」


 ロードは止める。スワンが野次馬の中から見守る。


「ちっシラケちまった」


 ドーベルが拳を引く。


「いつでもこい」「ケンカかう」


 双子の男たちもその場を後にした。


「こんな時くらい、手と手を取り合えばいいのに」


 ロードが近づいて来たスワンに言う。


「ホントに……もう行こ……ハズレも戻ってるかも」


 そう言うとスワンはロードの手を引き、その場から連れ出した。


「ああ」


 まだまだ夜は終わらない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ