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第3話 目を覚ましてから


 そこはロードの住んでいるとある大きな国。

 

 静かで涼しい夜は終わり、陽気で眩しい光が満たされる。

 その国に気持ちのいい朝が訪れた。

 

 部屋のベッドで青年であるロードは眠っている。

 いつも通りの朝を迎えるため、ニワトリの『コケコッコー!』という鳴き声で目を覚ます。

 

「ん、んん~~」

 

 眠い目を擦りながら起き上がり、壁に掛けられた時計を見る。

 時刻は5時すぎ。

 彼はベッドから立ち上がり、両腕を広げて伸ばす。

 

 机に置かれた籠の中では小さなネズミが3匹そろって眠っている。

 ネズミ達を起こさないようにゆっくりと静かに動く。

 部屋の棚から外出用の服を取り出し着替える。

 朝の陽ざしに負けないくらいの真っ白い服装になった。

 布地の靴を履いて紐を結ぶ。

 一度、部屋の窓から外を眺めて気分を高める。

 

「……行くか」

 

 寝起きのためかつい声に出てしまうが、そんなことには気づかず扉のまで移動してドアノブに手をかける。

 

 けれど、まだ開けない。

 

 ネズミ達を起こしていないか確認するために顔だけで振り返る。

 見ると、チューチューと小さな寝息を立てていたので(大丈夫そうだ……)と判断した。

 それから部屋を後にするのだが、

 音が鳴らないように気を使いながら扉を開いたり閉めたりした。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 彼の名前はロード。

 かつては少年だったけれど年月が経ち今では19才。

 身長も172センチとそれなりに成長した。

 品格のある金髪は緩く逆立っているのは相変わらずだ。

 

 そこはストンヒュー王国と呼ばれている地。

 

 たくさんの人やさまざまな動物たちの暮らす大きな国だ。

 人の手によって作られた家や小屋が並び街となっている。

 一方で動物たちのために緑豊かな自然がそのままに残されている。

 さらに、人や動物たちが自由に利用できる水飲み場が至る場所に設置されている。

 加えて、至る所に国のシンボルである国旗が掲げられている。

 その国旗の柄は人と動物たちの輪がモチーフになっている。

 

 王国の中心部には柵に囲まれた広大な敷地があり、中に大きくて立派な宮殿が建てられている。

 そこはストンヒュー宮殿という、国を治める王族や大臣たちと、一部の兵士や使用人たちの暮らしている場所である。

 王国の中枢と言っていい場所だ。

 

 そしてロードもまた幼い頃から暮らしている場所だ。

 

 

 ◆ ◆ ◆ ◆

 

 

 ストンヒュー宮殿・正面広場。

 

 彼は広々とした石畳を地面に、体操をしていた。

 これからジョギングを始めるための準備運動している。

 

 身体を動かし、伸ばし、起こし、反らせ、回し、飛び跳ねる。

 早朝はよく音が通るからタンタンタンタンと靴音が響く。

 どこからかスズメやカラスなどの話し声も聞こえてくる。

 彼は準備運動を終えると、宮殿から出るために正門まで歩いていく。

 正門まで続く道の両側にはキレイに整備された庭園があり、庭師の手入れが行き届いているのがわかる。

 

 ▼ ▼ ▼

 

 庭園を覗きながら歩いていくと正門に到着する。

 とても重そうな扉の大きな門がある。

 ストンヒュー王国で一番大きなこの門は歯車仕掛けで開け閉めするらしい。

 

 近くに詰め所があって門番の人や番犬が控えている。

 外に出るには詰め所で門を開けてもらうように頼むことになっている。

 迷わず足を運んでいく。

 

 

「おはようございます。外に出たいので門を開けてくれますか?」

 

「ああ、おはようロード。いいよすぐ開けよう」

 

 門番はこちらの日課を把握しているので気兼ねなく引き受けてくれた。

 

「開門するぞぉ!」

 

 正門の上の方で見張りに立っていた2匹のミーアキャットが呼びかけられ、開門の邪魔にならないように素早く降りてきた。

 

 ガガガッギギィィ――――ギィ――――ン! と朝から迷惑すぎる大きな音が周りに響きながら門が開いていく。

 開かれた先には見えたのは王国の大通り、遠くの方には噴水のある広場も確認できる。

 


「行ってこいワン」


番犬が言う。

 

「うん、行ってきます」

 

 開かれた正門から敷地の外に出るために足を進める。

 

 敷地から出る一歩手前のところで立ち止まり浅く呼吸をする。

 

「スーーフーー」

 

 透き通るような朝の空気が身体を軽くする。

 そこから見える早朝の街は一日の訪れを感じさせる静けさがある。

 

 清々しい朝の光を浴びるのはやはり気持ちがいいそうだ。

 

 空気と光を十分堪能すると、

 ロードは顔つきを引き締めて、足で地面を蹴り走り出した。

 

 



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