第299話 見せてやる一致団結の力
ロードに向かってロッカーライがロックスター状態で突っ込んできた。
ロードは左に避けて躱し、ハズレがロープの輪をロッカーライに引っ掛けて通り過ぎる。
ダダダダダダダダッと走り抜けるロッカーライ。ハズレは何とかロックスターという攻撃を躱した。
「華麗に作戦を果たしたな。ハズレ」
ロードがハズレの姿を見て呟く。
「どうした!? 熱き命の咆哮を見せてみろ!!」
ガバッとたてがみを開くロッカーライ。
「引けぇ!!」
ハズレが叫ぶ。
「――――!!」
ビン!! ビン!! ビン!! と三つのロープがロッカーライの首から伸びる。ツルバシセン団がロープを崖の上から引っ張っているのだ。
「ツルバシセン団!! 何としても踏ん張れ!!」
フセルが気合いを入れる。
「日頃の力自慢を発揮しろ!!」
オテダシも奮い立たせる。
「がぁ……あ……」
ロッカーライは先ほどハズレが通した三つのロープの輪に首を絞められていた。
「今だロード!! これで首を絞めている間は咆哮できない!! それに動きを封じた今なら攻撃を撃ち込める!!」
「分かっている!!」
ロードは赤い剣を高らかに上げて生命力を一点集中させていく。
その時バシッバシッとロードの手が握られていく。
「確実に仕留めよう。私の力も使って――」
「オレもだロード」
「分かった二人共やろう……」
生命力を伝わせていく中。ロッカーライは動きを見せた。
「こんなもので我が止められるものか!!」
ロッカーライは前足を上げて飛び出そうとする。
「「「――――!?」」」
ここで突っ込まれては作戦は台無しだと三人は思った。だが――
螺旋拳と剱山刀がバッカ―ンッとロッカーライの両前足をぶっ壊した。
「ぬおおおお~~~~」
前足を失ったロッカーライは前のめりに倒れる。
「まさか、アンタが手を貸してくれるとは思ってなかったぜ」
リョウが剱山刀を肩に担いで言う。
「テメーが勝手にオレの獲物を横取りしてるだけじゃねーか!! ドリドリム団!! この死にぞこないの獅子を止めろ!!」
『『『おおおおおおおおおおおおおおおお!!』』』
テンロウの一言で動き出すドリドリム団。
「ガキ共に後れを取るなぁ!!」
ワーが叫ぶ。
「起きろ!! テメーら!!」
ダイシンが厳つい声を放つ。
「さっさと動け!! 頭にぶっ殺されるぞ!!」
ハイエが命令する。
ロッカーライはドリドリム団によって両サイドからもロープによって引っ張られていった。
「おのれーーはかったな、人間共がーーロックオンを使わせたのはワザとか……」
顔を上げるロッカーライ。そして目の前に立つロードたちを見る。
この時、
(――!! なんだアレは――何をしている。ただならぬ力まずい!!)
危機感を感じたロッカーライ。
ダンダンと後ろ足で崖を攻撃し、地響きを鳴らしてロープを引っ張る者たちのバランスを崩そうとする。
『『『――――――!!!?』』』
「崩れろ!! 人間共!! 全員この場で燃え尽きたいか!!」
ロッカーライは吠える。
「ツルバシセン団腕がちぎれても離すなよ!!」
団長リョウが叫ぶ。
「ドリドリム団!! 全力を出してねーヤツはオレがぶっ殺す!!」
テンロウ率いるドリドリム団はロープを引っ張っていた。
ガオウン!! とロッカーライが咆哮を上げる。
ロープで引っ張っていた全員がその強引な動きに引きずられる。
「オオオオオオオオオオオ!!」
ブチブチブチッとロープがちぎれていく。
「良いだろう!! 見せてやろう!! 命の叫びを!!」
ロッカーライはたてがみをトゲ状にして直立した。
「――――なっ!?」
スワンが驚き、
「不味いロード!?」
ハズレが急かす。
「エアーズロック!!」
ロッカーライはトゲのままロードたちに突っ込んでいく。しかし――
「――最初の一撃!!」
ロードは叫んで、全長20メートルの光の剣を現して、上から下へ振り下ろした。
ズダンッと音を立ててロッカーライを一刀両断していく。
両断されたロッカーライは、ロード、ハズレ、スワン、とすれ違い通り過ぎていく。
そして霧散化して消えていく。
「見えなかったな、魔物一致団結の力を……」
カァーーと夜が明けた。朝の光がロードたち勝者を照らし出す。
『『『おおおおおおおおおおおおおおお!!』』』
崖の上の盗賊たちは歓声を起こしていた。
(そうだ! グラス!)
思い出したロードが岩穴へ向かう。
「オイ、ロード」
ハズレが追いかける。
「どうかした?」
スワンも追いかける。
タタタッと走って岩穴の中を見てみる。
グラスの姿はなかった。
確かにそこに降ろしたはずなのに、足に怪我を負って動けなかったのに、
しーーーーんと洞窟は静かだった。
「どうしたロード?」
「この向こうに何かあるの?」
「グラスがいなくなった……」
不安になるロード。
「逃げられたのか?」
「でも、拘束具の鍵はロードが持っているのに……」
「何故だグラス」
ロードは呟いた。




