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第291話 檻をぶち破る勢いのロード

 ガチャンっと檻の錠が閉まる音がした。


 ロード、ハズレ、オテダシ、ブン爺さんは手錠をかけられ牢に入れられた。檻の前には見張りが二人いた。


 檻の中にはロードたち以外にも捕まったと思われる人が10人くらいいた。


「捕まってる奴らはオレたちだけじゃないってか?」


 オテダシが牢の奥を見て言う。


「誘拐された人達か……」


 ハズレが目線を下げる。


「ああ、噂じゃどっかの国に奴隷として売り出されているらしい……女どもなんかもっと悲惨だがな」


 ロードは牢の奥へと進んで行く。すると――


「うっ……うっ……」


 泣いている男性がいた。


「――!! 大丈夫か!? どこか痛いのか!?」


 すぐに駆け寄るロード。


「腕が痛い……うっ、折れてんだ……」


「腕を出せなんとかする」


 男が折れている部分の腕を出し、ロードは患部に手のひらを当てて生命力を分け与える。


「何をしているんだ?」


 オテダシが訊く。


「腕を治してやってるのさ」


 ハズレが答える。


「すげーーけどどうやって?」


 そして治療を終えたロード。


「あ、ありがとう痛みがなくなった……」


 男がお礼を言う。


「何故腕が折れていたんだ?」


 ロードが原因を訊く。


「ここへ連れて来られるときにな、奴らにやられた」


「……………………」


 ロードは黙って立ち上がり――


「ハズレ、何かいい方法はないか? 皆をここから出したい」


 ハズレに訊く。


「ロード何を考えてる。団長たちが来るまで何もすんな。下手なことすっと本気で殺されるぞ」


 オテダシが口を挟む。


「出来ればリョウさんたちにも戦ってほしくはない。オレが一人で奴らを引き付けてもいい、皆を逃がしたい戦いを起こさずに」


「そんなことできるわけが――」


「――方法はなくもないな」


 今度はハズレが口を挟む。


「本当か? ハズレ」


「確実とは言えないが、やってみる価値はある。幸いここにはスワンの精霊がついてきた……スワンに協力を頼めるだろう」


 ハズレの足元には水の精霊シーちゃんがいた。


「何じゃアレ」


「ただ、一人でドリドリム団を引きつけられるかだ……今のロードは奴らに剣を取り上げられてるし……」


「何とかしよう」


 二人で話を進めていると――


「バカか! 一人でドリドリム団と戦うって言うのか? 正気の沙汰じゃねーすぐにぶっ殺されるぞ! 言っただろテンロウは団長と同じ特殊な武器を使うやつだぞ!」


 オテダシが忠告する。


「このまま黙っている訳にはいかない……言ってやる。人の命はお前たちの物じゃないと言ってやる」


「言ってやるって……戦うんじゃないのか?」


「そうなったときは戦う。犠牲者の為にも、これから二度とこんなことにならないように……」


「止めても無駄だオテダシさん、彼はこう言うヤツなのさ…………いいだろうロード……やろうこの作戦はキミにかかっている。覚悟はいいな?」


 ハズレの確認に、コクンと頷くロードだった。



 ▼ ▼ ▼



 ガンガンガン!! と牢屋から聞こえて来た。


「オラァ!! 開けろォ!! コラァ!! オラァ!!」


 声の主は牢屋を叩いていた。


「くそっ」「何だってんだ」


 見張りの男たちが牢屋に向かう。


「オラァーー!! 開けろグズ共!! オラァ!! 開けろ!! オラァオラァ!! オラァオラァーー!!」


 ガンガンガンと鉄格子を蹴りだしていたり、檻の扉を揺さぶっているロードの姿があった。


 この時、

(ロードの迫真の演技、スワンにも見せてやりたい)

 ハズレはこう思い、

(オラァーーが多すぎるだろ)

 オテダシはこう思っていた。


「何だお前やめろ!! うるせー!!」「ぶっ殺されてーーかああ!!」


 見張りたちが抑えようとする。


「やれーーやってみろーー!! グズ共こんなもの今すぐぶち破って、テメーらが何人いてもこけおどしのただのかかし野郎だって分からせてやる!!」


「何だとぉ!!」「舐めやがってクソガキがーー!!」


「テンロウって言ったかお前らの頭、臆病者の腰抜けクズやろーー弱者共の代表!!」


「テメー何言ってんのか分かってんのかゴラァ!!」「頭の耳に入ったら殺されるじゃ済まねーぞオラァ!!」


「クズ共が聞こえねーのか!! それとも言葉がわからねーほど馬鹿なのか!! こっから出せ!! 馬鹿共!!」


「うるせー!!」「黙れーー!!」


「大馬鹿のテンロウとお前ら全員に有り難い教えを解いてやる!!」


「このやろう!! 後悔させてやる!!」「頭の前に引きずり出して無残に殺されろ!!」


 鍵を取り出す見張りたち。そして檻の鍵を開ける。


「さっさと出てこいクソガキ!!」


「オラァ!!」


 出てきて早々、見張りの一人に頭突きを入れる。


「うっ!!」


 そして倒れた見張りをロードは踏みつけた。


「て、てめー!!」


 もう一人の見張りが剣を持つ。


「誰にもの言ってやがる!! テメーらは黙ってオレをテンロウのところまで連れてけ!!」


「テメーそれが頭の前でも言えるか試してやる!!」「クソガキ~~覚悟しろ!!」


「黙れさっさとテンロウのところまで連れて行け!!」


 そしてロードは二人の見張りに連れられて行かれた。


「…………これでまずはロードが奴らの注意を引くことになるな」


 オテダシが見送りながら言う。


 この時、

(ロード、キミはグラスを手本にしたのか? ……それはつまり……)

 ハズレはそこまで考えて、作戦のことを思い出した。


「よし、シーちゃんスワンのところまで道しるべを残してくれ」


「シーーーー」


 シーちゃんが檻の外へ出てスワンの元へ帰っていく。その道しるべとして、地面に湿り気が出来ていた。


「あとはロードがさっきどさくさに紛れて、奪った鍵で――」


 ハズレが牢の中にあった鍵の束を拾う。


「オイ、そう言えばアイツがいねーぞ!」


「?」


 オテダシの発言にハズレは不思議な顔をした。しかし――すぐ顔は驚きの表情になる。


「グラスがいねーぞ!!」


「――――!! (グラス一体キミはいつの間にいなくなった……)」


 手錠を外したハズレが鉄格子越しに思う。

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