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第268話 言葉で人が死ぬ

 ロードの目の前には緑色の襲撃者がいた。これまで幾度もロードたちを襲って来た人物と同一人物みたいだ。

 乱雑に切られた髪、耳にはピアス。目つきは鋭く。過酷な環境下で過ごしてきた瞳の色をしていた。


「ハズレ、スワン、ドルフィーナと一緒に下がっていてくれ」


「「――――!!」」


「ロード、でも皆で――」


「スワン、ロードに任せよう奴の殺気今までの奴とはわけが違う……ロードの邪魔にならないように村外れまで戻ろう」


「何を言ってるの? だったらなおさら今までだって3人で力を合わせて――」


 その時スワン目がけて刃物が飛んできた。キンと甲高い音を響かせて赤き竜封じの剣でそれを弾く。戻って来た短剣を掴む緑色の襲撃者。


「スワン、こんな無意味な戦いに命を懸けるな。お前の命は安くない……俺がすぐにカタをつける」


「ロード」


「言ってくれるなぁ! 動くかかしぃ!!」


 バサッとマントを脱ぎ払う緑色の襲撃者。その身体にはいくつもの短剣が装備されていた。


 テクテクと歩き、ロードも戦いの準備をするため青き剣を抜き取る。


「ロード! 私の分もぶっ飛ばしてきて!」


「――聞き入れた!」


 腰を落とし、右手に赤き剣、左手に青き剣を構えた双剣流の構えを取るロード。しかし剣は鞘に収まったままだった。


 スワンたちはその場から急いで離脱する。


 対して、柄に丸い輪っかが出来た形状の短剣に、その輪っかに両手の指を五本とも余すことなくひっかけて、口にも五本の短剣を咥える珍しい戦いのスタイルを取る緑色の襲撃者。


「知っているかナイフマニア」


 そんな彼にロードが言葉を投げて行く。


「?」


 睨んだままの襲撃者。


「殺すという言葉が凶器になることを……」


 負けずとロードも睨み返す。


 その言葉が引き金となってか襲撃者が先に走り出した。


「それがーーどおした!!」


 口に咥えた短剣でロードの赤き剣にキキンと攻撃を加える。


 更に回って左手を振り上げて指に引っ掛けた五本の短剣を、ガキキンと青き剣に攻撃しロードの構えを崩す。


「言葉とは相手に伝えるもの……心に届かせるもの」


 剣を交えながら襲撃者に教えていくロード。


「優しき言葉をかければ心は安らぐ……ベットで眠りにつくような心地い気分」


 キキンキキンと短剣と剣が交わる。


「だが殺す、心がこの言葉を受けたとき、それは心の心臓に剣を突き刺したも同じ、傷つくことは確実!」


 相手の右手の五本の指に掛けられた短剣をはじき返すロード。


「最悪生きてはいけなくなる」


「だからぁそれがどおうした!」


 右手の構えを元に戻す襲撃者。


 だが、赤き剣により両手に構えられた短剣の手がはじき返される。


「――――!?」


「人が死ぬ」


 鞘に納められた竜封じの剣が襲撃者の顔面を襲った。


「――――!!」


 しかし、ロードの一撃は口に咥えられていた五本の短剣に抑えられた。


「だから――死ぬからどおした!?」


 ザンと一度距離を取る二人。


「誰がどこで何人死のうがオレの知ったことじゃねーー、オレがどこでどう生きるか、それだけ知っていればいいぜ」


「……………………(根本からして考え方が違うか)」


 ギロリと睨む襲撃者。


 キリッと睨むロード。


 ガキキンと両者は激突する。鞘に納められた剣で対抗するロード、たいして指に短剣をひっかけた襲撃者。


「らぁ!!」


 その時ロードは不意を突かれた。相手の口に咥えていた短剣が一つ、顔に向かって飛び出してきた。サッと首を傾けて短剣を避けるが続いて第二撃目の短剣が襲い掛かってくる。それも首を傾げて避けるが、今度の三本目は歯で刃を噛み締めて抑え込んだ。つづく四撃目、五撃目は首を傾げて避けたのだが、五撃目は頬をスパッとかすませて血を流させた。


 お互い両腕が競り合っているのでこれ以上の攻撃が出来ないでいたが、ロードはその状態からでも攻撃を仕掛けた。


 片方の足を上げ、相手に向かって膝蹴りを食らわせようとした。それに気づいた襲撃者は一歩後ろに下がった。


 そしてロードは自由になった両腕を思いっきり回した。そしてどういう原理か襲撃者の口から離れたはずの短剣が戻って来た。しかしロードはそのからくりに気づいていた。それは糸、短剣には何と意図が仕込まれ飛んで行っても回収できるように仕組まれていたのだった。輪っかになっている部分に糸が収納してあるのだろう。


 シャキンと全部の短剣を回収する襲撃者だった。ロードが両腕をぶん回したのはこの糸にからめとられるのを避ける為だった。


「ちっ、こうもあっさり仕掛け意図を見破り茶がって……めんどくせー」


 ロードが間合いを詰めにかかる。そして相手は靴を使って、地面の土をロードの顔面まで蹴り上げた。


 目くらましのつもりだろうが、ロードはそのまま目を閉じて突っ込み、両腕の剣を振るった。相手が避けたのであろう手ごたえはなかった。


「――――!!」


 この時襲撃者は、

(食らえ――)

 と秘策を出してくる。


「十五夜!!」


 指に引っ掛けた短剣と口に咥えた短剣、合わせて十五本が糸を引いて、フォフォフォフォフォフォフォフォンとロードに襲い掛かろうとしていた。


(十五本のナイフがテメーの急所を刺殺するぜ。一本でも当たれば死ぬ)


 広範囲に放たれた短剣がロードから逃げ場を無くす。

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