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第240話 新たな力、魂の一撃

 ゴワドーンとロードはそれぞれ、落ちている丸い宝石を見た。


(アレは確かお爺さんの秘宝玉)

(まさか……オレが衝撃だけで済んだのは)

(アレのおかげか?)


 ロードは秘宝玉を見つめていた。


「――破壊せよ――破城槌!!」


 4メートル近い巨体が一瞬で間合いをつめて来た。


「――――!!」


 ロードは目を移していたことで反応に遅れたが、魔王の狙いはロードではなかった。



 ズガン!! と音を響かせて破壊される玉座の間の床。


「くっ――!!」


 ロードは瓦礫と共に落ちていく。


(衝撃程度でフロア全体を崩すとは……)

(しかし、よほど秘宝玉を取られたくないようだ)

(下の階ごと足場を崩した)

(さっきのはどこに……)


 きょろきょろと秘宝玉を探すロード。


(あそこか……)


 瓦礫と一緒に落ちていく秘宝玉。


 その時、ロードはもう一つの問題を思い出した。


(そうだ、お爺さん)


 グレイドの亡骸を見つけたロード。だが秘宝玉か亡骸か選ばなくてはいけなかったが、


(崩落に巻き込ませてはいけない)


 タンと瓦礫を蹴ってグレイドの元へ向かうロード。


 この時、

(迷いなしか……)

(死んだ奴よりも)

(秘宝玉を手にすれば)

(オレの破城槌の盾になったものを)

(バカな奴だ)

 ヒューと落ちていく魔王が思う。


「ふん!!」


 破城槌を振ってその衝撃だけで、瓦礫を複数飛ばしていく。


「――――!!」


 グレイドを抱えたロードの元に瓦礫が飛んで来る。


 タンとその場を瓦礫からジャンプして飛んで、回避していく。


「うっ!!」


 その時、崩落してきた大きな瓦礫に背中を打ち付けてしまう。


 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドド!! とオーイワ城の主塔が崩れ去る。



 ◆ ◆ ◆ ◆


 

 クウエンがその地響きを聞く。


 ギンゴ戦士長が崩れ去るオーイワ城を見る。


 バスタードが遠く離れた場所から崩れる城を見る。


 ハズレとスワンもあまりの光景に驚く。


 

 ◆ ◆ ◆ ◆



 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドと崩落するオーイワ城。


 そして程なくして崩落は終わる。


 ロードは開けて瓦礫のないスペースにグレイドさんを横たわらせた。


「お爺さん、あなたの命は無駄にはしない――必ず魔王を討ち果たす」


 そのとき手を握ると、握った手が青色に光り輝きだした。


「これは生命力……命の力……」


 ディホースの時に感じ取った光を思い出す。最後の力が残っていたのだろう。


 ロードの手は青色に光り輝いていた。それをぐっと握る。


「そこにいたか……」


 魔王ゴワドーンの声が背後から聞こえて来た。


「ここで潰し、お前の上に新たなオレの像を建ててやる……そして、未来永劫語り継ぐ」

「魔王の足元にも及ばない者の伝説をな……」


 スクッと立ち上がるロード


「お前の思い通りにはさせない」


 ギラッと左目に青い揺らめきが出現する。


 ダンと魔王に向かて飛び出したロード。


「力なきお前に何ができる!! 当たって砕けろ!!」


 ゴッと破城槌を振り被り迎撃態勢を取る魔王ゴワドーン。


 ロードはグレイドの声を聞いた気がした。それは――


(最強の出番はここまでだ……次はお前の出番だ、ロード)


 ダッダッダッと瓦礫の上を走っていく。


 魔王の間合いまで入って来た。


「当たれぇ!!」


 振り上げて振り下ろす。しかしここはロードのスピードの方が勝った。


「ミチル飛ばせ!! 斬撃を!!」


 青き精霊の剣を振ると、その分の長さの斬撃が飛んで行く。先の魔王の像の首を切断したのもこの力だった。


 ゴゴゴン!! と腹部の鎧にひびが入る。


「ふん!! これしきで、この俺が……」


 ひびの入った部分に赤き竜封じの剣の剣先を当てる。


「――――!!」


 そして、


「これがお爺さんの力だ!」


 ひびの内側に入り込んだロードの魂の力が入り込んで、


 魔王ゴワドーンを内部から破壊していった。


 ズバババババーーーーン!!


「はぁ……魂も生きている……はぁ」


 がバッと黒い血反吐を吐く魔王ゴワドーン、ここに来て初めてダメージを食らわせた。


 ズキンと身体に痛みが走るロード。


(度重なるダメージか)

(生命力も今のでほとんど使いきってしまった)

(だが、今のミチルの一撃でひびを入れ)

(次のお爺さんの力でオレの生きる魂からの攻撃は避けられない)

(その反応がゴワドーンの身体にも出ている)

(お爺さんあなたのくれた生命力がオレに新たな力をくれた)

(ありがとう)

 ロードは肩を抑えていて、


「――――!!」


 ふと、あることに気が付いた。


「ゴワドーンが倒れない?」


「悪あがきを」


「――――――!!」


 ロードは背筋に悪寒を走らせた。


 ガン!! 黒い血反吐を吐く魔王ゴワドーン。その形相は魔王そのものだった。


 ロードは目を見開いた。そして――――


 10メートルも魔王との間に距離を取った。


(なんだこの尋常じゃない悪寒は……)

(初めてだぞ魔物に恐怖したのは……)


 ゾクゾクするロード。魔王の立ち姿をずっと見ていた。


 そして、

「破壊する!!」

 魔王ゴワドーンが口にした。


「ウオオオオオオオオオオ!!」


 突然魔王が産声を上げた。


(何だ? 何が起きている)

(狼狽えるな)

(何が起きても、逃げるわけにはいかない)

(倒すんだ残った力、全てで)


 魔王ゴワドーンの姿が変わっていく。腕がハンマーのような形に、尻尾が伸び、顔が竜のように飛び出てくる。


「お前ごときオレの敵ではないのだ!! 見るがいい!! 破壊の魔王の本当の姿を!!」


 竜のようになった魔王ゴワドーンの全力はここからだった。

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