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第217話 魔物狩りを狩るタテトル!!

 メルクエム国・城内部。

 広い空間だった。一つの幅広い階段もあり、壁に沿って左右に分かれた階段である。

 そしてそのエントランスのような広間で魔物狩り達がタテトルを囲んでいた。


「はああああああ!!」


 ハンマーを持った魔物狩りが襲い掛かる。


「やあああああああ」


 鎖付きの鉄球をグルグル回す魔物狩りもいる。


「大甲弾!!」


 タテトルがハンマーを構え魔物狩りに突撃した。


「うっ!?」


 そして後ろにいた鉄球の魔物狩りとぶつかり、その勢いのまま二人で飛んでいき、窓ガラスを割って下へと落ちて行った。


「――このクソ野郎!!」


 棍棒型の鈍器を振り下ろす魔物狩り。ズズンと音が鳴ったが、


「フン!」


 タテトルが鈍器を振り下ろしてきた魔物狩りを爪で腹を貫いた。


「があああああ!!」


 そのまま死体となって崩れた魔物狩りを爪から引き払った。


「うっ!?」


 そして他の魔物狩りに当たる。


「ひっ!?」


 目をつけられた魔物狩りはタテトルが大きく口を開いて突撃を仕掛けると、そのままの勢いで首から上を食い破られた。ドサッと倒れる魔物狩りと、突撃のおかげで包囲網から突破するタテトルだった。


「バ、化け物!?」


 メダルランクゴールド勢が感想を漏らす。


「もうイヤだ! オレはイヤだ!」


 シルバー勢は逃げ出した。


「おい待て」


 とある魔物狩りが引き留めようとしたが、ズズズン! 大きな瓦礫が飛んできて押しつぶされた。


「逃がすものか……オレは全員を殺しに来たのだからなぁ……」


 タテトルの腹には大きなベルトが巻かれていた。それは背中の傷を隠す為のものだった。


 そして刹那、真横からブースタードがハンマーを振り被り、ドオーンと壁まで打ち飛ばした。


「ブースタードさん」


 片膝をついた魔物狩りがその名を呼んだ。


「今の撃は凄い音がした相当利いてますよ」


「――――!!」


 ブースタードはこれでもダイヤモンド星一つの魔物狩りだ。そんな彼が手ごたえがあったのに戦慄していた。


 ――ドオン!! と今さっきまで喋っていた魔物狩りがタテトルの突撃を受けて死んだ。本来はブースタードを狙ったようだが経験からか直感からか避けることに成功した。


 ずぼっと壁にめり込んだ身体を引き抜くタテトル。


「どうした来ないのか?」


 タテトルが挑発する。


 魔物狩り達は四人にまで減少していた。


「ハァ……ハァ……50人以上も殺しやがって……認めてやる。このブースタードが、ダイヤモンド星一つの男が、お前は化物だと……」


「来ないのだな!!」


 タテトルが突撃態勢に入り――ドオウン!! と突っ込んでくる。


 その時ハンマーが飛んできて、タテトルの進行方向を強引に変えたものがいた。


 それは何とハズレだった。


「戦う相手を選びなよ……ブースタードさん」


「ハズレ……」


「あなたをここで死んではいけないだろう副長なんだから……」


 剣を抜いたハズレが意見する。


「分かっている……だが、アレは誰かが相手にしなくてはならない」


 ブースタードが立ち上がる。


 一方壁に激突しハンマーも直撃した方のタテトルは大したダメージも負っていなかった。


「それはオレがやるさ」


 ハズレが魔物狩り達の前に出た。


「ふざけるな! 金のために雇われた奴に任せられるか! どうせ直ぐに逃げるに決まっているだろーが!」


「その言葉、撤回させてもらう。オレだってある」


 ハズレは懐からオイルの入った瓶を出し、真上に投げ放った。


「守るべきものがある!」


 鞘から剣を引き抜いた瞬間――オイル瓶を斬ってオイルを剣に付着させる。


 そして剣を一振りするとハズレとブースタード率いる魔物狩りとの間に境界線のような炎が燃え上がった。そしてその炎はタテトルにも食らわせる。


「さぁ、今の内に隊を整えてくれ……」


 ハズレが静かに告げる。


「ブースタードさん行きましょう」


 太っちょの魔物狩りが言う。


「炎を使うハズレの邪魔になります」


 髪の長い魔物狩りが言う。


「……分かった」


 四人の魔物狩り達は背後の階段を駆け上がった。


「ハズレ! お前の守もんモノは知らないが、やるからには本腰入れろ! いいな!」


「大甲回!!」


 タテトルがその場で大回転し浴びる炎を蹴散らした。


「オレを前にして貧弱者が逃げられるものか!!」


 大甲弾という技の姿勢を魔物狩り達に向けて取ったが――


「背中の傷は癒えたか?」


「何?」


 ハズレの顔を見るタテトル。


「ああその装飾は傷を隠しているのか……恥じることはない。アイツからしたらお前はすばしっこいだけのただの亀だ」


 ハズレが挑発して自分に注意を引き付ける。

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