第212話 魔王ゴワドーン様
オーイワ国・オーイワ城内・玉座の間。
城の異たる門は破壊されていた。城のあちこちにも戦っていた形跡がある。
今となっては魔王一派に乗っ取られたお城である。
その赤いカーペットの先に魔王が玉座に腰を落としている。
そしてその前でこうべを垂れている配下である三体の眷属使魔。
「眷属たちその岩頭を上げることを許可する」
魔王ゴワドーン。足も腕も顔も髪型までもが極太の生き物だった。そこに鎧を着こんでいるので、なおさらデカく見える。
「「「はっ!!」」」
タテトルが体を起こす。バカデカテは自分の大きな手の甲の立っている。ドルグは顔だけを鏡に映して礼儀作法は鏡を持つ魔物に任せている。さすがの巨体も玉座にまでは入れない。
「ゴワドーン様かねてより計画されていた戦いを明日実行に移させていただきます」
バカデカテが申し出る。
「うむ……」
ゴワドーンが太い首を縦に振る。
「この身が果たしてた。ゴワドーン様の命令、グッゴよりの魔物兵の増員、武器の徴収の成果このドルグ率いる主力軍が存分に力を発揮します。どうぞ鏡の前にてご覧ください」
鏡越しのドルグが宣言した。
「うむ…………それで昨日、タテトルの持ち帰った報せだが……精霊の女は生かして連れて帰れ命の破壊はするな。ある程度は身体を砕いてしまっても構わん。全兵に伝えよ」
「はっ!!」
「して、双剣使いの方はいかがいたしましょう」
バカデカテがしっかりとした声で話し答えを待った。
「殺せ……秘宝玉があるのならそれを持って帰れ」
「御意」
バカデカテは頭を下げた。
「ゴワドーン様!! ぜひともその双剣使いの始末の役目!! このタテトルに任せていただきたい!!」
タテトルが言い放つ。
「タテトルお前の役割は決まっている。そのような暇などない……」
バカデカテが即座に反発する。
「バカデカテもちろんオレの役目は果たそう。だが、この背の傷はただの傷ではない数多の戦いおいて無傷を誇るオレの甲羅がただの人間にこのありさまという事実。この傷と共にオレは恥と不名誉を背負わなくてはならなくなった。そそがねばならん。その人間を殺す為、やむなくついた傷とせねばならんのだ!」
「お前のプライドに傷がついたという話か? それで計画が失敗すれば次はゴワドーン様の名に傷がつくぞ!」
「何を言うゴワドーン様の名は我らが、オレが、この甲羅で守り抜いている。しかし甲羅に傷がついた! これは今ゴワドーン様の名に傷がついたのと同然なのだ!」
「止せ二人共ゴワドーン様の御前だぞ! 決めていただくのもゴワドーン様だ!」
ドルグが仲裁する。
「失礼しましたゴワドーン様!」
タテトルが頭を下げる。
「お見苦しい所をお見せしました!」
バカデカテが頭を下げる。
「許そう……ではタテトルその双剣使いの始末はお前に任せる」
「はっ! 有り難き幸せ!」
「ただし生かして連れてこい。その汚名をそそぐのに、ふさわしい処刑場を用意する」
「そのような処置まで承りました。必ずや生け捕りにして見せます!」
「そして当初の予定通りバカデカテの注文も滞りなく完遂しろ」
「はっ! ゴワドーン様に誓って必ず!」
「異論はあるかバカデカテ」
「ございません。ゴワドーン様の決断に従います」
「ところでダンの方はどうなっている」
ゴワドーンが話を切り替えた。
「はっ! 順調に作業を進めております。完成までしばらくかかりますのでお待たせしてしまいますが……」
「うむ、結構」
「ゴワドーン様あの人間との契約はいかがいたしますので?」
ドルグが尋ねる。
「奴にはこの国の後にも像の建設を他国でもさせる。人間たちは今は生かしておく全てが終わったあとは魔物の餌とする」
「理解いたしました」
「いいか! 明日のメルクエム国に集いし人間どもに我ら地獄の魔王の恐怖を知らしめろ! 惨く、残酷、冷酷に……殺して殺して殺し尽くせ! 我がゴワドーンの名をこの世界に轟かせよ我が眷属使魔たち!」
「「「はっ!! ゴワドーン様!!」」」
三体の眷属使魔たちは頭を下げた。
「人間どもよ地獄を見るがいい。それでも抗うのなら我が破城槌の秘宝玉で何もかも破壊してやろう」




