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第206話 現在のオーイワ国の情報

 ロードたちを含めた26人はオーイワ奪還作戦の会議をしていた。

 ただいまの議題は何故魔王軍が奇襲を続けているのかにあった。


「歴戦の魔物狩りバスタードさんはどう見ます?」


 メルクエム国のミンド戦士長が尋ねた。茶色い髪に右目を隠す。


「近頃魔物たちは皆魔王の名を口にし、オーイワ国に集っていると聞いています……恐らく兵を集めるため、我々の目をそちらへ引き付けているのでは……?」


 バスタードが推測を述べる。


「なるほど、彼らは彼らでこちらと戦えると示しているが実際には戦力が整うまでの時間稼ぎ……そのかげで兵が整うを待っているわけか……貴重なご意見ありがとう。バスタード殿」


 ミンド戦士長はそう考察した。


「兵を集める? ギンゴ殿……オーイワ城は魔王とその眷属使魔、たった数体に落とされたのだったな……?」


 ガルダイル国のアンダ戦士長が確認する。オールバックの髪に真ん中に炎のような髪染めがしてある大男だった。


「そうだ……部下共々、我らはこの目でそう記憶している」


 オーイワ国のギンゴ戦士長が言う。大きなガタイをそのまま丸くしたような顔つきをしていた。


「そのような者共が、我らと戦うため……兵力をそろえるとは思えん。今にも乗り込んできそうな勢いだが……バスタード殿」


 アンダ戦士長は魔物狩りを決して仲間と認めていなかった。


「確かにアンダ殿の言う通りだ。しかし我々はこうも考えています先の戦でもし……魔王が、あるいは眷属使魔たちの力が消耗しているとしたらと……」


 バスタードは答える。


「魔王が弱っている!? 何の根拠もないモノに我が兵力を送れというのか!!」


 アンダ戦士長が立ち上がった。


「アンダ殿、彼らはそこまで申してはいない」


 ゲンガ戦士長が鎮める。


「フン……どの道、全開の魔王と戦うのを想定しての会議だろう? 弱っている可能性があるのなら少しは賭けてみようとは思はないか? 怖いのなら今すぐ自国へ帰り魔王除けの道具でもそろえるんだな」


 最強の男グレイドが皮肉を言う。


「何をキサマ!! 魔物狩り風情が!!」


「止さぬかアンダ殿、場をわきまえよ」


 縦長の帽子をかぶった大臣が言う。


「ぐうぅ」


 アンダ戦士長は座り込む。


「ねぇ……参加するの辞めない?」


 スワンがロードだけに聞こえる声で言って来た。


「暴力までは振るってないんだ許してやろう……」


 ロードが様子を見るよう指示する。


「分かった」


 スワンは割と聞き分けがいい。


「魔王については想定通り、万全の状態と考えるモノとする。さぁ会議を続けよう」


 冠を被ったメルクエム王が口を開いた。


「魔王について他に情報は何もないのか?」


 大臣の一人がポツリと呟く。


「そもそもヤツは何故現れた。オーイワ国の襲撃前は何をしていたんだ?」


 もう一人の大臣が口にする。


「グッゴ国から現れたのだったな?」


 縦に長い帽子を被った大臣が話す。


「グッゴに何か恐ろしいことが起きているのでしょうか?」


 髪の薄い大臣が口にする。


「それは今までも散々話したでしょう。今日は明日についての最終会議では?」


「バスタード殿の言う通りだ。偵察隊長殿、オーイワ国から逃げて来た脱走者たちの話を聞かせて欲しい」


 メルクエム王が話を進める。


「はいメルクエム王……」


 ガタっと椅子を引き立ち上がる偵察隊長アサヒ。


「我らの調査と逃げて来た脱走者の話によりますと、現在オーイワ城は魔王の根城になっているようです。国民はオーイワ城の地下牢獄に捕らえられています。捕虜たちは城や街の修復に当てられ寝る間もなく働かされており、逆らえば殺害されます。女子供は魔物の餌にされているようです」


「おのれ魔王め……」


 ギンゴ戦士長が唇を噛む。


 ロードもきりっとした顔つきになる。


「国の中央に巨大建造物があり脱走者によりますと、どうやら魔王の像を作らされているようです。この像は国全土から目視で確認できるよう設計されています」


 アサヒ偵察隊長は話を続ける。


「像もしや……キミ……もしや、その像を作っている者の中にダンという者はいるか?」


 ギンゴ戦士長が訊いてくる。


「はいこれから話すところです」


「アサヒ隊長続けてくれ……」


 メルクエム王が催促する。


「銅像建設責任者はダンという男で、彼は魔王と契約し……像を作る代わりに国民の開放を約束したようです。それ以来、魔王はむやみに国民を餌にしないように心がけています。その分町の見張りは厳しく、我々も潜入を断念しました。脱走者は1000人近くいると推測できますが、そのうちの2名のみしか保護が出来ていません」


「たった2名」


 縦に長い帽子を被った大臣が驚く。


「何ということだ」


 髪の薄い大臣がそう呟く。


「オーイワの中央地の外部にも魔物は放たれており、森、川、岩場に配置されており、外からの奇襲は難しいでしょう。最後に眷属使魔についてですが、タテトルは先ほどにも話が合ったように奇襲に出ていて中央地には殆どいません。目的自体は不明ですが奇襲自体は成功を目論んでいるようです。巨大魔物ドルグ、これについては確認が取れません。脱走者も随分と見ていない様子です。おそらくオーイワ城内か、どこかへ遠征にでも行ったと思われます。バカデカテは国の見張り、奴隷管理、作業監督などの全責任者だそうです。恐ろしく慎重で警戒心が強く、オーイワのシステムは現在その魔物で成り立っています。脱走者が2名だったこと、問題を起こした者は即座に対処されます。何度か反乱の動きがあったようですが、全てことが大きくなる前に止められています」


(バカデカテ……何ソレ恐ろしいくらいエリートなんだけど……)


 スワンはそう思った。


(巨大魔物ドルグ、こいつも図鑑に載っていないのだろうか?)


 ロードはそう思った。


(タテトル、ロードが目をつけられた奴か……)


 ハズレはそう思った。


「我々の報告は以上です」


「ご苦労、アサヒ隊長」


 メルクエム王の一言でアサヒ偵察隊長が席に着く。


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