第204話 魔物狩りギルドハウス
メルクエム国・中央地
翌日の朝のことであった。
町は活気にあふれていた。
鍛冶職人が朝からカンカンカンと剣を打ち付けたり、他愛のない商人の取引をしたりしていた。
そしてロードたち一行はハズレを先頭にある場所へと向かって行った。
「ここだ、魔物狩りギルドは……」
ロードには看板の文字は読めなかったが、それを眺め続けていた。
「どうするやめとくか? 参加するならここの連中と足並みそろえないといけない」
ハズレがロードを試す。
「私はロードに従う。参加するならそれに従う」
スワンはこう言ってくれた。
「ロードキミ次第だ」
「……これが人を救う道だ行こう」
ロードの一言で二人共眠気が吹っ飛んだ。
「わかった入ろう……」
ギィっとギルドハウスの扉を開けた。
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メルクエム国・中央地・ギルドハウス内
中の雰囲気は表の看板を見た通り、酒場も兼ね備えているようだった。
しかし、酒場にしてはそこに座っている魔物狩り達であろう人々はピリピリと殺気立っていた。
皆入って来たロードたちに注目する。
そして酒場のマスター剣受付の方へ向かうハズレ。
「名前は……?」
「ハズレ・マスカレード」
ハズレは胸に飾られたプラチナの一つ星バッチを見せた。
ギルド内がざわめく、しかしそこにはハズレと同じくプラチナのメダルを持つ者が多かった。
「ようこそマスカレード様、いつ以来の再開でしょう……? この魔物狩りギルドハウス、ブレイズに来るのは……」
「まぁ2、3年ってところじゃないか?」
「ご用件の方を承ります……」
「魔物狩り連合へ参加したい」
「では奥の部屋へどうぞ……」
▼ ▼ ▼
階段を登っていくロード一行はギルドハウスの奥へ奥へと向かって行った。
「ハズレここにはプラチナの魔物狩りが多いみたいだが……」
ロードが訊いていた。
「ああここの人たちは先のフレアザーズと戦っていた魔物狩りとはわけが違う。戦いの途中で逃げだしたりしないよ」
「それは命を大切にしてないということか……?」
「違うそれだけ強いってことだよ」
「ハズレはどうなの? 強い方なの?」
スワンが率直に聞いていた。
「どうだろうな金銭目当てに魔物を狩っていたら、いつの間にかプラチナ勢だった。まぁ危険な依頼は避けてきた記憶しかないが……」
「ハズレは強いからな……本気を出せば一人でギガントメモさえ倒せるはずだ」
「勉強したのはいいが、あんなの倒したらクリスタルレベルだよ……」
冷や汗をかくハズレ。
「ロードもランク取れないの?」
スワンが問う。
「ギルドに登録すればいい……まぁオレの目から見てロードはプラチナ三ツ星は固いと思うけどね」
「やっぱりロードは凄い?」
「双剣状態だと最強の男にも勝るんじゃないか?」
ハズレは考察してみる。
「最強の男?」
このロードの問に答える前に、目的の部屋に辿り着いた。
「……と、そろそろしずかにしようか……」
扉の前で止まるロード一行。そしてコンコンコンコンとノックをする。
「入れ」
中からくぐもった声が聞こえて来た。ハズレがまず先頭になって中へ入る。
そこは応接室のようなところでテーブルにはワインと氷が置いてあった。
「どうもバスタードさん」
「ハズレか……お前がこのような危険地域に足を踏み込んで来るとはな、言っておくが連合は金で動いているわけではない。腕と誇りと勇敢さ、この三つで動いている。報酬目当ての冷やかしならば帰れ」
「違う今回は本気さ」
「本気だと今にも魔物が降って来そうな話だ」
「違うって友人が参加したいって言うからオレも来たんだ……」
「友人ねーー名は?」
ハズレの後ろにいた男女に目を移すバスタード。
「ロード・ストンフュー」
「ロード・ストンヒュー聞いたことない名前だ」
「そこの女は戦えるのか? 遊びじゃねーんだぞ……」
バスタードの一言に顔をムッとさせるスワン。
「バスタードさん失礼だろ、この子はスワン・ブルースカイって言うんだ」
ハズレがフォローに入るが聞く耳を持たなかったバスタード。
「スワンは遊びに来たんじゃない。オレたちと一緒に人々を救いに来たんだ。馬鹿にしないでくれ」
抗議するロード。
「…………ロード」
嬉しそうな顔をするスワン。
「人々を救う? その人々を殺す魔物を、お前は今まで何体狩った」
「8体ほどだ」
「話にならねーな」
「何だって?」
ロードは睨まれていた。
「オレは1000を超える魔物と視線を躱したバスタード、それがオレだ。世界でもっとも有名な魔物狩りを前にしてガキみてーな数字を並べるな」
「もう一度言う連合に参加して人々を助けたい」
今度はロードがバスタードを睨んだ。
その時、1000もの魔物を狩って来たせいか、ロードのその潜って来た修羅場を垣間見たバスタードだった。目先だけでバスタードを射すくめる。
「ハズレ、こいつは何者だ?」
「勇者ロードだ」
ハズレは堂々と宣言した。




